2008年12月23日火曜日

受注設計生産型製造業の付加価値アップ(第15回)工程管理

前回、生産管理について述べさせて頂きましたので今回は製造現場における工程(主に小日程)管理について対策の概要を述べさせて頂きたいと存じます。
1.人的資源管理
 1台の製品を作り顧客で稼動させる為には、概略次のような工程を通ると思います。
すなわち、ユニット組立→総組立→電気配線、配管→ソフトウエア導入→試運転調整→出荷検査→(ユニットバラシ)→梱包→配送→現地設置→総組立→電気配線、配管→試運転調整→引渡し試験、検査となります。
 1台の製品にこれだけの工程が必要なわけですので、一般的には組立という機械系の要員、電気配線、配管という電気系の要員、ソフトウエアの導入調整要員、調整や検査の要員と複数の要員が必要となってきます。
 もちろん、森精機製作所のように徹底的に一人生産方式を目標として多能工化することが必要ですが、大量生産する小物製品とは違ってた多能工化するのはかなりの習熟が必要となります。
 したがって、会社全体としては多能工化を前提とはしつつ分業を前提とした人的資源管理をすることが重要となってきます。
 人的管理はどの要員がどんなスキルを持っているのかのスキルMAP作りがまず必要となりますし、そのスキルの定義をする必要がありますね。このスキルMAPと期間という時間ファクターを人的資源管理のベースとして割り振り、実際に個々の製品の工程に割り当てていくのが工程管理責任者の役割となります。
 工程管理担当者は個々の製品の工程進捗や部材調達状況、不具合発生状況を常時把握し、生産管理責任者と連絡を取り合って工程の進捗調整をおこなうことになります。

2.工程見積
 人的資源管理をベースとして工程に割り当てるという作業に入るわけですが、受注設計生産の特徴としては基本的に個々の製品そのものは仕様が異なっているということが前提となります。したがって、設計情報を元に過去の類似製品の実績情報を元に個々の製品の差異を判断して個々の製品の必要工数の見積をおこなう必要があります。もちろん、この見積には必要とされる人的スキルも含まれます。生産管理での中日程管理レベルでは現地引渡し日程もしくは船積み(倉庫渡し)日程から逆算してスケジューリングをおこなうだけですので、製造現場での工程管理においてはこの工程見積によって投入する要員の変更や日程の前倒しを図ることが必要となってきます。
 また、標準作業や標準工程をもっていない企業が多いのですが、工程見積においては工程毎にサバを読まないということが重要となります。まず、各々の工程で予算や納期から割り出された工数、および実績に基づきあるべき日程を立案し、最終工程にプラスしてサバ(バッファ)工程を設けることになります。
3.工程進捗管理
 工程見積で設定した各工程での工程日数を達成することを目標として製造要員に作業を進めてもらいます。もし達成できなかったら最終工程の後ろにあるバッファ工程の日数を投入することになりますが、そのバッファ工程の日数を途中の工程で使いきったとしたら、その時点で納期遅れが確定することになります。
 もちろん、バッファ工程を使いきった時点で対策をうったとしても間に合わないということになりますので、使いきる直前でアラームを立てられるようなしかけが必要となりますね。
しかし、この時点で何が原因で遅れたのか分析し対策をうつことによって、次回の設計や生産にフィードバックすることができるのは当然として、当該製品の後工程でどう遅れを取り戻すことができるのかの対策を検討する余裕が生まれます。この意味で受注設計生産型製造業は小さなプロジェクト管理を日々おこなっていると言えるでしょう。

以上の3点で製造での工程管理は終わりではありませんが、今日はこれまで、次回は調達について述べたいと思います。
 

2008年12月14日日曜日

受注設計生産型製造業の付加価値アップ(第14回)生産管理

前回は販売管理ということで個々の商談での管理について述べさせて頂きましたが、今回は工場全体としての生産管理上の対策を検討してみたいと思います。ともかく個々の営業案件での確定を待っていては顧客要求納期に間に合わせることができませんし要求コストに対応し利益を出す為の予算管理をおこなうことが必要となります。従って、どうしても先行管理がまず重要なものとなります。次に個々の案件の仕様変更でのコストや納期変更に伴う変更管理が重要となります。
1.先行管理について
 1-1.目標原価管理
    受注設計生産型企業にとっては最も重要な管理項目となります。製品開発のなかで作り上げた製品のコストは実体のあるものではありません。あくまで受注して開発した製品構成ユニットを組み込み、受注仕様を盛り込んで初めて製品が完成するものですからね。販売管理において原価見積をおこなった時点から目標原価管理の対象として管理することが必要となります。受注してもいないのにといいますが受注してから始めたのでは間に合いません。案件の要求仕様から目標コスト(=予算)を設定し、設計に必要な工数を算出し、製造工数、資材調達コストを割り当てなければなりません。原価については最近まで材料コストが急騰していましたが、これも判らないということではなくコストを予測しておかなければなりませんね。
 1-2.スケジューリング(納期管理)
   目標原価としての予算と同時に顧客要求納期に合わせてスケジューリングが必要ですが、最もボトルネックとなるのは設計ですから、このスケジューリングが最重要管理対象となります。設計管理で複数の案件をどれだけ並行にこなせるように設計手法の共通や流用設計を可能にさせておくことが必要となります。資材調達については長納期材料というのはだいたいの場合製品開発した時点で想定されている訳ですから、いつ在庫引き当てが可能となるのか?もしくは出図されてどのくらい納期がかかるのかは予測がつきますね。(この点については資材管理のところで検討します。)ただし、受注設計生産型製造業で考慮しておかなければならないのが、資源として時間だけでなく設備としての工場の組立場所です。どうしても製品そのものが大型ですので、組立、検査をする場所に制約されますので、仕掛製品の専有する期間と面積をスケジューリングする際に考慮しておくことが必要となります。
 1-3.資源管理
   スケジューリング管理前の大日程レベルでの管理となりますが、個々の案件に引き当てられるべき企業の資源(設計要員(メカ、電気、ソフト、)、原材料、長納期部品、組立・調整場所、製造要員(組立、プロセス調整・検査)、現地搬入・立上要員)の全ての計画を立案し、その計画にあわせた個々の中日程での妥当性を検証し、過不足に対してどうアクションするのか?の社内体制および責任と権限の仕組みを作り上げておく必要があります。事業単位で仕組みを作り上げるか、その業務機能単位で仕組みを作り上げるのかは最も重要な対策と言えるでしょう。製品は直線で動いていきますが、企業としての管理は平面もしくは立体での管理をしなければなりませんから。
2.変更管理について
 2-1.仕様変更
   顧客の要求仕様は最後の最後まで変更されるということを前提とした変更管理が必要となります。実際に、顧客の生産ラインの現地設置工事中更に製品引渡しまで仕様変更はありえます。ここで重要なのは仕様変更に合わせてスケジューリングをするというのはもちろんですが、その変更に関わる費用を直ちに算出し、その費用を顧客に請求できるものできないものに分析し顧客との見積折衝ができるようにすることです。また、仕様変更が自社の課題により発生した場合は、原因分析と再発防止を直ちにおこなえる体制を整えておかなければなりません。顧客からの仕様変更であれ、自社の責任がある場合であれ、その実績報告が遅くなればなるほど是正ができなくなります。売上もしくは原価確定が終了した時点でその報告がされたとしてもあくまで結果でしかありません。どうしても納期対応優先で曖昧にされることが多いのですが、この実績がリアルタイムに報告される社内の体制と原価管理システムの連動が必須となります。
 2-2.納期変更
   納期変更についてはほとんどが顧客要求であることが多いのですが、前倒しも延期も両方共に頭が痛い問題です。前者の場合は多くが工数不足をどこまで追い詰めるかどうかということになりますが、残業、休日出勤でも短縮できない場合は代替手段や代替材料などの暫定処置をおこなわなくてはなりません。もちろん、この前倒しによるコストアップをどう顧客折衝できるかということが課題となります。残念ながら、ほとんど顧客と折衝できていないのですが、これを顧客に対するアドバンテージとして残しておけるかということが重要となりますし、前倒しした結果を常にその納期でできるものとして顧客に認識してもらっては困りますね。延期の場合はキャッシュフローを即悪化させ資金繰りに支障をきたすことになりますし、下手をすると無期延期ということで実質的なキャンセルとなりかねません。また、生産場所の確保ができないという現場での問題もできてきます。契約もしくは受注時点で延期の場合の取り決めというのが曖昧となっている場合ので、これは販売管理での問題ではありますが必要に応じて取り決めておくことが必要です。複数台の大型受注の場合は特に事前に管理しておくべきです。

ざっと生産管理について細かいところは省略して述べさせて頂きました。やっぱり、このままいくと年末年始の休みを利用しないと済みそうにありませんね。

2008年12月7日日曜日

受注設計生産型製造業の付加価値アップ(第13回)販売管理

ちょっと稼ぎを優先してブログへの投稿をサボっているうちに12月に突入してしまいました。営業管理というと製品のマーケテイングと商品企画という業務機能での対策を検討してみましたが、今回の販売管理は都度の受注もしくは受注に至る商談という業務機能について対策を検討してみたいと思います。
 CRM(顧客関係管理)という業務システムで考えてみますと、販売後のサービスもこの業務領域となりますがこれについてはカスタマーサービスとして区分けして述べることにさせて頂きます。
1.営業プロセス管理の重要性
 繰り返し同一製品もしくは類似製品を販売する営業活動とは異なり、受注設計生産型製造業においては1件ことに提案→見積→受注という営業プロセスを経過していくことになります。
 当然、受注確率を向上させることが必要ですので、受注に至るプロセスを定義し、プロセス毎に必要とされるツールおよび社内支援体制を整備し、その次のステップであるプロセスに進められるかを評価し進捗管理することが重要となってきます。
2.営業プロセスを定義する
 提案→見積→受注というおおざっぱな定義では不十分ですので、過去の受注実績や失注実績を評価して、何が顧客の評価ポイントであたのか?顧客の購入プロセスはどう進められていたのか?を分析して受注に至るまでのプロセスを定義することになります。もちろん、受注というポイントが明確でないことが多いので、受注そのものも定義することが必要となります。
たとえば、提案→製品で加工したサンプルの提示→顧客製品での加工テストの実施→仕様打合せ→見積提案(イニシャルコスト)→ランニングコスト提案→購入決定権者への他社との見積性能比較提案→内示(受注)などです。
3.営業ツールを整備する
 引合い案件都度に営業ツールを作成していくことは個々の営業担当者にとっては顧客へのアプローチ時間を減らすことになってしまいますので、各プロセスに応じて必要なツールを販売部門としてまた会社として用意しておくことが必要です。ただし、注意すべきなのはツールを一度には顧客に対して提示してはならないということです。ツールによって営業担当者が顧客を訪問する口実を提供する意味が半分あるからです。また、競合企業との関係が強い顧客ではその折角のツールを横流しにあって、逆に利用されてしまうこともあります。
4.進捗を管理する
 営業担当者が顧客訪問するのに合わせて営業管理者が全てを同行訪問することはできませんから、営業担当者のプロセスの進捗状況を評価し、その進捗に応じて行動を修正したり、進捗に応じて同行訪問することにより受注確率を向上させることが必要となります。優秀な営業担当者であれば受注までのストーリーを描いて、上位者の同行訪問や接待などのセッテイングを全て企画するわけですが、一般的のスキルレベルの営業担当者では営業管理者がこの進捗を管理し対処しなければなりません。
5.顧客要求仕様を管理する
 受注の進捗だけでなく、膨らむ顧客の仕様追加や変更に適切に対応しているかを評価しないと、折角受注しても大赤字になったり、納期遅れの原因になることにもなりかねません。
 特に受注設計生産型製造業では仕様管理ということが既に課題のところで述べてきましたが、QCD全てにわたって重要ですが、販売管理プロセスで管理しなければどこでも顧客に対してコントロールすることはできません。

年内に終了できるかな?と思いなら今日のところはここまで

2008年11月12日水曜日

受注設計生産型製造業の付加価値アップ(第12回)営業管理

前回の技術管理に引き続いて上流ポイントである営業管理について述べさせて頂きたいと思います。
ここで営業管理とは一般的な販売部門としての営業本部や営業部での管理機能ではありません。製造業としての営業管理機能について述べていきます。

1.対象市場構造の把握の目的
 「顧客視点」という言葉が言い古されてきていますが、まさしく自社の顧客たる市場構造を理解し、その変化と動向に対処できている企業がどれ程あるでしょうか?
結局、供給側の論理で知らず知らずのうちに見ているのが大部分ではないのでしょうか?自社の製品が顧客にとってどんな付加価値をもたらすのか原点にまで立ち返ってみることが必要ですね。
 当然、そうすると顧客が自社の製品を使って更に製品サービスを供給するのを最終的に消費されるまでを追跡することから始めなくてはならない訳です。
 そんなに深くまで追跡する必要はないと思われますが、「風が吹くと桶屋が儲かる」ということを把握することは市場構造を理解し、商品開発の方向性を決めるのには重要なことです。
 場合によっては技術革新によって市場が無くなってしまうということがありますが、顧客製品の付加価値の連鎖を追跡していくとその技術革新の先読みができるようになります。
 小さな例ですが、携帯電話には以前折りたたみ式のアンテナが付いていましたよね。小型化するにはあのアンテナは邪魔でした。ところが、携帯電話には当然アンテナが必要ですから、アンテナが内臓された訳ですね。アンテナが外部に張り出している時には問題にならなかったのですが、携帯電話の外側に金属物を使えなくなってしまったのです。なぜなら、電波が内臓されているアンテナを遮断することになるからです。この為、携帯電話はプラスチックのボディに金属色のコーテイングを施すようになったのです。(アンテナメーカーにとっては折りたたみアンテナ市場は消え、プラスチックメーカーには金属色コーテイングの市場が創造されたのです。)

2.対象市場構造の分析

 顧客の製品の市場だけでなく、最終的に一般消費者により消費されるまでの市場を体系化し構造化することによって対象市場を捉え易くなります。

 例えば、プレス機→鋼板→自動車、半導体製造装置→半導体→パソコン・家電品といった具合ですね。当然この例のような簡単なものでなく、製品グレードによって用途が全く異なってくる訳ですね。

また、技術革新を考慮すると、音楽の媒体もどんどん変遷してきてテープ→CD→MD更にネットによるダウンロードと媒体そのものが不要となり、音楽の有料配信というビジネスに代わってきていますが、どれだけ早く先を読み、自社が追随する市場範囲はどこまでかを明らかにしておくことが重要となってきます。

自社の現状製品が販売されている顧客の市場構造を把握し、どの製品がその該当市場でどれだけ販売を増やしているのかまたその市場自体の成長率はどうなのかを把握することによって、自社のシェアと市場の魅力度を確認することができてきますね。縮小する市場でいくら頑張っても難しいし、市場が拡大しているのに自社製品の売上、利益の伸びが比例していなければ問題はなんだろうか?ということに立ち入らざるを得ませんね。また、市場構造を把握することによって自社製品が参入できていない分野を明らかにし、何故その市場に参入できていないのか?を考えるということになります。

3.商品企画

 商品企画を数行で述べることは難しいのですが、簡単に述べさせて頂きたいと思います。市場構造の分析により自社のターゲット市場を設定すると、今度はその市場におけるニーズの現状と技術動向を把握し、商品を企画することになります。全く新しい技術である必要もありませんし、従来の技術の組み合わせによるものでも構いません。それに対して顧客が自社の方向に適合し魅力がある(=付加価値をあげてくれる)と判断してもらえれば良いのです。
また、競合メーカーに対して突出する必要もありません。必ずしも突出することが販売に貢献するとは限りません。なぜなら、顧客がその技術的な革新性を理解できないことがあるからです。もちろん、顧客に理解してもらえればシェアを大幅に取ることができるでしょう。例えば、ⅰ-PODなどはそうでしょう。テープ→CD→MDという既存の流れを飛び越え音曲のダウンロードサービスと組み合わせたビジネスモデルでアップル社はSONYを始めとした日本メーカーを席巻してしまいました。
逆に、理解されなかった例としては液体蚊鳥です。これは以前市場で販売された時には一般消費者には受け入れられず、特許が切れたころから売れ始めたのです。
 ところで、一般的な商品企画の話はさておいて受注設計生産型製造業にとっては市場が狭く公開されている市場の技術データや技術動向が把握できないということがよくあります。そこで、注意すべきなのは顧客のトップ企業の動向ですね。業界2位、3位以下のメーカーは1位メーカーをなんとか凌ごうとはしていますが、必ずしもその要求仕様が市場動向に適合しているかどうかは判りません。特にシェアに低い企業の趣味的な要求をみていたのでは商品企画の方向性を誤る可能性があります。シェアトップメーカーの技術動向を把握するのが最も重要ですね。
 しかしながら、新規参入企業の動向については気をつけておく必要があります。例のアップル社のような場合もあるのですから。

 こうしてターゲット市場のニーズを把握し、技術的な開発要素を明らかにし、その開発の難易度や予測がたったならば次は企画した新商品の投入時期、販売価格、目標原価設定をおこなうことになります。この商品企画の段階では2世代先の技術を予測しておくことが重要です。受注設計生産型企業の場合1世代先の商品開発はほとんど同時にに顧客との商談に入っていることが多い為、その次の世代を想定しておかないと市場ニーズに間に合わないということです。どうしても、設備投資が一巡してくる、もしくは設備投資の谷間に入ってくると、自社もそうですが顧客も新商品を評価する時間が確保できます。そうすると商品企画といいながら実は時期設備投資で予定される商品の仕様打合せとなってしまいがちです。この段階での要求仕様から開発時期を判断して1世代、2世代と大枠区分けすることが重要ですね。折角、開発しても周辺技術や顧客側が対応できないということにもなりますので。
 ただし、いずれにしてもこの商品企画段階で製品のコストはかなり決まってしまいますので、どんな設計コンセプトとするか、顧客の要求価格に合わせてコストコントロールすることが重要です。受注設計生産型といいながら、骨格となる要素技術は同一ですから顧客のカスタマイズ仕様にどれだけ適合させるかで受注都度のコストがアドオンされてしまいます。
 以上のように非常に簡単ですが営業管理におけるポイントを述べさせて頂きました。ちょっと、一般的な話が多かったですね。これ以上はコンサルの現場にて。

2008年11月8日土曜日

受注設計生産型製造業の付加価値アップ(第11回)技術管理

全体的に対策を検討するにあたっては一般的な業務機能区分ではなく事業管理分野別にみていくことにします。すなわち、技術管理分野(開発、設計)、営業管理(マーケット開発、商品企画)、販売管理(販売、CS)、生産管理(製造、調達)という区分となります。
 最初から難しいところからのお話になるのですが、製造業しかも受注設計生産型製造業ですからこの技術管理分野を始めにせざるを得ませんね。

1.開発について
 1-1.開発リスクについて
 受注設計型と言いながら、受注の都度開発していたのではやはり顧客のQCDの要求に間に合いませんね。従って、市場動向を見ながら(これは営業管理分野)先行開発していくことが重要になってきます。
 顧客が他社に先んじてQCDの優れた製品を市場にリリースしようとしているのですから当然ですよね。顧客市場がどこへ行こうとしているのかを捉えることが重要ですが、あまりにも選択肢が多いのが事実ですので、全て可能性のある分野に開発することは超大企業でも難しくなっています。
 例えば、デイスプレイ市場でみると液晶、プラズマデイスプレイ、有機EL、無機ELとSED(キヤノン)など多様になってきていますね。
 この成長分野のどれを選択するかが、会社としてのビジネスリスクとなります。市場規模で選択するのか、自社の技術力を中心にニッチ市場でトップシェアを狙えるかで判断することになりますね。
それで、選択したならばどの技術の方向に動くのかを2世代先くらいを見通しして、自社製品の中核となる要素技術の開発を先行することが必要となります。
 なぜ、2世代なのかというと展示会でもそうですが、1世代というのであれば今設備投資の対象として購入してもらいたいものになりますが、2世代先の製品を提示することによって顧客の安心感や期待感をもってもらうこともできるのですが、同時に実際に購入してもらうまでの技術開発リスクの低減にも結びつけることができますね。
 1-2.標準化について
  開発部門で標準化をおこなわなければ、設計部門では標準化はおこなえません。何故なら、設計は顧客要求をベースに設計するのですから、設計部門に顧客要求を満足させる為に必要な標準を作ることはできません。設計が一人だけであれば標準化ということはできるかもしれませんが、組織で設計している限り不可能と言わざるを得ません。
 要は開発部門は都度の設計に耐えうる標準のレゴブロックを用意することが必要なのです。受注設計生産である限り、製品一式の標準化はあり得ません。
 1-3.コスト企画について
  標準化をすることによりその標準化されたレゴブロックを積上げれば当然完成品としての製品コストが算出でき、製品の目標コストを達成できるかが想定できることになります。
 1-4.生産準備について
  標準化がされたのであればその生産に必要な生産技術であったり、調達先の確保ということが準備できることになりますね。
2.設計について
 2-1.プロジェクトマネジメントについて
  都度の受注設計ですから当然自社の技術者がどれだけ設計をこなせるかで、受注量が自動的に決まってきます。いくら、後工程である製造や調達に能力が余っていても、設計できなければ何もできません。
  したがって、設計者に設計をこなしてもらう為には、標準化がどれだけできているかも重要ですが、どんな設計スキルの人間をどう組み合わせていくのかと、設計期間という時間の要素をどう組み合わせていくかが重要となります。プロジェクトマネジメントという言葉は造船、石油プラントなどの数億規模以上もしくは情報システムの構築に適用される特殊なものと思われがちですが、都度の受注毎に小規模のプロジェクトマネジメント管理をすることが必要であると言えます。
 2-2.受注都度対応について
  開発の段階で標準化がされていることを前提としますが、世の中それだけではありません。特に、顧客がその市場でトップシェアを持っている場合は自社の開発よりもニーズを十分捉えている訳でですから、それに対応しないわけにはいきません。
 ただし、どこまでどのように対応するのかはDR(デザインレビュー)が、どうしても必要となってきます。開発段階でのDRは当然なのですが、受注設計生産型製造業ではこのDRの機能が全く機能していないところが最も重要なところです。
 先程どれだけ受注設計をこなせるかを述べさせて頂きましたが、このDRをおこなうことにより同時にプロジェクトマネジメントをおこなうことになります。単に、設計する人間を割り当てるのではなく顧客の要求仕様を理解し、設計上の問題点を具体的に展開し、図面化されたアウトプットをチェックすることが必要となります。
 DRができる体制と人材を養成しておくことが重要ですね。形骸化させず、属人的な判断をできるだけ排除することによって客観的に判断することができるようになっていきます。

やっぱり、重くなってきましたね。というところで今日のところはこれまで、また次回へ。

2008年11月5日水曜日

受注設計生産型製造業の付加価値アップ(第10回)取り組み方

 今まで長きに渡って受注設計生産型製造業の課題について部門機能単位にその課題というか一般的な事象について説明させて頂きました。というところで、当然付加価値をアップし企業として継続していく為には改革と継続的な改善をおこなわなければなりません。
その取り組み方法については登山と同様にどのルートを選ぶかはその企業個々に異なるはずですが、最終的には最上流から変えていかないと定着はしないということに帰結します。
 最上流とは何かというと開発・設計と営業ということになります。今までコンサルティングをおこなってきた企業でも最もネックとなるのがこの業務機能分野です。今年も設計の部門長がこんりんざい部品構成表を作る気はないと宣言され全くあきれはててしまいました。(この企業には内部統制体制構築の支援をしていましたので本業の改革は後回しにしていましたが)

1.取り組み方について
 効果の出し易い業務領域から進めるという方法と設計・開発、営業から始める方法と2種類あると思われます。いずれの場合でも重要なことは自社の全体としての課題認識を踏まえて開始することです。特に、社長、役員を始めとした各部門長レベルでの再認識活動と変革活動は必須です。これは、初期段階だけではなく毎年継続的に実施しなければ意味がありません。
 バネを変形させようとしたら元に戻る力は判りますよね。どんどん変革が進んでいっても、必ず元に戻ろうという力が働きます。更に変革に推し進める(=継続的な改善が自発的におこなわれる)ようになって初めて活動が定着したと言えます。

2.社長役員のレベルでの活動について
 社長、役員レベルの初期段階の活動では、改革、改善の為のプロセスの企画を立案することになります。すなわち、自社の課題を再認識し、自社のあるべき姿と現状とのギャップを把握することによって、改革、改善すべき活動項目とその進め方の企画と実行計画を実行責任者と進捗管理体制を明確に定めることになります。
 自らの頭で手で書くことが重要です。偉い人が陥りがちなのは言葉で他人を論破しようとすることですが、文字、文章で考え方を表現しようとすると書けないのです。書いて判るようにするにはどうするかを考えると本当に上っ面ではなく物事の本質を捉えることが前提であるということに気づくことになります。

3.改革改善の為の企画からの展開
 企画ができた段階で開発・設計、営業のもっとも難しい部門から正攻法で立ち向かうのが良いのか、改善策を出し易い部門、分野でゆっくりと改革、改善活動を進めるのかが明確になっているはずです。次はどちらの方策で進めるにしてもこの部門に更に実務担当者が実行できるように更に具体的に展開できる実行計画を社長、役員レベルでおこなったのと同様の方法で立案し、自らの課題として取り組んでもらうことが必要です。
 また、当然ながら役員や部門長はその活動を順調に進める為に支援し、場合によっては部門をまたぎ支障となっている課題を解決していかなければなりません。

 ということで、次回は部門をまたぎながらどう改革、改善を進めていくのか?の各論を進めていきたいと思います。

2008年11月2日日曜日

受注設計生産型製造業の付加価値アップ(第9回)カスタマーサービス課題

前回は調達ということで製造を合わせて顧客への製品引渡しが完了したというところまでの課題について述べさせて頂きました。今回は今までアフターサービスと呼ばれていたカスタマーサービス機能での課題について述べていきたいと思います。
元来、アフターサービスという用語は製品を販売した後の供給側の論理から生まれた用語ですよね。カスタマーサービスという用語も詳しく分析してみるとカスタマープロフィットサービスとなるべきです、何故なら顧客は装置たる製品を購入したもしくは設置した時点では何もこの製品から生まれる価値を全く享受していないのですから。
すなわち、製品を稼動させて顧客の製品を生み出して始めて価値が生まれ市場から利益を回収できるのです。たしかに装置たる製品を販売した製造業からみると売上計上後の保守メンテナンスを中心としたサービスですが、購入した顧客にとっては稼動させて廃棄するまでがその製品の価値です。
 装置たる製品を購入する時点で購入する顧客はイニシャルである製品の購入価格とランニングコスト(=保守・消耗部品の累計価格+電気水道ガス、オーバーホールなどの維持管理費用)、生産されるであろう製品の産出量と装置の稼動期間を計算して利益がでるであろうことを評価しているのです。

 といった具合で販売する側と購入する側の利益に関する立場が180度異なることを意識しながら、このカスタマーサービスの課題について考慮していかなければなりません。

1.保守・消耗部品について

 製品が顧客要求に対応する為に技術革新に応じてバージョンアップされ続けていくだけでなく、受注設計生産ということから顧客毎もしくは納入毎に異なる仕様の製品が設計され出荷されていくことになります。この結果、装置が出荷される度に保守・消耗部品が増え続けていきます。
ひどい場合は都度設計ですから部品の寿命や使用環境を全く考慮していない設計の為に、設計時点では保守・消耗部品として認識されないことも多く発生します。従って、顧客からこの部品が壊れてしまって装置が稼動できない!という大きなクレームになってしまいます。
 そうすると、直ぐ調達できる部品であれば良いのですが、受注生産の製品であったり生産中止部品となってしまっているとなると事は更に大きな問題となります。修理のはずが、改造して代わる機能を持つ部品にしなければならなくなってしまいます。
 ここにおいて問題になるのが、装置を販売した製造業側の対応力です。「部品が壊れた。」という事象に対してどう判断し、対応できるか?ということです。たまたま電話をとった担当者が理解できなければあっちこっちと知っていさそうな人に確認し、在庫を確認し・・・と電話を受け取ってからとんでもない時間が経過していくことがありえます。

 当該装置の出荷時点での部品構成表がちゃんとメンテナンスされデータベースとして管理されていなければ、もうとんでもない労力が発生することは明らかですし、顧客の怒りは爆発してしまいますよね。
 保守・消耗部品リストが作られて出荷されている場合であっても、継続的にメンテナンスできている製造業がどれだけあるでしょうか?家電品や自動車のような量産品であればメンテナンスはできるはずですが・・・。

2.修理作業について

 保守・消耗部品がこの状態ですから、修理作業はもっと大変ですね。
装置ですので家電品や自動車のように引き取ってもしくは顧客に出向いてもらってということはほとんどなく、装置が設置されている現地での修理作業となります。
 出荷時の部品構成表が最新の状態でメンテナンスされれば良いのですが、ない状態でサービスマンが現地に不具合が発生しているだろう部品をかかえて計測装置や工具をかかえていくのですが、現地に到着した時点でそれが適合しないということも発生してしまいます。
 顧客での装置停止時間を最短にする為に社内で確認できる時間は限られていますので、ある程度想定はしていますが、原因が異なった場合だけでなく、あるべき部品が装置になかったりもしくは全く異なる部品が取り付いていたりします。
 また、設計段階で保守・消耗部品として考慮していないとメンテナンスを全く考慮されていないので修理作業が全くできないということも発生してしまいます。
 極端な例ばかり申し上げているようですが、特に想定以上に長期間使用されているとまさしくとんでもないことも発生してしまいます。
 新製品の場合には仕掛中の製品から当該部品を引き剥がして持ち込み修理することもよく発生してしまいますね。

3.費用の回収と損害賠償について

保守・消耗品の場合は継続的に顧客が購入してもらえますので、コンスタントな収益源となってくれます。所謂、スマイルカーブと言われる製品の収益カーブの最も右側の収益の柱となるものです。顧客が装置を使い続けてもらっているうちは浮気はできないのですからね。コピー機やプリンターのトナーやインクの場合は本体の収益よりもこれによる収益のほうが大きくなっていますね。

もちろん、修理も定期メンテナンスサービスとして定期的な事前予防としてのオーバーホールを実施できるような契約ができていればこれも同様な収益源となります。しかしながら、エレベーター業界のように修理専門の業者がでてくると問題が大きくなってきます。これも、装置としての市場が大きくなってくるとやむを得ない市場参入となるでしょう。エレベーターの場合は製造御者と修理業者の情報交換がされないことから死亡事故などが発生しています。

 理想を言えば上記のとおり装置メーカーはこのカスタマーサービスで潤うはずなのですが、保守・消耗部品が直ぐ届かないもしくは適応しない部品が送付されたり、修理サービスに直ぐ来ないもしくは一度で直せないなどという状態が続くと費用の支払にも影響が当然でてしまいます。直せないのであれば支払えないという顧客の当然の理屈なのですが、場合によっては顧客が失った仕掛品の損失補償や休業補償を求められることがあります。

4.保守メンテナンス拠点の要求について

 装置製品の出荷が顧客の海外への生産移転や中国の地元企業が生産を開始するなどなってきますと、保守・消耗部品と修理の供給の兵站線が長くなってきます。すなわち、保守・消耗部品の発注から納入および修理の要求があってから現地で修理が実施できるまでの時間が長くなってしまいます。また、顧客のほうも生産コストをあげずに海外で生産したいので、社内の保守メンテナンス部隊をかかえたくないという要求となりますし、中国の現地法人では対応できる人材の定着率が悪すぎて、保守メンテナンス方法を教えても意味がないということになってしまいます。

したがって、保守・消耗部品だけでなく修理メンテナンス要員を社外にきめ細かく設置することが必要となってきますね。海外ですと輸出入手続きに関わる要員も含めてかなりの設備投資となるはずです。

いままで営業、設計、製造、調達、カスタマーサービスと長々とその課題のあらましについて述べてきましたが、今後は対応策について述べていきたいと思います。

2008年10月31日金曜日

受注設計生産型製造業の付加価値アップ(第8回)調達機能課題

前回は製造機能課題について述べたのですが、諸事にかまけてまた投稿が遅れてしまいました。もっとも写真のないブログを見る酔狂な人がいるとは思わないのですが、将来的に本にしようと思うにはブログが一番ですね。
といったところで今回は調達です。調達というのは言葉が古いように感じますが、購買・仕入というよりも物を作る為に材料や部品を集めるという機能を表現しているので私はこの言葉を使っています。

1.安定調達の課題
 製品の生産変動に伴い当然のごとく調達も大きく変動します。したがって、増産時には調達先の開発に走り回り、内示期間も延長して調達先の確保を図りますが、減産時には調達先の集約を図るというか発注量が減るので複数の調達先へ発注するほどの量が集まらないことになります。ということで、減産時には折角新規に開発した調達先と疎遠となります。
 これが、大企業であれば何とか次の増産時にも疎遠となった調達先は対応してくれますが、中堅以下中小企業の場合ですと調達先が振り向いてくれることは少なくなります。
 以前は国内だけでしたからまだ良かったのですが、コスト削減の為に海外調達までおこなっている現状では一度発注が止まってしまうと品質の維持が非常に難しくなります。国内ですと生産技術機能が人と共に残っているのですが、海外では即解雇されてしまいますので発注が復活しても再度調達先の技術指導や初期流動管理を実施する必要が発生してきます。

2.調達コスト低減での課題
 発注量の変動による安定調達の問題の他に調達部門としては直接の支払に結びつくコスト低減は避けられませんが、このコストについて一席・・・。
 都度、設計され図面もしくは購入仕様書による見積と発注となるのですが、発注量的には少なく納期的にも時間が厳しいだけでなく、その都度設計である為に同じようなものの調達であっても決して同じではなく品番や図面番号が異なる為見積交渉の時間が限定となります。他社への発注が量的、納期的にも厳しい為、本来強い立場のはずの調達側企業が調達先企業より弱くなってしまい、結果的に調達先にリードされた価格で落ち着くことが多いのではないでしょうか?
 特に、設計部門が調達部門を飛ばして調達先と概算価格や納期を交渉していますと、調達部門へ調達依頼の伝票が回ってくるころには納期的に価格を折衝している時間が少なくなって発注するだけで調達部門の仕事が終わってしまいがちです。

3.調達進捗原価管理での課題
 発注時点で前項のような問題がありますので、発注する時には仮単価で発注し納入受入時点で正式価格合意ということも多くなってきますし、場合によっては毎月の検収〆日までに正式価格合意ということも発生してきます。もちろん、下請保護法に触れるまでに価格折衝を遅らせたりすることは論外ですが、原価の進捗管理が遅くなり是正できなくなる可能性が大きくなります。
 特に、受注設計生産型の製造業ですと製番管理での予算原価(目標原価)の進捗管理は非常に重要です。売上があがったころに原価が判っても後の祭りです。
 仕様変更が顧客要求によるものだとしたらその仕様変更に関わる費用を顧客に対して早く折衝できなければ、それだけ費用の回収は遅れてしまいます。

4.納期進捗管理での課題
 都度発注になりますので、どうしても管理件数が増大してしまいます。繰り返し同じ品番で発注される場合であれば自社の先行手配による在庫や調達先の準備も期待できますが、毎回品番が異なるものを発注することになりますので、製番毎に数千点、場合によっては数万点の部品発注がおこなわれますし、製番が複数走っていますと同じ品番であってもまとめ発注がされないので伝票発行コストも膨大となってきます。
 更に、設計から垂れ流しで出図されたり図面の変更、キャンセル、追加発注など次から次へと発注件数が増えてきますし、いつ発注が完了するのかの状況も把握できなくなります。
 当然、この増えた発注件数について納期の短縮や延期などの要求も次から次へとでてきますし、前述の仮単価で発注したものの価格交渉も必要となりますので、調達部門は攻めの発注というよりも守りの発注というオペレーションに日々追われてしまいます。

 守りの調達に終始してしまう調達部門の課題はこれまでとしてまた次回へ。

2008年10月26日日曜日

受注設計生産型製造業の付加価値アップ(第7回)製造機能課題

前回の設計での課題はそのあらましですが製造業においては設計がすべてにおいて取り組むべき主要な課題となっています。しかしながら、その他の部門も全て設計が悪いという免罪符で事業活動を遂行していくのでは製造業の効率を改善できなくなる訳なので、設計からつながる課題だけでなくその業務遂行部門での課題も把握しながら進めていくものとします。
 それでは今回は製造部門ですね。
1.製造現場での課題
 森精機製作所のような先進的な製造業とは異なり(工場見学も時々おこなわれているようですので一度見学されることをお勧めいたします)、製品を製造するに当たり製品品質だけでなく納期管理の責任が曖昧ということがよく発生しています。
 なぜなら、製品仕様上や大きさの問題もあり製造作業が分担されて実施されていることが多いからです。ほかの量産品とどう違うのかと言いますと、機械的な組み立て作業と電気配線、ソフト導入による動作確認、検査という工程単位に担当者が変わってくるのです。量産品で小型のものであればセル生産などということで多能工化されているのですが、大型製品の多いこの受注設計生産型ではその製造技能というのを簡単に習得するのは難しいところです。
 ここに設計の垂れ流し出図問題がからんできます。やっと組みあがったと思ったら仕様変更で出図されたものが入荷したり図面がでてきて一度製造を止めて場合によってはバラシ再組み立て作業を実施するなどの手戻りが多く発生します。
 製造現場をみると納期が迫っているのに製造要員が作業をしていないというか誰も現場にいないなどということがよく発生しています。

2.製造現場での指揮命令系統の課題
 製品の生産変動が大きいという課題の為、設計と同様に派遣外注による構内作業が増えています。また、製造後、顧客に搬入して生産引渡しまでの日数も長いということになりますが、この現地作業は企業として顧客に責任を持って対峙しなければなりませんので、社内の精鋭がでていくことになります。それだけでなく、海外での設置が多い為、移動を含めて半月、一月戻ってこないということがしばしば発生します。
 このような状況の為、製造現場に責任者ある班長や職長が出払って居るのは派遣社員ばかりなどということが発生してしまいます。中には優秀な派遣社員が対応できる場合もでてきますが、それは派遣の悲しさであり折角育てても受注が減少してしまいますとそんな派遣も契約を更新できなくなってしまい、次の増産の時には対応できません。
 この受注設計生産製造業の派遣というのは事務系の派遣社員とは異なり、外注として普段製造を委託している企業から製造要員を派遣してもらうことが多い。要は、組み立て外注であれば材料支給となるのですが、材料支給する手間時間を省く為に社内で組み立てしてもらっている訳です。ただし、業務請負となりますと偽装請負となってしまいますので、指示命令をおこなう為に派遣という形態をとっています。(もちろん、派遣してくれる企業がその派遣事業をおこなえる認可が必要です。)

3.標準作業について
 量産品であれば標準作業が設定され、時間短縮が継続的に図られていくのですが、毎回生産するものが異なるということで標準作業が設定されないことが多いのが実情です。こんな状態で納期設定すること自体がおかしいのですが、過去の同様装置での実績工数でだいたいこんなものであろうという設定がされます。(原価としての工数も同様ですが)
 これも多能工化が難しい原因でもありますが、標準作業指示書がないのでいきおい無駄な作業が発生します。また、設計も標準作業書に代わる作業指示書を発行しない(というか現場を知らないので出せない)ということで製造現場の効率向上を妨げる原因になっています。
 この状態で増産時には派遣外注も加わるわけですから、品質管理がうまくいくはずもありませんよね。製造現場で何を基準として作業しているか?といったら図面だけで作業をしているのですが、製品全体を知る製造ドキュメントがないのですから口頭伝承しかありませんよね。もちろん、企業によってレベルの差はありますが。
 営業が菓子折りを製造現場に持っていったらその装置だけ納期が短縮されたり笑えない話は良くありましたよね。
 いずれにしても受注設計生産型製造業においては生産技術の姿が良くみえていません。もちろん、設計が部品構成表を作らないという根本的な問題から引きずる訳です。

4.工程管理について
 工程管理上の問題は標準作業がない、製造現場の責任が曖昧というところもありますが、それ以外の課題として色々の問題があります。設計不具合だけでな購入品の不具合や顧客で稼動中の装置のアフターサービスで仕掛中の製品から部品を追剥するということが発生します。
 この場合は材料の入出庫がシステム管理されている場合であってもシステムを飛び越えて現品だけ持ち出され、その代替品の入荷が判らないもしくはシステム上の処理のし忘れにより原価が二重に投入されてしまったりしてしまいます。なぜ、工程がとまっているのか判らないこともしばしば発生してきます。設計変更も合わせて都度の受注都度に管理ポイントが増えすぎるだけでなく、関与する人間が増えすぎてしまい、情報の時間的なずれを含め工程管理者を混乱する原因を増やすだけですね。
 材料の入荷も出図に応じて五月雨に入荷してきますから、製造現場で部品、材料が不足すると入荷場所を探すという手間を製造要員がおこなっていることも多く発生し、製造実作業をしている時間よりも材料を探している時間のほうが多いということも発生します。
 このことにより製造現場の5Sが進んでいないことも多いですね。材料の入ったダンボール箱が積み上げられていたり、通路まで材料が飛び出していることも。
 企業によっては製品を温度管理したクリーンルームに組み立て中の仕掛を移動させていくものもありますので、その都度工程が中断することもあります。

5.工程管理での特殊事情
 工程管理として特異な課題について触れておきます。一般的な製造業であれば、ボトルネックは作業時間と設備稼働にありますが、受注設計生産での特異な状況というのが、製品そのものが大きい為、製造場所(面積)がボトルネックとなります。
 工程管理者は製造を組み立てる場所をレイアウトしながら、出荷日程に合わせて材料が投入できる時期の管理をしなければなりません。組み立て要員は確保できても組み立て場所が確保できなければ、その時点で納期遅延となります。顧客への搬入時期が顧客の工場の受け入れ状況によって長期間延期されることもありますので、製図用紙に装置の絵を貼り付けて、装置が入る入らないという悩む状況を見ると、子供の切り絵を思い出してしまいます。

製造でも課題がどんどん増えてきて書ききれなくなりましたので今日のところはこれまで。それでは次回に・・・。

2008年10月22日水曜日

受注設計生産型製造業の付加価値アップ(第6回)設計機能課題

前回は営業の課題構造について述べてきましたが、今回は設計の課題構造について述べていきたいと思います。営業、設計、製造と一般消費者向け製品と異なり、区分けが曖昧にところがあり行きつ戻りつつ述べていくことになると思いますので御了解願います。

1.製品開発での課題
 受注設計ですから顧客要望に応じて足らない部分を自社開発もしくは開発委託することになるのですが、この線引きは曖昧です。半導体や液晶の場合は製品の世代交代に応じたロードマップが市場でも認識され開発に着手できる訳ですが、それ以外の市場の場合は製品展開のオプションが多すぎてどの技術をにらんで開発すべきかが非常に選択が難しいと言えます。
 したがって、開発することによって他の競合メーカーとの差別化を図っていくのが非常に企業としてもリスクが大きくなってしまっています。もちろん、自社が圧倒的にトップシェアを確保しており、顧客に提案すれば直ぐ受け入れられるとか、市場自体がニッチで迷うべきオプションが少ないというのは別ですが、シェアも代替技術で数年でひっくり返されてしまう市場の恐ろしさがありますからそうとも言ってられないのが現状でしょう。

2.受注での課題
 上記のような事情で製品開発を常に継続しかも360°の全ての方向へ展開できる訳ではありませんし、景気が不況モードになってくるとカッコばっかり言っている訳には行かなくて、利益的にも厳しいもしくは他社へ営業展開できそうにもない製品の受注をすることも往々にして発生してきます。
 このような場合だけでなく、顧客自体が他社と製品の差別化を図る為に一足飛びに次の技術を要求することもあります。
 そうすると、開発期間で吸収すべき技術的なリスクを受注案件の設計の中で対応しなければならないことになります。要は試作品をそのまま顧客に売らざるを得ないということになります。
 ということは後で必ず尾を引いてしまいますね。新聞で公表された例では日本メーカーが韓国の企業から納期遅延に伴う損害賠償を請求されたことがありました。実情は判りませんが、設計が重要な要因であったことは否定できないと思われます。

3.仕様での課題
 開発設計的な要素がある場合ももちろんですが、顧客仕様が決まらない、決まっても変更が際限なく続いていくということが日常化しています。
 顧客の仕様が決まらないが決まるのを待っていたら製造が止まってしまうので、設計を顧客仕様の範囲を予想して終了させて材料手配にかかったり加工に入った後に、仕様がその想定された範囲を超えて変更されるということもあります。想定して仕様の巾を設定した段階でコストアップがある程度発生するのですが、仕様範囲を超えてしまうと修正では済まなくて再設計、再製造ということで廃棄するコストも合わせて2倍の直接コストと間接業務コストが発生してしまいます。

4.内部仕様での課題(コスト悪化)
 顧客仕様の変更は顧客のわがままと言えばそれまでですが、顧客仕様だけでなく社内内部の仕様検討でのロスの問題が現在課題となっています。
 どうしても受注設計生産ということで半直接部門である設計がその設計コストの比率を下げたり、短納期対応する為、また受注変動に対応する為に、派遣外注などの外注設計に大きく頼っています。
 この結果社内の設計部門が実は設計ができなくなってきているのです。設計の人材育成は図面を顧客仕様に合わせて展開したりするプロセスの中で行われているのですが、実際に図面を展開して検証する機会が外注化によって少なくなれば育成の機会は失われてしまいます。
 この結果人材育成だけでなく設計での不具合流出が増えたり、過去の設計変更が反映されていなかったり、設計する必要がないものを設計したりという設計不良にからむコスト上昇が避けれらなくなってきてしまいます。
 昔はどんぶり勘定で吸収されてきたこの設計不良に関わるコストも設計によって製品のコストがほとんど決まってしまう状況では吸収どころか、赤字の垂れ流しにまで至ってしまいます。

5.製造、購買への課題
 製造、購買の項目で詳しく述べていきますが、受注設。計生産においては設計が終わらないと次の工程である購買や製造の工程へ進めません。
 ところが、仕様変更や設計ミスの修正などで設計がいつまでたっても終わらないことが多い為、待っていたのでは購買や製造の生産計画日程を組めなくなりますので、順次購買、製造という後工程をリリースしていくことが必要となってきます。
 もちろん原価管理上もどこまでが本来必要なコストであり、顧客仕様変更に伴うものか、社内責任によるのかを掴むことが難しくなってきます。

6.アフターサービスへの課題
 アフターサービスの項目で詳しく述べていきますが、設計が受注単位でおこなわれますので、設計の都度に消耗品を含めて保守部品が増大していきますね。

営業と同様に設計も問題は尽きないところなのですが、今日はこんなところで・・・。

2008年10月19日日曜日

受注設計生産型製造業の付加価値アップ(第5回)営業機能課題

前回、全体的な課題について述べましたが、今回は業務機能別にみた課題について述べていきたいと思います。
業務機能としては一般的な製造業のオペレーションに合わせて考えていきます。営業、設計、購買、製造、サービスという流れです。原価管理、マーケッテイング、製品開発はこの流れの中で取り込んでいくことになります。もちろん、対策段階では別々に取り扱っていくことになります。
1.営業について
 1-1.営業スキル
  概要でも述べさせて頂きましたが、引合いでも売り込みにおける場合でも同じですが、折衝する顧客の相手が生産技術者、製品開発担当者になりますので、自社の製品仕様や特徴だけでなく製品によってどんな製品ができるのか利用されているのか?顧客の置かれている市場でどんな付加価値を生むことができるのかを理解しておくことが必要となります。
 1-2.デモンストレーション
  製品単価も高いので顧客もそう簡単に購入するという訳にはいきませんよね。特に顧客にとって新規の製造技術であったならばどうしても製品評価の為にその製品を使用して試作品を製作し評価することが必要になってきます。
 もちろん、この試作品評価の為には最新鋭の装置を常に揃えておくことが必要となります。古い装置では逆に顧客の評価が下がってしまいますから、モデルチェンジ毎に最新鋭機を設置するのはキャッシュの面で負担が大きくなりますが、逆に全く新規のものを顧客にそのまま販売して逆に人質になることを考えると安上がりになるかもしれません。
 何故なら、最新鋭機が社内にあるのですから不具合の検証も早くすることが可能です。
 1-3.見積
  引合いや顧客評価が終了したならば当然見積ということになりますが、この見積の精度が問題となります。往々にして毎回受注設計生産をしている企業ではBOM(部品構成表)がまともに作られてなかったり、あったとしても設計者個人毎にその構成方法が異なっており、どのデータを使えば良いのか判らないということになってしまいます。
 更に問題なのは見積しようとしても顧客要求仕様の変更が多くて何時仕様が確定するのか不明であるということです。場合によってというか、ほとんどかもしれませんが納入時期や顧客への引渡し時期が確定していても合意した発注金額がなく内示書でずっと動いていって検収直前で価格が決まるということもありえます。要は受注時点というのが曖昧であるということです。海外への販売は価格が決まらないと輸出ドキュメントが作成できないので、価格は決まりますが、仕様については決まらないことは変わりません。
 したがって、仕様変更の都度直ぐ見積書を提示できなければ、仕様変更を諦めてもらうこともできませんので、この期間を短縮できなければ赤字の垂れ流しになりかねません。
 もちろん、価格折衝の時間も必要ですよね。
 1-4.納期回答
  また受注?してもその工程の進捗が見えづらいということ多く発生します。まずのネックは設計工程ですが、これは設計の課題に譲ります。設計が終了したとしても前記のように顧客の要求仕様変更に対応して設計が更に追加変更されますので、製造途中でその追加変更部品の入荷待ちの為に停止したり、設計ミスで作り直しが発生したり目の前に製造仕掛品があっても判らないということ多い状態となります。(これも詳しくは製造の課題で述べさせて頂きます。)
 という状態の為、営業が顧客から納期の確認問合せや前倒しや延期要請があっても回答できないということが発生します。なにせ、工場でさへ判らないのですから営業が判るわけありません。
 1-5.営業担当者のモチベーション維持
  製品の売価が高額の為、どうしても担当者レベルでは受注折衝は終了せずに自社の役員や場合によっては社長が最終交渉をすることになってきます。したがって、営業担当者の役割が顧客との折衝だけでなく社内への根回しに時間が取られてしまい、顧客訪問する時間より社内で折衝する時間のほうが増えてきてしまうということになってしまい。モチベーションをどう維持させるかが問題となってきます。トップ方針で赤字受注をしてしまったり逆に取りたかった受注を断るということもでてきます。
 
 営業での課題は他にも色々ありますが、疲れてきたので今日のところはこれまで。

2008年10月11日土曜日

受注設計生産型製造業の付加価値アップ(第4回)課題

前回まで受注設計生産型製造業の特徴について述べてきましたが、今回はその特徴から発生する課題構造について述べていきたいと思います。

1.顧客市場のライフサイクルでの課題について
 製品売価は高いのですがその顧客とする市場の成長性によって大きく左右されてしまいます。日本の近代工業の成長を考えれば直ぐ判りますね。製糸業等の軽工業から始まって、重工業、化学工業それから自動車、電子部品と日本の主体とする産業はどんどん変わってきました。
 したがって、製糸用の製造機械を作ったとしても日本に需要はありません。鉛筆や万年筆も同様です。
 その顧客の成長によって左右される訳ですが、成長に合わせてどんどん新規参入が相次ぎ市場も大きくなるのですが、競合メーカーも当然にように増えてきます。また、産業の成長も日本だけで考えるわけではなく、韓国、台湾、中国を初めとしたBRICSへとどんどん顧客市場そのものが変わっていきます。
 典型的な例が半導体になると思います。1980年代はNEC,東芝と家電業界はほとんど猫も杓子も参入し、生産量と品質、価格で本家本元のアメリカを追い抜いたのですが1990年代以降韓国サムスン電子、台湾AUOなど海外メーカーが台頭すると共に今や日本でDRAMを作っているのはエルピーダメモリーだけという状況です。その間、ニコン、キヤノン、東京エレクトロン、ULVAC、アドバンテスト等の装置メーカーは顧客が代わろうと関係なくシリコンサイクルの需要変動を耐えしのぎながら生き残ってきました。装置メーカーも色々参入してきましたが、半導体の技術進歩に開発が追いつかなかった企業もあり、生き残っている企業はかなり大規模な企業だけとなり、製造プロセス単位での装置メーカーの寡占化、独占化が進んだ結果となっています。

2.ビジネスモデルでの課題について
 詳細については次回以降にふれますが、製品単価が高く受注機会も毎日あるという事ではない為、一般消費者向けの製品とは桁違いに受注機会は少ないですね。
 したがって、顧客市場の需要変動はもちろんですが、非常に生産が極端に変動してしまう所謂フロービジネスです。需要のピークに自社の資源を合わせると、ボトムでは思いっきり人が余って、極端な場合は工場のペンキ塗りと草むしりなんてことになってしまいます。
 この為、製品の販売というフロービジネスだけでは会社として存続するのはリスクが高すぎる為、並行してストックビジネスの仕組みを立ち上げなければなりません。

 ここで重要なのがアフターサービス市場です。
よく考えて頂きたいのは顧客は装置を購入した時点では自社に何も寄与していないのです。装置を動かして自社の製品を作りだして初めて売上と利益を出せるのです。すなわち、顧客は製品を廃棄するまで動かし続けて投資コストを回収できるのです。
装置メーカーの売り逃げがそもそも許されるはずもありません。特に、装置が高精度になってくると顧客が修理すること自体難しいだけでなく、修理のできる要員も確保し続けることが難しくなっているわけですから。
 顧客にとってもこのように重要なアフターサービスですが、ストックビジネスとしても最も重要になってきます。典型的な例がコピー機です。本体価格ではほんの数百円しか儲かっていない?と言われていますが、トナーや紙を除いた消耗品で利益をだしているというのは結構知られていますよね。
 また、このストックビジネスを築く為には市場でそれなりの販売シェアを取ることが重要です。シェアを取って販売台数を稼げばサービス部品の在庫も置けるし、サービス要員も増やすことができます。
 結果として顧客にアフターサービスでの利便性を評価してもらって次の製品販売につなげることができますから。
 ビジネスモデルとしてのフロービジネスの課題はありますが、如何にストックビジネスのサイクルをつなげて回せるようになるかが重要です。シェアを確保すること以外に、例えば、コピー機ではトナーが企業機密になっていて特許もプロセスのブラックボックス化を図りトナー交換に伴うアフターサービスの市場をしっかり守っています。しかし、エレベーターではメンテナンス専門会社にアフターサービスを奪われることが発生し、メンテナンス不良による死亡事故を引き起こすようなことになっています。

それでは次回は個別に課題について述べていきたいと思います。

2008年10月6日月曜日

受注設計生産型製造業の付加価値アップ(第3回)特徴続き

前回は製品と開発の特徴を述べてきて、ちょろっとその課題めいたことも書き綴ったようです。今回は開発以外の業務機能というかオペレーション上の特徴を述べながらその課題についてお話したいと思います。

1.営業機能において

 開発が技術の先頭工程であれば、営業というのはやはりマーケット開発と企業活動のスタート点に位置する機能ですので、まず営業機能からその特徴を述べたいと思います。

 ①技術提案力の必要性

  顧客の購入する部門が工場の設備や生産技術部門であるし、調達部門より実質的な購入権限をもっていることが多いの為、営業部門は顧客の要求する技術仕様を理解し、それに適合する提案をできなければ相手にされません。御用聞き営業では困るわけです。もちろん、詳細な項目までは理解し提案できる必要はありませんが、顧客が位置する業界の用語は判って受け答えができることが必要です。
 ②トップ営業の必要性

  販売する製品そのものの価格が高く、ある意味顧客の事業の成否にもかかわっていますので、最終的な決定は役員以上社長決裁の必要なものになってきます。そうすると売る側としても営業の初期段階ではともかく価格交渉が押し詰まった段階となるとトップである社長や役員クラスの営業活動が必要となってきます。

 ③受注そのものの曖昧性 
  日本国内、海外共に変わらないことが多いのですが、製品の発注というか受注というのがとにかく曖昧です。納期だけ決まっていて、価格と仕様が決まらないことが非常に多いということです。もちろん、発注する側は内示書をだして発注(?)先を縛るのですが。

2.設計機能において

 ①仕様確定の曖昧性

 営業機能の③の特徴と非常に密接に関わっているのですが、顧客の要求仕様が固まらないもしくは簡単に変更されてしまい仕様打合せ変更が相次ぎます。例えば、某液晶メーカーが基盤サイズが中々決まらず、装置メーカーが見込みで仕様を決めて動き始めたところ変更して大幅な変更が発生したようです。顧客のわがままと言えばそれまでですが、液晶メーカーの例では基盤サイズにより何インチの液晶が何枚取れるか、将来にわたり液晶のコスト競争能力が決まってしまいます。従って、他の液晶メーカーごどう動くのか?めまぐるしく変わる一般消費者の購入動向も考えながらとなると中々決められないのも必然的なのですからね。

 ②プロジェクト型の仕事遂行性
 受注設計型と唱えている訳ですから、毎回の受注(?)に合わせて設計が開始されます。製造終了後装置が搬入され安定稼動するまで全てにわたって設計が関わってきます。搬入設置後は製造部門やアフターサービス部門が責任部門となって対応する会社も多いと思われますが、多くの場合、設計者に確認したり指示をあおぐことになりますので、安定稼動するまでは手を離せないということになります。このままでは他の受注案件や引合い対応に時間を割けなくなりますから、、会社としては売上を増やすには如何に設計者の手離れを良くするかが課題となりますが、課題と対応についてはまた後日・・・。

3.生産機能において

  受注設計生産型ですから受注毎に生産計画をたてることになるのですが、製品の特徴から毎月同じ量の受注があるとは限りません。受注の山谷が大きいのが特徴ですね。国内だけの販売の時は年度末に出荷が集中するようなパターンが多かった訳ですが、海外生産の増加や海外企業の台頭によってそのパターンが崩れてはきましたが、顧客同士がお互いに出し抜こうとしのぎを削っているので、この山谷の他に短納期化ということがプラスになってきました。
 調達や製造について述べていくと課題だけになりそうなので、ここで止めます。

4.アフターサービス機能について

 製品が顧客の設備であることが多いので、設置し安定稼動してもアフターサービスは必須の条件となっています。顧客の海外生産移転に伴って、顧客からサービスメンテナンス拠点を海外にも求められることになっています。顧客は高価な設備ですから稼働率を高くし、少しでも設備投資を回収しようとしますから、メンテナンス時間の短縮も要求してきます。24時間365日のメンテナンス対応ができないところは選定対象から外される可能性もでてきていますね。

特徴について述べれば課題ばっかりがでてきて中途半端になるので、次回は課題について各業務機能別に詳しく述べたいと思います。






 




 

2008年10月4日土曜日

受注設計型生産製造業の付加価値アップ(第2回)その特徴

少々時間が空いて前回から1週間を経過してしまいましたが、受注設計型製造業の特徴についてその概要を説明させて頂きますね。
基本的に毎回設計する(昔流に言うと図面を書いて)訳ですから、物を作る工数、材料の他に設計費も乗っかりますから当然設計費を回収できる製品売価であることが求められます。
 要は数万円の売価ではこの型の製造業は成り立たないということで、一般的に数百万円~数億円の製品売価でも購入してもらえる顧客が存在して成り立つ製造業となります。
 したがって、一般消費者が購入するものではなく、自動車部品、半導体・液晶などの電子部品、食品の生産設備機械や造船、建設などの大型プラントとなる訳です。
このような受注設計型製造業を次の各視点で特徴を分析してみましょう。

1.販売機会
  販売単価が高価だけでなく生産設備などはその購入というのがそんなに頻繁にある訳ではありませんから、販売機会数は少ないですね。例えば、シャープの液晶工場が毎月日本各地にできる訳ではなく、液晶テレビの売れ行きと今後の販売見込みを見て数年に1回戦略的に工場を増設するというのが一般的ですから。
  造船も長い間韓国の台頭により不況となり、廃業や経営統合されて造船業自体が縮小していましたが、昨年来は中国の大幅な成長に伴う物流拡大により船の購入が増えてきましたが、受注機会数の単位は日、月ではなく年の単位で計られる少ないものです。

2.製品開発
 販売機会数は少ないものの、ただ受注したらその都度設計すれば良いかということではなく、購入する顧客は単純の増産したいからという目的で製品である設備を購入する訳ではありません。
 顧客は他社より優れたものを作って販売することも同時に目的としてもっています。例えば、自動車であれば環境性能で優位に立つ為に軽量化しようとすると、今までは鉄の加工ができれば良かった設備に対して他の軽金属やプラスチックの加工ができることを求めてきます。
 当然、この要求に対応しなければ受注できない訳ですから、顧客のニーズを探って前倒しで製品開発をおこない続けることが必要です。

 特徴について詳しく述べていくと、この受注設計型製造業の課題ということが見えてきますが、本日のところはこの辺で・・・。また、次回へ 

2008年9月28日日曜日

受注設計生産型製造業の付加価値アップ(第1回)その定義

まず、製造業の分類といっても色々ありますね。
 代表的な分類として日本標準産業分類による定義がありますね。これは全ての産業を分類しているものですが、この分類では主に製造される製品の種別によって細かく分類されています。
 例えば、金属加工業、印刷業、化学工業などで更に金属加工でもアルミ加工など細かく分類されています。
 次にこのブログで進めていこうという分類ですが、これは日本標準産業分類というお役所による定義ではなく、どちらかというと民間が勝手につけた分類と言えるでしょう。といっても海外でも同様に分類されていますので、いいかげんなものではありませんね。

1.生産方式の特徴からの分類
①プロセス生産型
 石油化学工業のように原料となる原油から装置を通じて、ガソリンや灯油などの製品がアウトプットされるものです。タンクや蒸留装置などの設備に依存されてきます。 また、様々原料を混ぜ合わせて作られるものもありますね。水と酵母にタンクでのプロセスを通じて製造されるビールなど大型の設備を使ってつくられるものが多いのが特徴です。
 その他、ガラス、製粉などがそうですね。
②組立生産型
 プロセス生産型に対して、部品を組み合わせたり、加工してひとつの製品を組み立てる製造方法がとられるものです。例えば、自動車や家電品、船、飛行機などがそうですね。
 数点の部品の文房具から何万点で構成されるスペースシャトルなど多岐にわたっています。

 ただし、このような分類で完全に製品が全て完全に分けられるものではありません。例えば、液晶パネルは前工程ではガラスに様々な加工をおこなうプロセス型の工程を通りますが、後工程では液晶以外の部品(ドライバー用ICや、TABテープ、偏光板など)を組立る組立生産型となります。

2.生産計画の特徴からの分類
2-1.見込生産型
 販売の見込みや販売計画に基づいて立案された生産計画によって生産されるものですね。
 在庫を置かないと販売できない製品になります。小売業の店頭に並ぶものはほとんどが見込みで作られたものになるでしょう。お客さんは製品を入手するまで待つ時間はありませんね。
2-2.受注生産型
 注文がきてから作るものですね。受注の都度生産計画をたてて生産されるものになります。
 お客さんからの注文をうけてその都度作るものです。生産計画に合わせて、材料を仕入れて加工しますから、製品を入手するまで時間がかかりますね。
2-3.受注組立型
 注文がきてから作るものです。これも受注生産型と同様に受注の都度生産計画をたてて生産するものになりますが、受注生産型と異なるのは材料や加工品、半製品が事前に販売計画を元に見込みで作ら在庫されたものを組み合わせることです。おすし屋さんはネタとシャリを見込みで作っていて、お客さんからの注文の都度作っていますね。
 したがって、受注生産より注文から製品の入手時間は短縮されますね。

2-4.受注設計生産型

 注文がきてから生産計画が立案され、設計の工程計画を立案し、都度設計して図面を作って、その図面を元に材料を発注加工して製造するものになります。液晶の製造装置や大型の製造プラント、橋梁などですね。したがって、受注生産型よりも設計期間分、お客さんが注文してから製品を入手するまでの時間がもっとも長くなりますね。

このような生産計画別の生産がありますが、メーカーでは売れ行きの良い製品や季節で売れる製品では見込み生産型をとったり、受注する機会が少ない製品では受注生産型などと製品の販売特性や特徴に分けて生産されています。最近ではSCM(サプライチェーンマネジメント)やトヨタ生産方式などの導入により、受注組立生産を取る企業が多くなってきています。

 このような生産の分類の中でこのブログでは受注設計生産型製造業の付加価値アップをどうすれば良いのかに的を絞って進めていきたいと思います。

2008年9月23日火曜日

ロボットコンテストに思うこと

本日NHKで配信されましたが、ロボットコンテストを毎年見て思うことは大きく2つのポイントに絞られますね。
 まず第一には目的に向かって原点志向でロボットコンテストの参加者が取り組み工夫していることです。
 ロボットコンテストは毎年あるテーマ(何を獲得して、ポイントはそれぞれ何ポイントである)に対して制約条件(試合時間、ロボットの高さなど)を示されています。
 参加者はこの制約条件の中でテーマを達成し、勝ち抜く為にはどうすれば良いかということを原点に立ち返って考え抜いています。ロボットコンテストを繰り返す中で得点を如何に獲得するかというだけでなく、相手に得点を取らさせない為の防御ロボットが登場したのも一例でしょう。
 自分のチームが勝つために、相手に勝たせないというのも原点志向で考えた結果だと思います。
実業の中でも特許やニッチに特化という参入障壁という防御をしているじゃないですか。

 次に第二にこの原点志向で取り組むプロセスの中で参加者のチーム全員がアイデアを出し合い、試行錯誤しながらレベルアップしていくことです。ロボットコンテストでの優勝が活動の成果であるとしたならば、このプロセスの中でチームとしての一体感を醸成し引き続き次年度や次の試合に取り組んでいく充実感を育んでいっていることです。
 優勝という成果も確かに重要ですが、コンサルタントとしての私はこの二番目のポイントが最も重要だと考えています。
 何故ならば、成果という点においては必ず百戦百勝という訳ではなく負けることもある訳ですが、この活動におけるプロセスによって育成されるチームとしての人材は継続的な成果を生み出していけるからです。
 企業の業務改革、業務改善に人材というのが最終的には最も重要なのですが、一般的な会社ではせいぜいそれを人事評価制度というところでお茶を濁しているだけだと思います。
 私が師とあおぐアメリカのAマズローの自己実現の欲求は一人だけでの行動では決して得ることはできず、チームという複数人の行動の中で相互に認め合うことで達成できると思っております。

 毎年のロボットコンテストでこんな感想を思うのですが、私のコンサルティングはクライアントである企業にこの二つを満足してもらっているかどうか常に反省するばかりです。

受注設計生産型製造業の付加価値アップ(第0回)概説

サービス産業の生産性向上について7月から9月にかけてお話させて頂きましたが、その詳細の展開はやはり実地コンサルの場に譲るとして、製造業の中で受注設計生産型製造業の付加価値アップについて述べさせて頂きたいと考えます。
 さしあたって、本編に入る前にちょっと概説を述べさせて頂きたいと思います。
昔から(ひょっとして明治維新以降からの)殖産産業施策として、加工業としての製造業が日本の産業政策の中心であったと思われます。
 当初、日本産の原材料を元に加工した絹織物などの工業製品を海外で販売することにより収入を得ることによる国民所得の向上からスタートしました。更に、海外から輸入した石炭、鉄鉱石などの原材料を元に加工して鉄鋼、造船、化学、自動車などの製品を輸出することにより国民所得の向上が図られましたが、これは第二次世界大戦の敗戦という中断をはさんで1980年代まで継続されてきたといえるでしょう。
 いずれにしても日本の成長は製造業の成長と共にあったといえますね。製造業はこの成長過程の中で従業員に利益を還元し、日本はアメリカに次ぐ裕福な国家となり得ました。
 しかしながら、1990年代にバブル崩壊を期にその日本を支えてきた製造業は海外に生産を移転し、製造業に携わる企業の利益のほとんどを海外で稼ぐということになってしまいました。
 このことにより、日本政府はあわててGDP比率で約70%を占めるサービス産業の育成に力を入れ始めましたし、地産地消ということで農林水産業の底上げを図り始めましたね。
 といっても製造業が日本の人口を支える基幹産業であることは事実ですし、サービス産業の成長により人口も支えられる状況になるまでは製造業を見捨てるということはできないはずです。

 ここで日本に残っている製造業を考えてみますと自動車の関連産業を除いて従業員を抱えて大量生産している製造業というのはほとんど残っていませんね。購入された製品の裏をひっくり返して製造国を見ると、ほとんどMADE IN CHINAなのですから。
 ということで残っているのは少品種少量生産の製造業、一般消費者というマスマーケットを対象としていない企業になります。
 この少品種少量生産の企業のなかでも多種多様ですが、今回はこの中で最終顧客に製品を提供している受注設計生産型の製造業に着目してその付加価値向上について述べていきたいと思います。

2008年9月19日金曜日

サービス産業の活性化について(番外編)ふたたび理美容院

昨日、久しぶりにカットで美容院に行ってきました。
そこで聞いたニュースはまた近所に美容院が進出するということです。この美容院の通りをはさんで真向かいです。この通りはすでに100m歩く間に3軒美容院がありますが、進出してくると半径20m以内に3軒という驚くべき美容院密度となります。
 酒蔵通りに対抗して美容院通りにしても良いかもしれませんね。
この通りだけでなくメインのブールバール通り沿いにも美容院は何軒もありますから、西条駅周辺はまさしく美容院のメッカですね。(理容院もありますが、美容院はその倍以上あります。)

 こうなると気になるのが収益性の問題です。売上は比較的算出し易いのですが、美容院の平均単価を8,000円とすると1人の技術者がこなせる客数を1日4人としますと3.2万円/日、25日稼動すると80万円/月、960万円/年となりますね。

 利益は人件費、材料費、電気ガス光熱費、設備償却費を減じた金額となりますが、これは技術者の稼働率をほぼ100%で計算していますし、顧客単価をパーマ、ヘアカラー代を考慮した高めの設定としていますので、この金額以下となると思われます。

 これだけ美容院が乱立してくると、どの美容院が生き残れるか?ということが問題になりますね。技術料のデイスカウントはQBハウスのような駅中のカットオンリーの理容院と異なり難しいですから、やはり如何に稼働率を上げるか、もしくはコストが安い(人件費が低いオーナー一人の技術者)かどうかにかかってきます。

 今月のブログで理美容院の分析をおこないましたが、分析だけではもちろんビジネスとしては成り立ちませんから、対策を打たなくてはなりません。

 対策として考えられるのは価格、稼働率となります。
この内価格については理美容院の技術料金というのはほぼ決まっていますので、QBハウスのような駅中カットオンリーの理容院を除くと値引きというのは難しいと思われます。どちらかというと自分の首を締めてしまいかねません。

 したがって、稼働率を上げて供給コストを引き下げるしかありませんが、この為の集客の努力をしているように思われないのが現状で、ただ漫然と店を構えて来客を待つという待ちの営業スタイルですね。

 東広島市は人口が極端に西条駅を中心とした1km圏内に集中する傾向にはありますが、全ての理美容院が継続的に営業し続けられるかは疑問ですね。何故、この待ちのスタイルを変えられないのでしょうか?開業も多いのですが廃業も多い理美容院をみていますと、もっとおこなうべきことは多いのですが。

 例えば、広大の新学期が始まる4月、9月の時期に合わせて店のビラ配りですが、当たり前すぎますが私は見かけた記憶がありませんね。ビラ配り以上に顧客獲得の為の方策は色々あるし、特異のビジネスモデルまで高められた理美容院もあるのですから、もっと活動して頂きたいですね。

2008年9月14日日曜日

サービス産業の生産性向上について(番外編)サイゼリア様事例研究

サービス産業の事例研究としてTBSかっちりマンデーで紹介されたレストランチェーン「サイゼリア」について分析したいと思います。がっちりマンデーでは理系頭脳による経営戦略という視点ですが、経営コンサルタントとしては同じ視点では面白くないので、別の視点で考えてみたいと思います。

1.最も重要なポイント経営計画(目標値の設定)
 イタリアンレストランとして安価であればヒットするというところからスタートされたわけですが、「美味いのは当たり前」という大前提を設定されたというのがまず重要なポイントです。 美味しさと安さという2つの前提をもとに、自社の経営計画としての目標値を1,000店の店舗展開をするというところに置かれたのが最大の生協要因であると思われます。 この経営計画がなければ番組で紹介された理系頭脳からの経営戦略ということはできなかったはずです。 すなわち、目標設定をしてからその為にどうすべきなのかを、理系頭脳(データによる分析と検証)を有効に活用することができたと言えるでしょう。

2.目的に合わせて原点志向で対策を検討
 1,000店という店舗数で安値、美味しさのイタリアンレストランチェーンで収益を上げる為に、既存の概念と対策を無視して実行されています。 <ローコストの実現の為に>  安値を実現する為にはコストを削減することが重要です。レストランチェーンのコストとしては直接費の食材、人件費となりますが、この両方のコストを一気に削減されています。
 1)食材コストの削減    
まず、人件費ですが接客するフロントは削減せずに、メニューを提供するバックオフィスである厨房のコストを削減しています。  当然、工場でまとめて食材をカットし現場のレストランの厨房で食材をカットするよりはコストが下がります。  しかし、普通は工場でカットした後にレストランにもっていけば持たないから無理だと思いますよね。  この固定観念をまさに否定し、4℃に食材(野菜の収穫からカット、厨房の在庫まで)を保つことによって実現したということです。
2)間接コストの削減
  間接コストの削減ではIT導入ということが良く言われていますが、サイゼリアの特徴としてはレジを徹底的にITの端末としての機能を集約したということです。  店舗から本部への食材発注から給与明細書の出力、タイムレコーダーとしての入力、様々な紹介画面として多機能化を図っていましたね。

もちろん、番組ではその一部しか紹介されていませんでしたが、サービス産業としての目標を明確に設定し、差別化する手段を既存の概念の枠にはまらずに徹底的に追求していくことがサイゼリアの成功(中)要因ですね。  

2008年9月10日水曜日

中小企業における内部統制について(雑感)

昨年来の上場企業における内部統制の準備から本番としての今年度を迎えていますが、この支援コンサルティングの経験と昨今の食品偽装のニュースを考えると中小企業における内部統制はやはりポイントを変えるべきだと思います。

上場企業の内部統制構築をふりかえると
 上場企業の内部統()J-SOX)では決算書作成に関わる勘定科目(売上、売掛金、資産)に結果として絞られたものとなってしまいました。法律上は業務効率の向上を図ると明記されていましたが、監査法人の四半期対応実務に合わせて更に内部統制のプロセス評価で監査工数が増え費用がかかるという理由もあって、この制度を利用してビジネスリスクを回避したいと考えた経営トップの考えとは全く逆の方向に走ってしまいました。
 監査法人の理屈として監査報酬を増やさない為には対象を減らせということになりますし、逆に厳しくして監査報酬の引き上げを狙うということで、この対応も監査法人別に異なるというのではなく監査人個人によって異なるというのが実情です。

CSR(coporeate socail responsibility)を中心に
 昨今の食品偽装事件(最近では工業米の食品用への転用)を考えると、まず企業は公器であるという倫理を企業のトップが考えなければならないということです。非上場の中小企業は世界が不況モードにはいりつつある段階において利益確保の為に明らかに企業倫理に違反してでもという経営トップが数多くいるということです。
 食品偽装以外にも外国人労働者への賃金もしくは残業代の未払いなど色々な反社会的なことを実施させているのは企業のトップです。それが殆ど内部告発によって始めて外部に明らかにされているということです。
 CSRは元々従業員への徹底のイメージでしたが(もっとも大企業ではそうかもしれませんが)、現時点では上場、非上場を問わず経営トップへの徹底が最重要であると思います。
 それが、結局企業存続を図るということになるからです。多くの企業がこの問題で解散したり事業停止しましたね。
 内部統制(J-SOX)は従業員の性善説ではなく、欧米型の契約社会における性悪説に基づいた対応を求めるものですが、中小企業では経営者の不正な利益確保の道に進まない為のCSRが必要ということになると思います。
 原材料高騰、ガソリン高騰など中小企業を取り巻く環境は悪化しています。真面目に経営改善に取り組まれている中小企業のほうが圧倒的に多いのが事実ですが、自主的にCSRの導入により従業員にも経営トップの取り組みと信頼関係を充実してこそ、全社一丸となった経営改善への取り組みができるのではないでしょうか?

2008年9月8日月曜日

サービス産業の活性化について(番外編)理美容院分析

昨日の日曜日、敬老の日のプレゼン用のお酒を賀茂泉酒造の酒泉館で発売されたばかりのものを買い求めて、裏通りを散歩してきました。
 西条の街の理美容院の出店の多さは前から判っていたのですが、裏通りにも結構新しい店ができていることが判りました。
 理美容院を類型化すると次のパターンに分かれていますね。
1.出店場所での区分
 ①表通り型
 ②路地裏型
2.店舗での区分
 ①開放型(ガラス越しに店内が見える)
 ②隠れ家型(2階もしくは1階でも外から見えない)
新規出店されている店舗は表通り型で開放型が最も多く、どちらかというと理美容技術者も客層も若いという感じですね。最も典型的なものは駅中出店で安い、早いを謳い文句にシャンプーなしのカットだけというチェーン店です。ただし、こチェーン店は客層が若いという訳ではありません。また、新規の客も多いが固定客を確保しにくい(=浮気し易い)と言えるかもしれません。
 店舗に入り易いのはこのタイプの店でしょう。
昔からの店舗は路地裏型で隠れ家型が多いようで、技術者も客層も高年齢層が多いようですね。このタイプの店では混んでたらどうしよう、逆にすいていたら技術的にどうなのか疑わしいと思い勝ちなので入りにくいのですが、店側からすると逆に固定客をつかみ易いというのが特徴です。
 店というより技術者と顧客との個々のコミュニケーションを確保し易いと言えるでしょうが、人付き合いの苦手な技術者ではこのタイプでは難しいかもしれませんね。

ではまた日々気づいたことをコンサルタントの目を通して分析していきたいと思います。

2008年9月2日火曜日

サービス産業経営者向け研修第2日目を終えて

東広島市コラボスクエア主催のサービス産業向けの研修も本日最終日である2日目を終了することができました。
 後のアンケートでも判りましたが、やはり個々の企業の勉強度合いに差があり物足らない参加者からちょっと難しかったという感想に分かれてしまいました。
 やはり対象業種をサービス業という広範囲ではなく狭い業種に絞り、なおかつ既成のテキスト(ITコーデイネータ協会作成)を使わずに、カスタマイズしたテキストで今後機会があればおこなってみたいと思います。
 もちろん、サービス産業は人に依存したビジネスだけに長期の研修やコンサルティングの遂行が難しい面がありますので、受け入れ態勢に合わせた活動とのバランスが必要になります。
 また業種を絞りすぎると参加者が競合関係になって議論が難しいというところがありますが、いずれにしても複数企業の参加する研修の限界がありますから、外部研修の後は社内への派遣研修というのが費用の問題は別として現実的ではないかと思われます。

 なお、本日の研修の自社分析(前回宿題としてお願いした)での発表では居酒屋さんと酒造メーカーの2社に実施して頂きました。
特に、居酒屋さんは社長がアルバイトを含めた従業員を率いて一緒になって職場をより良くし、「居酒屋甲子園」にチャレンジするという明確な目標設定をされていました。
 従業員が楽しく職場を盛り上げ、その結果として顧客を楽しませているということが容易に想像できました。一度、嫁さんを連れて飲みにいくつもりでいます。

 酒造メーカーさんはG8議長会議対応で大変忙しいにもかかわらず宿題としてお願いした自社分析を実施され発表して頂きましたので非常にありがたく存じました。国内では女性、若年層(もちろん成人)にターゲットを絞った製品開発、また海外への販路開発という明快な方針に基づいて行動されていることが判りました。今後は更にテナントショップを有効活用され、この国内の製品開発に結びつけられることを期待しています。(私も時々昼間からお酒を楽しめるテナントショップへ伺って新しく開発された酵母のお酒を頂いています。)

それでは

2008年8月28日木曜日

サービス産業の生産性向上について(番外編)スタジオアイ様事例研究

昨日はくれ産業振興センター主催のセミナーで株式会社スタジオアイの相川社長の講演がありましたので、サービス産業の生産性向上のポイントでその企業としての成長を事例として分析させて頂きたいと思います。

1.スタジオアイさんの概要について
 スタジオアイさんは斜陽化している写真館というサービス業のなかで確実に生き残るだけでなく成長し続けており、現在売上高7億円までに成長されている企業です。
http://www.studioai.jp/

2.4つの視点での分析
 現社長である三代目相川敏郎様は元来営業的なセンスが優れている方のようで、新規市場開発やビジネスの仕掛けにおいて様々な手を打たれてきていますが、これを今回のブログで述べてきた4つの視点で分析をしたいと考えます。
1)市場開発の視点
 ①七五三ビジネスの開発
 出発点である相川写真館の位置する呉、音戸地区において七五三という一般的な風習がなかったが、学生時代に他の地域では写真館はこの七五三という風習の中での子供の記念撮影というビジネスが潤っていることに気づいた。
 このビジネスを呉、音戸地区で開発する為に神社と付随するお菓子屋を営業手段として利用し、地域住民にこの風習の存在を宣伝した。その販路として幼稚園、保育園の子供を持つ家庭の名簿を使ってダイレクトメールの販促活動を遂行し、継続的な七五三撮影ビジネスを立ち上げた。
 ②婚礼写真ビジネスの開発と撤退
  相川社長が引き継がれた時点では婚礼は自宅でおこなうのが常識であり、婚礼写真撮影の為に重い機材をびセッテイングするという手間が負荷となっていただけでなく、婚礼する側も写真撮影の為に婚礼の時間を調整しなければならなかった。この出張撮影というビジネスを婚前撮影という他の地域で始まっていたビジネスに顧客を誘導し、スタジオ撮影でよりきれいな婚礼写真を残すといことに切り替えた。
 その実績を元にその当時急成長していた婚礼専用会場の玉姫殿に進出し、婚礼撮影ビジネスを立ち上げることができたが、婚礼件数が2002年までに半減するという事実を目の前にして事業の展開を図ることになり、婚礼専門ビジネスからは撤退した。
 ③商圏開発の方針
  スタジオ撮影する為には当然顧客となる人口が少なければ、いくらなんでもビジネスは成り立ちません。イオンモールのように田圃のど真ん中に出店するわけにはいきませんが、相川社長は商圏として10万人を前提としてスタジオを出店されてきました。出店においては地元の関係に大きく左右されるのですが、これを客観的にしかも目立つところという条件で幹線道路沿いという場を求めて、順次展開されてきていました。
  特にダイアモンドシテイ(現イオンモール)への出店においては、広島での新規出店はここでなければならないという強い意志により出店され実績もあげられています。

2)サービス商品開発の視点
 ①他の地域での流通商品の投入
  七五三撮影という商品を七五三という風習の紹介を合わせて呉、音戸地域に投入したこと。
 ②出張商品を来店商品への変換
  七五三も当初は神社の境内へ出向いて撮影するところからはじめ、婚礼撮影も出張撮影からスタジオ撮影へ切り替えることにより、良い写真の提供をおこなうこととなった。
  ここで相川写真館の特徴は相川社長が学生時代に東京でスタジオ撮影のアルバイトをしながら磨いてきた、単なる記念撮影ではなく様々なポーズを入れた撮影を織り込むことによりその”場”をイベントとして取り込んだことにある。
 ③イベントビジネスとしての撮影の転換
  新たに設けたスタジオを衣裳や美容も全て撮影される顧客に見せ、撮影のプロセスを楽しんでもらえる場として提供するだけでなく、七五三ファッションショーなどを企画することにより、少子の中で我が子にかける親御心をくすぐり人生のイベントとして何度でも楽しめるようにしてきたこと。
  もちろん、ハードとしてのアウトプットである写真もそのまま裸で提供するのではなく、フォトブックとしてもしくは家族全員で楽しめるデザインでの印刷スタイルも独自に提供している。

3)サービス人材育成の視点
 サービスは顧客だけでは供給できる訳ではなくサービスを提供する従業員との間でサービスが成立するというのはこのブログでも述べてきました。
 ①定期的な人材教育
  年2回従業員全員の研修会を撮影や美容など分野別に実施しているだけでなく、相川社長が全国的な同業者の組織体であるスタジオ研究会を立上ていますが、そのスタジオ研究会での他の写真館組織と合同で研修をおこない同業者と切磋琢磨させているというのが特徴です。
  更に、相川社長自身がこのスタジオ研究会という気の置けない仲間との交流の中でビジネスのヒントを得たり、判断をおこなう場としても位置づけられている。
 ②顧客の評価の受入
  スタジオを利用した顧客の自宅を訪問し、撮影された写真がどのように使われているかや評価を従業員にビデオでフィードバックをかけている。
  全体に共通することであるが、従業員だけでなく社長も楽しみながら仕事をされており、その雰囲気は十分このセミナーで伝わってきていた。

4)サービス業務支援の視点
 ①アナログ撮影からデジタル撮影への切り替え
  もはや当然といったデジタル撮影ですが、写真家としてはアナログ撮影というのは中々捨てがたいものではあったが、実際撮影した後でのフィルムの送付、現像、印刷処理は長くプロセス的にも付加価値を生んでいないものが多く、早めの切り替えにより写真の提供リードタイムの短縮という効果だけでなく、間接業務コストの削減も図ることができた。
 ②情報システムの整備
  企業規模が大きくなるに従って顧客管理や売上処理などのデータ処理時間が長くなるだけでなく、スタジオでの撮影終了後の事務処理が重複記帳入力により顧客の精算する時間も長く、顧客を待たせてしまうということも発生していたが、これも既存のパッケージを利用しながら追加開発をおこない時間短縮を図ってきました。
  今後、会計で使われてきたパッケージソフトがボトルネックとなってきた為に、顧客インターフェース部分からリニューアルされるそうです。

3.まとめ
 相川社長の営業センスにより発展をとげられてきたビジネスですが、途中から経営者としての分析と判断を加えられることにより失敗や成功をその要因をしっかりと把握され次への展開をされてきたのが今日の成功に至ったのではないかと思います。
 サービス産業の生産性向上の面で今回のセミナーの内容を述べさせて頂きましたが、ソニーのデジカメ(マビカ)の登場による写真ビジネスの変換の潮流をとらえ早期のパソコン導入など全ての面での先見性とKKDでなく客観的な判断をなされてきたのは素晴らしいことです。
 既に国からIT経営百選や中小企業IT経営力百選などの様々な受賞をされていますが、今後もこのビジネスモデルをどんどん進化されていくことでしょう。
 
 残念ながら急激に人口が増加しており若い家族も多い東広島市にスタジオアイさんのスタジオがないので自転車でちょっとそのスタジオが覗けないのが残念ですね、

2008年8月27日水曜日

サービス業経営者向け研修第1日を終えて

昨晩は東広島市のコラボスクエア主催のサービス業向け研修の講師をおこなってきました。
参加者も20名近くとなり想定した10名を越えるものになりました。
 サービス業といっても既にこのブログで記述させて頂いたのですが、業界の範囲が非常に広い領域な為、研修のテキストとしてはITコーデイネータ協会作成の経営者研修(1日コース)のものからIT関係を外してサービス産業に関わる事例やデータを追加したものとしました。

 今回の研修の狙いというのは経営革新の為の考え方や手法を簡易に紹介し、「なーるほど」という気づきを経営者の方にもってもらうことを目的としています。
 といっても抽象的な説明ですと耳の右から左へ出て行きますので、今回はある米穀店を例にとって(実在する米穀店ですが、経営数字や悩み、強みなどは加工されています)事例研究ということで、簡単な実習をしながら講義を交えて進めることになっています。
(ITコーデイネータ協会では1日コースの事例として製造業のものも用意しています。)

 次回は事例実習のひとつの課題をグループデイスカッションを通して発表して頂き、初日での経営革新の考え方や手法の一部を適用して自社分析をして発表して頂くことを予定しております。
 特に自社分析の発表では参加者の方に他のサービス業の参加者がどんな考え方を持っているのかを参考にして頂きたいということと、発表を通して参加企業同士の交流を図って頂きたいと考えております。
 もちろん、更に3日、4日の経営者研修や本格的に経営革新の活動を図って頂ければと思っております。

2008年8月25日月曜日

やっと光導入

やっと光ファイバーでの通信環境にADSLから変更しました。
入居しているマンションでは既にNTTとYAHOOが光ラインを導入していたのですが、契約していたKDDIが光通信網を拡大するスピードが遅くなったのが原因ですね。
 料金がADSLより現状の利用からすると10%程度安くなるようです。
 パソコンは無線LANを導入しているので通信スピードの改善はみられませんが、入居しているマンションでのKDDI利用率は低いので他の2社より早い環境を期待して光テレビも合わせて契約してみました。(この分料金はかなりアップします。)
 光テレビは普通のテレビと全く遜色ないというかノイズが全くないので、画像としては良いものになっていますね。もっとも、光テレビを観るのは家族が主体ですね。ただし、あまり観ないようであれば半年で光テレビのほうは契約解除するつもりです。(この辺は他の2社より融通がきくようです。)
 しかし、光のメリットがこの程度ではモデムからISDN、ADSLへの通信速度の飛躍的な改善と比較すると物足らないですよね。もう少し食指を動かすようなコンテンツを通信各社は提供できないのでしょうか?

2008年8月23日土曜日

いよいよ酒祭りカウントダウン

創業して1年もたたない弊社に酒祭りの寄付金の依頼書が郵送されてきました。(ちょっとびっくり。)
酒祭りは本当に西条を代表する一大イベントになりましたが、8年も住民としてみていると気になることが色々でてきますね。

1.JR西条駅での危険性
  JR西条駅の混みあいはひどく、昨年仕事の打合せと兼ねて来た先輩が「構内をまたぐ陸橋が、まるで明石の花火大会で人が圧死した状況に近くなっている。」ということでしたが、上りと下りの電車がほぼ同時に到着すると改札口近辺は山手線の朝の池袋⇒新宿間のラッシュ並みとなっています。
臨時改札口を設けるか、広島方面からの上りホームで陸橋の手前でロープを張った規制をしないといけないでしょうね。
 酒気運転事故を防止するのに注意が回っているかもしれませんが、今年は特にガソリン高騰で車よりJRを利用してくる人が多くなることが想定されますので、検討すべきですね。

2.トイレの不足
 開催の2日間に10万人以上が西条の街並みに押し寄せてくるわけですが、昨年は臨時トイレが設営されていたものの案内もされていなかったし、酒蔵の中のトイレも元々従業員用でキャパが少ないので限界に来ているようです。
 とにかく、マンションがどんどん建っていますから、空き地も少なくなって臨時トイレの置き場も不足していますからかなり不安です。

3.景観の悪化
 毎年酒ひろばの会場になっている中央公園の南側にマンションが建設中です。今年はまだ地上分が組み上げられていませんが、来年は南側全面をふさぐ形で建ってしまいます。
 酒ひろばを上から覗かれるのは酒飲み達にとっては一体なんだということになりかねませんね。
中央公園だけでなく酒蔵の白壁の町並みがどんどんマンションに侵食されていってしまい、観光客が写真を撮る価値のある場所が少なくなっているのは何とかしたほうが良いですね。

4.経済効果
 これだけ酒祭りが大規模になっているのに、西条の酒造会社の売上は減る一方です。会社手帳での年鑑でみると、ある酒造会社は10年前の売上が半分になっていますし、最大手の賀茂鶴酒造も1社分の売上が落ち込んでいます。
 西条の酒はジャパンブランドに認定され海外へ販路拡大を図っているところですが、酒祭りに来る人の半分でも10%でも西条酒のリピーターになって西条酒の売上拡大につながるような仕掛けはできれば、地元の雇用拡大にもつながると思うのですが。

 毎年楽しみにしている酒祭りですが、色々と悩むことが多いですね。いずれにしても酒祭り実行委員の方は本当に大変だと思います。

2008年8月21日木曜日

製造業の利益向上について(広島県商工会連合会セミナー)

今日は広島県商工会連合会主催のセミナーに講師として参加してきました。タイトルは「原材料インフレ下で生き残る為の『中小製造業の利益確保の進め方』」&個別経営相談会です。
昨今の強烈な原材料の高騰と原油高の環境下で生き残る術を述べさせて頂いた訳ですが、このようなことは90年代後半でもおこっていたことですね。
 しかしながら、今回は製造業がほとんど中国を中心とした海外に生産移転している状況というのが、以前の不況と異なりますね。折角、日本に生き残った中小製造業がまた環境悪化に追い込まれており、事業継承の問題もからめて更に悪化する可能性がでてきています。
 受注拡大とコスト低減の為の管理会計の導入、製造効率の向上についてお話させて頂いたのですが、何かヒントを得られたのでしょうか?最後に自己診断シートに記入して頂きましたが、結果はどうでしたでしょうか?
 テーマをもっと絞れば具体的に考えられるのでしょうが、やはり原点志向で元から企業としてのやるべきことを考え直して頂くのが遠回りのようで近道だと思います。
 来週は東広島市のサービス業向け研修会の2日間コースの初日です。元のテキストはありますがITに片寄ったものなので大幅にサービス業向けに直すことになりますね。
 

2008年8月20日水曜日

サービス産業の生産性向上について(第15回)まとめかな?

サービス産業についてサービスそのものの特性やマーケット開発、サービス商品開発、人材開発、クレーム対応、品質管理について述べてきました。

 サービス業については非常に多くの業種、業界にまたがるだけでなく、製造業もⅰ-Podにみられるようにサービス業との境目が曖昧となってきていますので、ひとまとめにすることは難しいかと思います。
 昨年からの国の施策としてのサービス業活性化の目的として、要は日本経済特に地域経済活性化を狙っての目的ですから、あまり定義云々に拘泥するのではなく、ともかくまず産業として活性化しようということです。

 ただし、闇雲に弾を撃つのではなく合理的にマーケットの特性を分析し、それに応えるべくサービス商品の開発をおこなうことが必要ということです。アメリカのサービス産業がサイズによるコスト優位性を前面に押し出してくるのであれば、日本では表面的には徹底的に個々の顧客に合わせたカスタマイズと裏面では作業の標準化や合理化などによるコスト削減で戦うということです。
ただし、やみくもにトヨタ生産方式を導入するなど方法にこだわるのではなく、自社の現状に合わせて方法を選択すべきでしょう。最後は従業員という人材が継続的にやる気にならなければ意味がありません。活動のきっかけとしてトヨタ生産方式を導入するというのはもちろん良い事だと思います。もちろん、経営トップが従業員と十分なコミュニケーションをとって進めるということは必要ですよ!

 ここで最後に重要なことはカスタマイズといっても個々の中小企業では雇用の確保や事業の承継が困難ですから、ゾーン(地域)でブランド化し地域内で相互に補完し合いながら実行することではないかと思います。いわゆる、ゾーンブランデイングですね。
 ブランドによりまずサービス供給者の内側の結束力を上げ、従業員の活性化につなげながら、外部(消費者)に対して差別化をおこない、リピーターを増やし売上、利益を増やしていくことになりますね。
地域における連携事業については農商工連携などを含めて色々な国の施策が実施されていますので利用すべきでしょう。ただし、荷が重ければまず身の丈に合わせて小さくスタートすれば良いと思いますね。(ちょっとゾーンブランデイングへの論理的な飛躍に無理を感じられたかもしれませんが、そこのところはご勘弁を。)

農商工連携のセミナーを拝聴して

昨日は広島県三次市で農林水産省と経産省が7月の法律施行に合わせて開催した農商工連携のセミナーを聞きにいきました。
 講演とパネルデイスカッションを含め約半日の内容でしたが、まず圧倒されたのはこの分野で長くコンサルティングを実施されている鳥巣さんの講演でした。
 毒舌をふるまきながら、今までの経験からの農商工連携の課題を熱く語られていましたが、官製の農商工連携ではなく身近な農商工連携を訴えられていました。大手スーパーによる生産者価格の低価格維持がもう限界にきていると思います。日本の食を守る為に、日本の消費者が食に投資することが必要となってきています。地産地消による地域経済の活性化は縮み行く日本経済(人口が50年もしないうちに半分になる事実)にとって必須です。私はサービス産業の育成にからめて日本経済の復興を考えてきましたが、老齢化と人口減少を考えていくと、農商工連携とサービスによる地域ブランド化による地方の再興(ルネッサンス)が、取り組むべきう重要課題ではないかと思い始めました。
 会場も鳥巣さんのブログではJA三次が参加されていたこともあり、農業の出席者と商工者の出席者が半々で会場は沸いていましたね。

 パネルデイスカッションも地元三次の農業者と商工者によるこういうところに中々参加したがらない方が中心のものであり、非常に身近に苦労されているところと法制度の問題が浮き彫りになりました。肝心なところ事業として大きくするところで法制度が足を引っ張っているわけです。法律を施行する前にその当りの整合性を取って頂きたいと思います。
 鳥巣さんのコメントも「仲良しクラブ」でもいいんじゃないか?というのは当を得ていたのではないかと思いましたね。無理して、事業継続するよりも仲良しクラブで終わらせるのもひとつの選択肢だと思います。企業でしたら、従業員の育成ということもありますが、小さな活動であれば一人一人の個人事業の集団な訳ですから、特定の個人に負荷がかかり過ぎてぎくしゃくするのであれば無理をすべきではないでしょう。
 特に後継者の問題は重要です。パネリストの農業者の方もはっきり言って若くありません。老齢者主体の農商工連携を立ち上げて、直ぐ若い人に魅力ある職場へと引き継がないと、その作業のつらさと農繁期に重なったときの対応など事業継続の課題は山とありますね。

 いずれにしても現場で実践している方々の意見を始めて聞くことができ、私にとっては非常に大きな収穫でした。当日は懇親会もあったようですが、三次から真っ暗な道を車で帰るのも心配なのでさっさと切り上げてきました。おそらく、鳥巣さんの発言内容で盛り上がったことでしょう。

2008年8月18日月曜日

サービス産業の生産性向上について(第14回)品質保証

前回は顧客満足度とクレーム対応について述べさせて頂きましたが、今回はサービスの品質保証ということに触れたいと思います。

1.サービスに品質保証が求められる背景
 サービスの顧客満足とクレームに関連するのはもちろんですが、サービスが多種多様にわたってきたということと、詐欺まがいのものが色々でてきたということにも関連しますね。
 例えば、英会話学校、結婚紹介、リゾートクラブなどサービスそのものが判りにくいだけでなく高額であるというのも品質保証が業界に求められてきています。
 一体どこまでがサービスでありそうでないのかが曖昧なのかというところから問題はスタートしています。個々の企業によって(どころか個々の従業員)提供されるサービスが異なるというサービスの特性上やむを得ないところですが、事件や訴訟が続くとそうも言えなくなっています。

2.サービス品質保証契約について
 この為、顧客とサービス供給の主体の間でSLA(サービスレベルアグリーメント)契約と言われるものが締結されるようになってきました。ソフトウエアを販売しているIT業界ではほぼ普及してきたものですが、どちらかというと企業間の契約であり、個々人と企業との契約となると難しいのがほとんどです。
 例えば、生命保険や金融商品に関する契約書や説明資料は一般消費者にはなじみにくいものです。
条文として印刷されてあるのはもちろんなのですが、肝心なことについては(どこまでがサービス範囲であるのか、キャンセルや変更は?)非常に判りにくいものです。
 逆に、契約書を用意することで免罪符としているのではないかと思われますね。
 といっても、この契約を結んでサービスを提供している個人事業主を含めた企業がどれだけあるのか?もしくは、全てのサービスに提供する費用対効果があるのかは考えなければなりません。
 インターネットによるサービスが増殖している現在後追いになるのはやむを得ないことかもしれませんが、この品質保証がないことで足を引っ張られるのも問題ですね。

 ただし、この品質保証をきっかけにサービス全体のレベル向上とサービス提供者のスキルの判定に使うことができるのではないかと思います。それでは次回

2008年8月15日金曜日

サービス産業の生産性向上について(第13回)顧客満足度とクレーム対応

前回までに、サービス市場開発、サービス商品開発、サービス人材開発について述べてきました。
製造業の場合にないという訳ではありませんが、サービス業の特性としてお客様もサービスの構成要素であることから顧客満足度とクレーム対応の問題については不可分なのでこれについて述べさせて頂きたいと存じます。

1.顧客満足度そのものについて
 サービス商品の開発のところで述べましたが、顧客の期待感をサービス商品がどう価格を含めて上回るかということが、すなわち顧客満足度となります。
 ところで、ここで問題となるのはサービスというのが供給側だけではなく、サービスを受ける顧客側によって例え全く同じサービスであっても変わるということです。
 サービス商品の例でも述べましたが、リゾートホテルに初めて来た顧客(一生に一度で良いからと期待して)と何度も来ている富裕層と思われる顧客では全く期待度も異なりますね。
 それだけでなく、その顧客個人でも体調や天候、心理的な状態などによって満足度というか評価も変わってきます。

2.顧客満足度の評価について
 顧客満足度をどう評価するか?というのも難しい課題です。端的に評価が悪ければ、顧客は二度と来ないということにもなりますし、クレームへと繋がる場合もあります。
 積極的に評価を実施することになりますと、アンケートが最もポピュラーな方法となると思います。アンケートの回収率をあげたり、目的とした満足度を測定する内容を得る為のアンケートの方法については様々な方法がありますが、このブログでは省きますね。(口頭、アンケート用紙、ネットでの書き込み、外部機関への委託など)
 ただし、どんな方法であれ定期的に実施することが重要です。気まぐれに実施したのではその時点の評価が本当に正しいのか?また今後のサービスの改善を実施するにあたっての計画立案のデータとして活かすことができません。

3.顧客クレーム対応について
 この顧客クレームで重要なのは迅速な対応とそれによる顧客からの信頼度向上を図るということを目的とすることです。もっとも、困るのが何も言わないで二度と来なくなる顧客ですから、クレームを申し入れてくる顧客はまず継続的なサービスを受けてくれる顧客であると認識することが重要です。
 ただし、クレームモンスターという困った存在もありますので、対応はまた別となります。
 1)パターン化
 対応については個々の従業員がバラバラのレベルで対応するのではなく、ある程度パターン化しておくことが必要です。そのパターン化により対応スピードが速くなり、顧客の不満もかなり解消することができます。典型的な例としては飛行機のフライトですね。飛行機が出発する時点で、目的地の空港に降りられない場合は代替空港もしくは出発空港に戻ることを説明していますし、代替空港に到着したらしたでどう目的地までにお客を誘導するのか費用をどうするのかが決められています。
 2)権限委譲
 このパターンを決めた上で更に従業員個人もしくは上司としてどこまで対応できるかの権限を委譲しておくことが重要となります。よく発生するのが、顧客が権限のある人を引っ張りだそうとすることですね。クレームモンスターでない限りは顧客は不満を解消してくれれば満足するわけですから、従業員の裁量にはばを持たせておけば、顧客を待たせて更に不満を増やすということは少なくなる訳ですね。

というところでまた次回

2008年8月14日木曜日

サービス生産性の向上について(第12回)人材育成

前回サービス商品の開発について述べましたが、サービスの場合の特殊性としては顧客とサービスを供給する主体が同時に存在して始めてサービス自体が成立するということがあります。従って、サービス商品の開発にあたってはサービス供給の主体である従業員の人材育成が非常に重要となっています。

1.サービスの目的の認識 
 サービス供給主体の従業員(もちろん経営者も含まれます)が、供給するサービスの目的は何かということをはっきり認識してもらうことが必要となります。
 すなわち、お客様は誰でありお客様は何を求めてサービスを受けようとしているかということですね。
 例えば、老舗旅館であれば温泉や料理も目的ですが、そこで得られる雰囲気や応対を満足し、そのことにより精神的なリラクゼーションや充足感を得たいということになりますよね。

2.役割の明確化 
 このお客様の目的を捉えてサービス商品として自分の行動(立ち振る舞い)を如何にすべきかを教育し、それぞれの役割を果たすことができるように誘導することになりますね。
 役割を明確にすることで無限に広がりがちとなる、従業員のプレッシャーを分散することができます。また、役割を明確にすることによりお客様へのサービス商品のタイムリーな供給ができることになります。 この明確化によりサービスがお客様と最前線で接するフロントサービスとこのフロントサービスを支援する支援サービスに区分されることになります。
 もちろん、零細規模(支店などを含む)の場合は、あまり明確することは必要でないですし、お役所仕事ではありませんから、臨機応変に従業員が対応することが必要です。 この為にもサービスの目的を従業員全員に認識してもらうことが必要です。例えば、デイズニーランドにおける掃除要員はそうですね。施設での道案内や写真撮影などはもちろんですが、お客様の目的を隅々まで理解させられていることが直ぐ判りますね。

3.フロントサービスについて 
 サービス商品の開発と同時に関わることですが、お客様の最前線であるフロントサービスにおいては従業員はお客様個人に合わせたカスタマイズをすることが期待されます。
 もちろん、サービス料金の範囲という制約条件はありますが、このカスタマイズによってサービス商品は進化、差別化ができてきます。このカスタマイズが従業員一人一人で異なることはやむを得ませんが、これをできるだけ同じレベルに保つことが企業としての役割になるでしょう。
 この為に、成功事例や失敗事例を朝礼や終礼などで共有し、優秀なサービスを供給できた従業員は表彰するなどということですね。

4.支援サービスについて 
 フロントサービスを支援する訳ですが、これはフロントサービスとは逆にできるだけ標準化、共通化、合理化することによって大量供給やサービス商品のコストダウンに貢献させることが重要となってきますね。 したがって、支援サービスにおいてはこの目的に対してどう貢献できたか、改善を提案できたかということが従業員の評価となりますね。

ということでまた次回

2008年8月13日水曜日

サービス産業生産性向上について(第11回)サービス商品開発続き

前回はサービス商品開発を供給者側の立場(=如何に収益を上げるか?)という視点で語ってしまいました。本来の顧客視点で商品開発を語らなければいけません。順番が逆にになっていまいましたね。

1.サービス商品の魅力度
 サービスを受けたいと思わせる魅力度がなければ、やはりサービスは始まれません。
 1)顧客期待度<サービス魅力度
 ここで魅力度とはお客様の期待するものに対してどの程度上回るのか?継続できるのかが課題となります。また、期待を裏切るほど魅力度が高いサービスというのはサービスを受ける為の費用にも関係しますね。ビジネスホテルとリゾートホテルでは期待度が全く異なりますからね。
  事前に顧客に期待度はホームページやチラシ、価格表、店構えなどで確認できる必要があります。レア度を狙えば全てを隠すということはありえますが、一般的なサービスを供給する場合は顧客に見えることが必要ですね。敷居が高いと顧客は避けてしまいますから。
 2)差別化の為のユニークであること
  魅力度そのものについては他のサービスや競合先と如何に差別化できるか?ということに尽きると思います。何が他のサービスと優れているかを顧客が語れなければいけません。特にユニークであるということが必要です。この場所、この人でなければこのサービスを受けることができないというところがないと簡単にまねられてしまい、魅力度が喪失してしまいます。
 3)継続して魅力度を向上すること
 問題なのは一度成功してしまうと、そこに安住してしまい魅力度が薄れてしまうといことです。典型的な例はバブル時期にできて大半が消えてしまった屋外型のアトラクション設備です。まともに残っているのは東京デイズニーランドだけと言えるでしょう。
  前回に述べた繰り返し化できる魅力度を供給し続けるという企業努力不足というところです。

2.サービス料金
  魅力度に付随しますが、やはりサービス料金というのは大きな構成要素になります。たとえばリゾートホテルであれば高ければ高いほどステータスがあがり、一生に一回はあんなホテルに泊まってみたいと思わせることが必要ですし、逆に100円ショップのようにこの料金でこの商品サービスということで料金の安さから魅力度を出すというやり方もありますね。
 1)料金体系の設定
  料金体系とサービス商品体系を考えることは重要ですね。ほとんどの場合はそのサービス商品にかかわる材料費というよりも技術料金であると言えるでしょう。例えば、理美容の料金はカット、シャンプー、パーマ、ヘヤカラーなどのサービス商品と料金体系がはっきりしているだけでなく、サービス商品そのものも利用客にとっては判り易いものになっています。逆に、日本だけの特殊性かもしれませんが、携帯電話の料金体系は全く不可思議な体系になっています。
 2)スイッチングコストとしての料金設定
 松竹梅の料金体系などは昔の人は良く考えたものです。料金体系によりそのサービス内容がある程度判り、安い料金でまずその一部を経験してもらうことが可能です。
  もちろん、無料お試しコースというのもありえますね。顧客に今までのサービスや競合先から切り替える為の料金設定が必要となります。携帯電話のMNP(番号ポータビリテイサービス)における、切り替え料金のキャッシュバックサービスなどは更に積極的なものです。

ということでまた次回へ

2008年8月12日火曜日

サービス産業生産性向上について(第10回)サービス商品開発

ターゲット市場を分析して、これぞという市場に新規参入するもしくは支店を出店することになる訳ですが、メーカーの製品にあたるものとしてサービス商品の開発をしなければなりませんね。

1.サービス商品の開発ポイント
  サービス商品は無形であるがゆえに保存することも在庫することもできませんし、その場で消費されます。もちろん、旅館、理美容、医療、エステなど様々なサービス商品について個々に合わせて述べるのは大変ですので、共通した考え方として述べていきたいと思います。
 1)需要の分散化
   この為、需要のバラツキによってお客様を待たせたり、逆にサービスを提供する従業員を余らせたりすることになります。
   この需要変動の偏りを抑え分散化させないと、待たされたお客様は競合のサービスをする会社や店舗に逃げて受注機会を失うだけでなく、そのままとなってしまいます。もちろん、その逆に従業員が余ると固定費である人件費を回収できなくなります。
   したがって、需要を分散化させる為にはお客様に閑散期にサービス商品を購入してもらうことが必要となります。
   その為には閑散期のサービス商品を購入してもらう為のメリットを作ることが必要となります。例えば、ホテル、旅館、旅行パッケージ料金は代表例でしょう。休日やゴールデンウイーク、盆正月は割高料金、逆に平日や谷間となる時期にはお得料金の設定などです。
  2)繰り返し化
   需要の分散化と共通することになりますが、繰り返しお客様に利用して頂くことで売上規模の拡大と売上の安定化が図られますね。
   所謂、「おなじみさん」の獲得をする為のサービス提供となります。例えば、ポイントサービスなどが一般的ですね。
  3)ハード化
   繰り返し化を更に進めるのがハード化です。サービスという無形なものをハードにして保存や在庫をできるようにすることです。例えば、英会話や予備校のレッスンをDVDにして販売することなどです。

ということで出かける時間が迫ってきたので次回へ

2008年8月10日日曜日

The post-american worldを読んで


 久しぶりというか30年ぶりというぐらい原書を購入しました。夏バテの私のとって仕事もたまっていましたが、夏休みに読むべき本としては非常に良かったのではないかと思います。
 The post-american world(著者FAREED ZAKARIA、WWNORTON社2008年4月発行、ISBN978-0-393-06235-9)という本はインド出身のニューズウイークの記者が書かれた本ですが、久しぶりに英語を原書で読んだ私にとっても辞書のお世話になることも少なく平易な英語(米語というよりやはり著者はインド出身なので英語という印象でした。)で助かりました。
 アメリカの国家権力を歴史的に大英帝国との比較だけでなく、古代のインドや中国もちろん近代のインドの考察から踏まえて的確に語られていると思いました。
 パウエル氏が孫との休暇の間にトルコとスペインの戦争になりかねない紛争(私はこの扮装は全く知りませんでしたが、日本では新聞ネタにもならかったのではないでしょうか?)をちゃっちゃと片付けてしまったというエピソードはまさしくアメリカの強大さを印象付けました。
 著者はインド出身なのでネール首相やガンジー首相の記述は当然多かったのですが、最後のポストアメリカというところの記述が少なかったのが少々物足らなかったところです。
 いずれにしても、もうアメリカ帝国主義は今後は成り立たないという前提です。クリントン政権とブッシュ政権の比較もしていますが、著者はクリントン政権でのやり方を支持されています。
 もちろん、ポストアメリカといってもアメリカ人としてのポストアメリカであって、コスモポリタンとしてのポストアメリカという視点ではありません。
 気になるところは日本はこのポストアメリカでどう捉えられているかといことでしたが、ドイツと日本は同じレベルの過去形の扱いであり、ポストアメリカンについて語っている最終章でも登場していませんでした。ポストアメリカではBRICSとアメリカ、その他の諸国という位置関係での記述になっています。
 この本がオバマ政権?マケイン政権?に対してインパクトを与えるかは判りませんが、ニューズウイークの記者の著作として考えると、やはりBRICSを中心としてアメリカは今後その権力の対象として行動していくのではないかと思います。
 ということを考えると、日本の独自性は日本自身で発信していくしかないと思います。現在の政府、国会をみていると厳しいところですね。

2008年8月9日土曜日

サービス業の生産性向上について(第9回)サービス計画

前回でターゲット市場の分析をおこないましたので、ターゲット市場の設定となる訳ですが、これはサービス商品の開発と不可分の関係にあります。

1.ターゲット市場の設定
 分析に基づき、どの地域に、どの年齢層に、どのライフスタイルを構築している層にターゲット市場を絞ることになります。
 もちろん、この市場の大きさ成長性を踏まえてサービスの販売計画を立案することになりますが、計画としてある以上は数値で設定しなければなりませんね。


2.サービス販売計画

 このサービス販売計画を立案するうえで必要なのが、サービス商品そのものになります。
  サービス販売計画=サービス商品×サービス販売機会数
 ターゲット市場設定でもたらせるのはこのサービス販売機会数がどれだけあるか?市場ニーズはどれだけあるかということになりますから、今度はサービス商品を設定・開発することが必要となりますね。
 新規市場に参入するのであればどんなサービス商品を開発するか?ということになりますし、支店を出店するということであれば既存サービス商品を考えればということになりますね。たださい、支店の出店といってもそのターゲット市場に合わせたバリエーションの設定や変更が必要になります。(これはまた次回に詳しく)

3.サービス供給計画
 サービス販売計画に基づいて、今度は供給計画を考えなければなりません。誰がターゲット市場で自社のサービス商品を供給するかということはサービスが人に付随していますので重要な問題です。
 フロントサービス(実際にサービスを直接供給する行為)とバックサービス(フロントを支えるサービス)は誰がおこなうのか?正社員なのか、アルバイト・パートなのか?要員体制はどうするのか?サービスのスキルはどうするのかがといことです。
 また、立上期間を設定し、その間の臨時体制はどうするのか?ということも検討することになります。

 もちろん、このサービス販売計画と供給計画の差から収益計画が算出できますね。
ということで次回はサービス商品の開発へ

2008年8月7日木曜日

サービス産業の生産性向上について(第8回)マーケッテイング

前回ではターゲット市場の設定の目的と考え方について述べさせて頂きましたが、今回はターゲット市場設定の為の分析について述べさせて頂きますね。
ただし、旅館ホテルなどの観光業は顧客として期待する市場の分析と置き換えることが必要です。例えば、中国や韓国などのアジア地域なのかオーストラリアなどの季節が逆の南半球ではどんなサービスを提供するかに直接かかわってきますね。

1.地域分析
 分析の第一ステップになると思いますが、大都市圏、地方都市圏、住居地域、商業地域、農業地域などの地域の分析になります。
 たとえば、大都市圏であたっとしてもベッドタウンなのか中心市街地域なのか、ベットタウンであったも高層マンションの地域なのか都心部から1時間以上離れた私鉄沿線地域なのかという分析となり、その市場の需要量の分析となります。

2.人口構成分析
 住民の年齢構成、家族構成、流入・流出状況はもっとも重要な分析となります。
 繰り返しますが、サービスというのは基本的に受け手と供給者の構成要素によってはじめて成り立ちますので、受け手である住民(消費者)の構成は非常に重要です。
 最近になって自動車メーカーが両親と二人の子供という家族のモデルを変えて車の開発を考えるようになってきましたが、サービス業はもっとこの変化に早く対応してそのサービスそのものを再検討しなければなりません。(マンション住民に対するカーシェアリングサービスなどはこの変化と自動車離れに対する新しいサービス業ではないでしょうか?) 
 この分析により地域分析のアバウトな需要量や今後の市場の伸びを詳細に把握することができますね。
 別にマクドナルドの出店のようにアルバイトを雇って年齢層別に通行量を計る必要もありません、逆にマクドナルドなどで歩いている人を1日眺めているだけでも良いはずです。

3.競合分析
 もちろん、競合がないわけでもなく逆に競合に後から進出されて根こそぎ顧客をもっていかれる危険性も考慮しなければなりません。
 同業者はどのくらいの規模(、支店数、店舗面積、スタッフ数など)なのか、どんなサービスを特徴として供給しているのか、携帯電話のカメラで撮影して地図にマッピングすれば判り易いでしょう。
 飲食業であれば「ぐるめなび」の出店状況やコラム評価など参考になるはずですね。

ということで今日はお終いで次回は分析したらその後には

2008年8月6日水曜日

広島平和の日

毎年、8月6日は暑いのですが、今年2008年の広島の夏は1ヶ月前倒しで始まったように暑いです。
この暑さの中63年前はいかばかりの事かと思いを巡らさざるをえません。
30年以上も前に大学受験予備校に毎日平和公園の中を自転車で通っていましたが、中学校の平和学習依頼ずっと原爆のことは記憶の片隅に押しやっていました。
 その頃は在日韓国人被爆者の慰霊碑が平和公園ではなく対岸に設置されており平和を祈る慰霊碑が差別されているようで嫌に感じていましたが、今は平和公園内に移設されたようで良かったと思っています。
 今年の2回目の広島へのUターンでやっとこの原爆に向き合うことができたように感じます。
昨晩は会合があって広島市内にいましたが外国人が大変多く、広島の原爆が世界的にも注視されていることを改めて感じざるをえませんでした。
 私の高校の先輩は今朝平和公園の清掃作業にボランテイアで来て、そのまま午後は仕事だそうです。そういう活動も全く知りませんでしたが、広島での私の時間を取って活動を進めていきたいと考えています。

2008年8月4日月曜日

サービス産業の生産性向上について(第7回)マーケット開発

前回、サービス産業でのマーケッテイングについてその重要性と市場の捉え方を述べさせて頂きましたので収益を獲得する為のマーケット開発について考えたいと思います。

1.ターゲット市場の設定の目的
 サービス業だけでなく全ての業種において重要ですが、特に前回述べたように新規市場参入や新規出店の場所(物理的な場所だけではありません)は、大きくその企業の成長性や戦略立案の為に重要ですので外せないところですね。
 この自社のターゲットとする市場を設定するにあたっては、もちろん自社の提供するサービスは何か?何をそのサービスのコンセプトにするかをしっかりと把握したうえで、どの市場にターゲットをおくべきかを検討し、シミュレーションしなければなりません。
 何とかなるだろうでは、何ともなりませんから。もちろん、開業リスクを抑えてこじんまりと始めるということも戦略として必要ですが、いずれにしても投資をしなければなりませんので、ターゲット市場を設定することは必要となります。
 例えば、美容院を独立して開業したいと考えている経営者は、料金が安いのが特徴なのか?短時間でカットできることが特徴なのか?カット技術を特徴とするのか?等々を押さえておくべきです。
 多摩ニュータウンのように既にほとんどが老齢化している地域においては、カット技術の訴求力は全くありませんね。やはり、六本木、青山などの高所得者層が来る街でなければ厳しいですよね。

2.ターゲット市場を設定する為の取り組みについて
 非常にオーソドックスですし、サービス業特有のことではありませんが、サービス業だからこそ必要なものとしてSWOT(強み、弱み、機会、脅威)分析があります。
 SWOT分析で誤り易いこととして現状分析から入ることです。まず、先にあるべき姿を実現する為に必要なことを原点志向で考えることをまず先に実施することです。
 このサービスを提供し、収益を上げる為にまず何をすべきかということをリストアップすることですね。
その次に現状の分析をするとあるべき姿としてのギャップが見えてきます。
 要するに目的志向でまず考えて、その次に実施すべきことをリストアップし自社に足らないもの(人材、スキル、資金、人的関係等々)をどうすべきかを考えることです。
 SWOT分析のようでSWOT分析でないところです。マーケット開発で他社や他人と同じことをやっていても意味がありません。

それでは次回はターゲット市場設定の為の分析について

2008年8月3日日曜日

サービス産業の生産性向上について(第6回)マーケテッイング

暑さが物語るように第4回が2回も続いてしまいました。
気を取り直して今回はマーケテッイングです。

1.マーケッテイングを考える目的
 サービス業は繰り返しますように財務会計でとらえれば人件費を中心として固定比率が高いのが特性なので、まず市場から収益を確保することが先にたつと思います。
 本格的にマーケテイングを考える前にもう一度サービス業の主体を別の尺度で分析すると、顧客であるサービスの客体にサービスを供給する比率が高い直接部門(人)と顧客に接することが少ない部門(人)と大別できますね。
 一般的にこの直接部門をフロントオフィス部門、間接部門をバックオフィス部門として捉えて課題を把握し、あるべき姿に進ませるよう検討していくのが判りやすいのです。
 最終的には、サービス戦略を考えることに結び付けますが、このマーケッテイングから入るのが入り易いところですね。

2.まず市場をどう捉えるか
 サービス業の多くはデズニーランドのようにもしくは理美容院や病院のようにサービスを受ける客体である顧客に来てもらうことが必要になりますね。
 当然、立地条件が大きく左右されます。ネット市場でも考え方は同じですが、やはりそれはそれなりの特性がありますので、まずリアル市場で考えて見ましょう。
 人が全くいなければ別ですが、サービス業で新規に進出、もしくは出店するときには当然既存のサービス業者の市場から奪うことになります。
 市場創造といっても他の市場から顧客を奪うことは間違いありませんよね。例えば、携帯電話に夢中な人にとっては自動車に時間とお金を投資するより、携帯電話代に投資するわけですからね。

 特に、日本の市場を考えると一部の例外的な地域を除けばほとんど人口は縮小している訳ですから、サービス提供の対象となる顧客がいなければ意味がありません。立地条件はやはり重要になってきています。海外からの観光客を呼び込もうとすると単独企業だけの努力では難しいかもしれません。地域全体で魅力度をアップすることが必要となってきますね。
 地産地消という言葉がありますが、地産他消とならないと地域は活性化しません。

 ちょっと逸れましたが、このマーケッテイングの続きは次回に(暑くなってきてまた頭がオーバーフローです)
 

2008年7月30日水曜日

サービス産業の生産性向上について(第5回)ふたたび

前回までにサービスそのものの特徴の概要とサービスを供給する主体である供給者とサービスを消費する客体である消費者について定義めいたことを説明させて頂きました。

 そこで振り返ってサービス産業を見直すとサービスをする人、サービスを受ける人の「人」にどうしても着目されるはずです。
 すなわち「人」が何をサービスに期待しているのかということ、「人」によって次に述べる目的(期待していること)の内容やレベルが異なること、同じサービスであってもサービスをする「人」やその「人」の態度によって評価が変わるということです。

 また、サービスは「物」そのものはありませんが、「物」を通じてそれによって得るもしくは得たい「目的」を原点から考えさせることになるはずですね。
 例えば、自動車そのものを考えてみれば自動車そのものというハードではなく自動車を運転して得られる旅行によるリフレッシュ感を得ること、営業用に使って収益を得ることなど、「物」という形あるものを通じて得ている訳です。
 これが所謂サービス産業となるとサービスを受けて得たいもの、それこそ「人」である個々人が千差万別に得たい目的がありますね。自動車と同様に考えれば、温泉旅館へ行って何が得たいのかというのが最も問われることになります。

 「人」に着目すると、客観性や合理性が曖昧になると思われ勝ちですが、これをできるだけ客観的に評価しサービスの生産性(というより収益性)の向上を図っていくのが、今回のシリーズの目的です。

 次回からはサービスの特徴を踏まえて、課題や改善策について考えていこうと思います。
この暑さとここのところのハードワークで支離滅裂の感はありますが、何とか次回に繋げたところで、次回へと・・・。

2008年7月27日日曜日

サービス産業の生産性向上について(第4回)特徴

今回は総論の最後となるサービスの客体である消費者について述べたいと思います。
今日は日曜日といことで車の騒音よりも蝉の鳴き声が支配しているようです。
 サービスそのものの特徴からサービスの客体である消費者の存在が無いとサービスそのものが成り立ちません。
 もちろん、サービスの内容によってその度合いが変化します。

1.サービス客体の分類をする目的について
 サービスのマーケット開発で最も重要なところになります。
 サービスを誰に向かって提供するか、その提供手段や場所に全てが結びつきますね。
 また、サービスを提供する側のコンセプトとして誰をどの客層を狙うかによって市場規模や売上規模も変わってきます。
  更に、インターネット、携帯電話ネットの存在によって同じサービスであってもサービスの提供方法が変わるということになります。
  たとえば、新規出店開業においてサービス業は立地条件で大きく売上が左右されますから、この分類によるマーケット調査は重要です。
 自社がサービスを提供したいサービス客体の層が少ないのに開業したり出店すれば、もう初めから結論は見えています。
 特に、日本の人口は2050年には海外からの移民を受け入れたとしても半減するという見込みですからこれを前提にどのサービス客体が増えるかを考えなければなりませんね。

2.サービスの客体の分類について
  サービス業の客体として捉えなければならないのは最終的には個々の消費者となりますが、一人だけのサービス客体では収益をあげられませんから、層別に分類することになります。
 最終消費者である一般消費者を対象とするので一般的には次のような分類になると思います。
 性別、年齢層別、年収別、ライフスタイル別、所属組織・学校別、等々だけでなく組合せや細分化により分類はいくらでもできます。
  もちろん、日本国内だけでなく海外市場も捉えておくことが必要ですね。

3.分類後の利用目的について
  分類することの重要性はどの市場を対象にしてどんなサービスを提供するかを考えることです。
 すなわち、この分類により特定された客体はサービスを供給する側に対してどんなサービスを期待しているのかを考え、その為にはどうしなければならないか?を考えることです。
 例えば、ビジネスホテルに期待するサービスとシテイホテルに期待するサービスは全く変わりますよね。
 新規に開業する場合はもちろん、市場の変化に対応してサービス内容を変更していく(もしくは変更しないという独自性を貫く)ことになっていきますね。
 サービス業の経営者であればもちろん最も敏感に感じなければならないところですし、この分類も市場や時代の変化によって変わっていきます。
 
それでは暑さでまた頭がぼけてきたので次回へ

2008年7月26日土曜日

サービス産業の生産性向上について(第3回)特徴

前回はサービスそのものの特徴について述べさせて頂ききましたが、今回はそのサービスを供給する側の特徴について述べさせて頂きます。

1.サービス供給の主体を認識する前に
 初回にも述べさせて頂きましたが、製造業、農林水産業を除いた全てという産業としての定義となってはいます。
 しかしながら、製造業も農林水産業もその製造したり獲得した現品そのものを買ってもらっている訳ではありません。特に高級品(例えば化粧品やブランド品、レクサスなどの高級車、魚沼産コシヒカリ)については、製造した結果に基づく修理や保守のサービスではなく、ブランドやステータス現品と抱き合わされているサービスを販売しているからです。
 そういった意味で産業定義というよりもサービスそのものとサービスを提供する主体である提供事業者、サービスを受ける客体である消費者との関係を如何に好循環のサイクルで回すのかが重要になっているのではないかと思います。

2.サービス供給の主体の分類について
 主体として業種を現状の産業分類でまとめても意味がないといいながらもサービスそのものが多種多様ですので、ある程度は分類しないと整理ができませんね。
 そいうった意味ではサービス供給の主体によって分類することは必要となりますが、新規サービスの出現によって追加したり分離することになっていきます。
 例えば、小売業、理美容、病院、観光業、宿泊業、冠婚葬祭業、携帯電話サービス業等々書き切れないですね。

3.サービス供給の主体の規模について
 サービス業もチェーン店による展開をおこなっている大規模のものから親子での個人事業でおこなわれている零細企業まで千差万別です。
 分類しようとしても日本の個人事業主を含めた全ての企業を分類することですのでほとんど意味がありませんが、初回に述べましたように製造業などと違って初期の資本投下が少なくてもサービス供給を始められますので零細を含めて中小企業が多いというのが特徴でしょうか。

次回はサービスを受ける客体である消費者について述べたあと、引き続きサービスそのものに戻って特徴やビジネスモデルや生産性向上施策について事例をサービス産業生産性協議会の事例にリンクさせながら進めていきたいと思います。

2008年7月23日水曜日

サービス産業の生産性向上について(第2回)特徴

広島も実質体温を上回るサウナ風呂のような状況ですね。ただし、東京と違って風が吹くと和らいだ感じがします。
まだまだ総論の域ですが、サービス産業の特徴について述べさせて頂きたいと思います。
1.サービスそのものの特徴について
  サービスは一般的に次の4つの特徴があげられています。
 1)無形性
 製造業と異なってサービスというものは形がないというのが最も大きな特徴と言えると思います。
 すなわち、製品を有形とするならば、サービスは無形ということになりますね。
 ただし、製造業でも全てが有形なものである製品によって市場から対価を得ている訳ではありません。
 例えば、製品の修理作業や保守メンテナンス作業は有形なものではないですね。
 2)同時消費性
  サービスを供給すると同時にサービスは顧客によって消費されるのが特徴です。
 製品の場合は工場、農産品は田畑など供給する場所と都市、小売など消費される場所が異なります。
 サービス業では病院で診察を受けると医者というサービスの供給者から診察というサービスを供給し、患者である消費者が同時に存在し消費されることになりますね。
 3)消滅性
  サービスが無形であることから、同時にサービスを提供した瞬間に消えてしまいます。
 サービスが在庫できませんよね。サービスを供給する人材を会社として雇用(保管)していることにはなりますが、それはサービスそのものではありあません。
 手術の結果は治癒ですが、手術そのものは手術が終了してしまえば消えていますね。
 4)評価の異質性
  サービスが供給と消費が同時に実行されてしまいますので、サービスを消費した消費者によってサービスそのものが評価が変わるということです。
 消費者が子供/大人、女性/男性、オタク/非オタクなどサービスを受け取る消費者によって評価が変わるということは容易に想像できますよね。
 また、サービスの供給される場所によっても変わりますよね。例えば、ビジネスホテルとシティホテルでのサービスは期待するサービスだけでなく、評価も変わります。

今日は以上です。夏バテで毎日は投稿し続けられませんが、また次回!

2008年7月21日月曜日

サービス産業の生産性向上について(第1回)総論

お暑うございます、この海の日の3連休で日本は完全に真夏へ突入の状況ですね。
実家の戻って静養というところが、この暑さで頭は朦朧で何も進まず母のお参りや買い物運転手で過ごしただけです。
 ところで、今までは製造業でのコストダウンで資材調達部門の役割についてお話してきましたが、今度はまた業界を変えて述べさせて頂きたいと思います。
 8月26日と9月4日に事務所をお借りしている東広島市のコラボスクエアで簡単なサービス業を主体とした経営者向けのワークショップを開催することもありますので。

1.行政面でのサービス業強化について
 一昨年、サービス産業生産性協議会が社会経済性本部に牛尾治朗氏が発起人となって設立され、日本政府として生産性が他の製造業と比較して悪く、世界的にも競争力のないサービス業の活性化が図られることになりました。

 このサービス産業生産性協議会ではハーサービス企業を選出し、事例や方法論を紹介していったりサービス産業の評価指標を定めていくことを通じて活動されています。ただし、私も会員ではありますが、月例会という名のセミナーやイベントの開催に留まり、様々な分科会活動は議事録は公開されているものの良く判らないのが現状です。

2.サービス産業の定義について
 サービス産業生産性協議会の定義によると、製造業、農林水産業を除く産業全てがその対象となっていますので、産業の定義からするとほとんどの産業が入ってしまいます。
 例えば、小売業、卸売業、観光業、病院、理美容業、不動産業、金融業、飲食業、パチンコ業等々たくさんです。

3.サービス産業の特徴とその課題について
 サービス産業の特徴としてはその企業規模が小さく創廃業が多いというところです。
製造業のように大きな設備投資はいらないということで、新規参入障壁は低いのですが、大規模業者の進出やなどの環境変化や事業者の個人的理由などによりお客様の数が大きく左右されてしまい廃業という憂き目にあうことも多いと言えます。
 また、地方経済においては農林水産業を除くと製造業がその多くが中国へ生産を移転したり、外国人労働者へシフトしていますので、サービス産業の盛衰は大きく影響しています。

次回、以降はサービス産業の特徴とその課題、対処についてゆっくり時間をかけて述べさせて頂きたいと思います。
 

2008年7月15日火曜日

資材調達でのコストダウン(番外)調達部門の改善、改革

資材調達でのコストダウンについて概念を今まで説明してきました。実際的な中味についてはコンサルティングでの実践にて経験して頂きたいと思います。
 ところで、この番外編では調達部門の人材に着目して改善、改革について述べたいと思います。
今まで述べてきましたようなことを調達戦略の立案から調達先への折衝、評価としての仕入先評価指標や調達性能指標で進捗管理を実施していくことになります。
 調達性能指標でもちろん調達部門を構成する人材にまで着目することになりますが、あくまで結果指標です。
1.組織構造変革
 調達戦略を実現する為の組織能力をあるべき姿に合わせてコストのほとんどを決める開発・設計部門との連携が図れる構造にシフトしなければなりません。
 現時点では見積作業、納期進捗、欠品対策、品質課題といったオペレーション業務にほとんど工数を割いているのが現状であると思われます。これを今まで述べてきた活動に基づいて活動することによって調達部門の組織構造を見直しし、原価企画を中心とした調達業務に変革していくことになるはずです。
2.調達要員のスキル改善
 組織構造が変わり、原価企画を中心とした業務となると、調達要員に求められるスキルも当然変わってきます。すなわち、調達原価を判断できる能力(コストテーブルや調達する物がどんな工程でどんな流通経路をとって生産されているかなど)が必要となってきます。
 したがって、設計部門や開発部門などからの要員シフトや育成が必要となってくるはずですね。
 従来のように、デモシカ先生ならぬデモシカ資材要員では役不足ですので、調達部門の長をCPO(Chief Procurment Officer)として強力な人材を配置するだけでなく、構成要員も社内の有能な人材をシフトさせることが必要となってきます。

 ということで資材調達でのコストダウンはひとまず終了し、次回からは別途異なるテーマで楽しく進めたいと思います。

2008年7月14日月曜日

資材調達によるコストダウン(第15回)調達性能指標

今までの調達戦略、調達市場、調達モデル、調達戦術、調達折衝技術などはコストダウンの為の調達部門の機軸となるべきものでした。
 これに対して調達性能指標というのはコストダウンをはじめとした調達活動の結果指標もしくは進捗管理指標となるものです。
1.調達性能指標の目的と使い方
 この調達性能指標により調達部門の経営目標への寄与度だけでなく、最終的には調達部門を構成する要員の業務評価指標ともなってきます。
 仕入先を仕入先管理指標で継続的に評価することも重要ですが、調達部門を構成する要員の人材管理も継続的な活動では重要となります。
2.調達性能指標の内容について
 コストダウンについてはもちろんですが、QCDEの4つを分解すると次のような内容となるはずです。
あくまで一例です。
 1)Q品質
   受入検査での不良率、品質原因による生産ライン停止件数、停止時間、製品組込後の調達原因による不具合発生件数
 2)コスト
   生産高に対する調達金額低減率、分類別調達コスト低減率
 3)納期
   要求納期遵守率、分類別納期短縮率、納期遅延による生産ライン停止件数、停止時間
 4)環境
   受入検査での環境性能チェック不良率、製品組込後の環境課題発生件数

以上の内容となりますが、注意しなければならないことは業界別に調達性能指標のベンチマークがあるかといったらありません。
 したがって、他の会社の値がもし入手できたとしても個々の企業にとっては参考とならないということです。自社を客観的に管理する為の指標だと思うことです。率に換算すればそれは他の企業と比較はできますが、加工すればするほど自社の独自性が薄くなり訳が判らなくなります。
 自社の絶対値として経年でおっかけて改善されているのかどうかを評価すべきです。

 それでは、次回は完全にコストダウンのテーマから外れますが、調達部門の改善、改革に関することを述べさせて頂きます。

2008年7月13日日曜日

資材調達によるコストダウン(第14回)仕入先評価指標

折衝技術に引き続いて仕入先評価指標について述べますね。
1.仕入先評価指標の構成
 主な評価項目については次の内容になると思います。
 ①仕入先財務評価
 ②仕入先経営トップ評価
 ③仕入先生産設備評価
 ④仕入先コスト評価
 ⑤仕入先品質評価
 ⑥仕入先納期評価
 ⑦仕入先提案能力評価
2.仕入先評価指標に使い方
  現状として仕入先だけでなく自社の生産方法や製品構成はめまぐるしく変わりますのでその評価指標項目については2~3年の単位で変更していくことが必要となります。
  指標で評価した結果については継続的に管理しなければ意味がありませんが、調達モデルと別に管理しなくても同じレベルで管理すれば良いと思います。
3.評価指標作成の目的
  まず第一は調達モデルを作成することですし、次には仕入先との折衝に使うことです。
もちろん、その折衝結果を更新し最新のものにしていくことが必要です。

 それでは次回は調達性能評価指標について述べたいと思います。

2008年7月11日金曜日

資材調達によるコストダウン(第13回)調達折衝プロセス管理

前回の調達折衝技術に含まれるのですが、レベル感が異なるので調達折衝プロセス管理を改めて抜き出して述べさせていただきます。

 コミュニケーションも提案技術もこのプロセス管理の中で実行されその進捗を管理することになります。このプロセス管理においては調達部門のマネジャやゼネラルマネジャのマネジメント能力が問われることになります。

1、フェーズ別の進捗管理の必要性
 定期的な仕入先との折衝はもちろんですが、折衝には期限がありますし特に仕入先が下請保護法の対象業者であれば確定発注する前に価格折衝を終了させる必要があります。
 すなわち、この限られた期間内でます仕入先に価格折衝の為の心を開いてもらう初期段階、相互に提案や条件の見直し段階、折衝者の役職レベルのエスカレーションによるクロージング段階までの折衝フェーズの応じた進捗を管理することになりますね。

2.プロセス管理表による管理
 ここで重要なのは進捗を客観的に評価することです。
この為に、プロセス管理表を作成して折衝日時や折衝者、折衝で課題となったこと、提案したもしくは提案を受けた内容などを記録に残すことです。
 営業も同様にプロセス管理をおこなっていますが、営業よりも調達担当者は人数的に少ないことが多いのですから、調達部門のマネジャやゼネラルマネジャはこのプロセス管理表を通じて折衝結果を評価して次回折衝での進め方を議論できるはずです。
 今までやったことがないからこそ実効すべきですし、もしこのプロセス管理がなされていないのだとしてら、調達担当者の評価は一体どうやっているのか疑わざるをえませんね。
 
 ということでまた次回へ
 

2008年7月10日木曜日

資材調達でのコストダウン(第12回)調達折衝技術

広島の暑さで頭が夜もボーっとして筆いやキーボード入力もおっくうになって更新していませんでした。支離滅裂になるのを予想はしながら自由に酔っ払いのようにあちこちしていますね。

ところで調達戦術のうちで調達折衝技術について述べたいと思っています。抽象的で判りにくいと思われるでしょうが、日本マクドナルドの社長もTVや雑誌で判りにくい言葉で部下を考えさせると言われていました。
 安易に解に飛び尽かさせると何故そういう結論に至ったかという思考プロセスがないので、場当たり的にな対処になったり継続性が無くなってしまうのが、悲しいかな人間の性なのです。

 また、本題から逸れたので元に戻して、折衝技術というのは孫子の兵法そのものです。全体的な考え方や方針は調達市場、調達モデルで押さえていますので、その共通の尺度で折衝することになります。
 必要な道具としては次のものになります。
 ①折衝ツールとしてのコストテーブル
  相見積だけではコスト査定能力は向上しません。ものの価値を絶対値で把握する必要があります。
  例えば、素材価格も重量や面積にリニアに変化するものではありません。必ず、製造技術や搬送ロットなどの制約条件で階段状に大きく変化します。
  しかし、精度を過剰に上げる必要は全くありませんし、自社の調達対象となるものに的を絞ることが必要です。
 ②コミュニケーション
  仕入先と適正に価格交渉のコミュニケーションを成立させる技術です。お互いにぼったくってやろうと考えているようでは、一時的にはうまくいくかもしれませんが、急な増産対応や継続的なコスト削減は期待しようもありません。
  買う側という強い背景を背にして戦うのではなく、相互にコミュニケーションをとって価格交渉を円滑にするという一般的な折衝技術が必要となります。
 ③提案技術
  営業が提案するということもありますが、仕入先に対して提案する技術が必要ですね。値下げしてくれだけで交渉するのであればコミュニケーションにもなりません。
  購入するロットサイズの提案だけでなく、仕入先の個々のレベルに合わせた提案技術が必要となります。

 レベルの異なるものを混在させてしまいました。また、整理させて頂きますのでまた次回。

2008年7月7日月曜日

広島の夏

ともかく広島の夏は蒸し暑いですね。
東京と比較すると東京のビル街の暑さに匹敵しますね。
蒸し風呂にどっぷり浸かっているという感じで逃れようがないという感じです。
高校生まで住んでいたのですが、これほど暑かったかな?年食った分暑さに耐性がなくなったのかもしれません。
 まあともかく熱中症で倒れないように、やっと東京単身赴任を終わらせた初めての広島の夏を越えていきたいですね。

2008年7月5日土曜日

資材調達でのコストダウン(第11回)調達戦術について

資材調達でのコストダウンを具体化するうえでの調達戦術がありますが今回はその概要について述べさせて頂きます。
1.概要
 1)調達折衝技術
   仕入先とのコストについての折衝をおこなう為の技術であり、営業の営業技術に対するものです。
  技術だけでなく折衝でのプロセス管理もここに含まれます。
   具体的には仕入先とのコミュニケーション>見積依頼方法>見積評価>再見積提案>見積決定となります。
 2)仕入先評価指標
   調達市場マップで既に仕入先に対しては概略評価している訳ですが(仕入先規模、自社のインストアシェア、加工技術など)、最新の情報(受入の品質情報や工場訪問まど)を踏まえて評価することになります。これを指標として仕入先を評価することになります。

そろそろ出かけなければいけないのでまた次回

2008年7月3日木曜日

資材調達でのコストダウン(第10回)調達戦術へ

前々回で仕入先というより自社が想定した調達市場に対して折衝する調達モデルの設計ができます。
これで、自社の調達戦略に基づいた調達市場と調達モデルができた訳ですから、次には仕入先との具体的な折衝に入ることになります。
 また、調達戦略に基づいた自社の調達組織構造を変革していくことが必要ですね。
調達モデルができたと言ってもあくまでも自社でそのモデルを開発しなければなりませんので、ものの作り方や物その物にに対する知識、製品設計から想定される機能購買へ展開する為の人材をそろえていくことも重要なポイントです。
 また、コスト発生の大部分を占める開発設計段階に調達部門が参画していく活動も実施しなければなりません。
 このような活動を基盤として進めていきながら、日銭を稼いでいかなければなりませんので具体化の為の調達戦術が必要となりますね。旗印ができあがったが、個別に戦う為の武器と武器を使う鍛錬ができていなければ成果を刈り取ることができません。

ということで、次回からは具体的な調達戦術へとステージを移していきます。
調達モデル以外にもSCモデルを検討する必要がありますが、長くなるので次の機会へ

2008年7月1日火曜日

資材調達でのコストダウン(第9回)最近のニュースから

調達でのコストダウンを書いてきましたが、最近気になるニュースがでていましたね。
自動車メーカーが下請け保護法に違反するということで公正取引委員会から摘発されたというニュースです。
新聞にこの会社の購買部長とのQ&Aが記事としても掲載されていましたが、調達部門が調達市場をどう考えているのかというのが如何に大事かということを考え直させられました。

 過去の回では記述を飛ばしましたが、調達市場というのは買い手と売り手が価値を交換しあい、お互いに協創しあう重要な場です。ほとんどの場合、買い手の立場が強いというのは”うそ”で、下位の部品メーカーになると売り手のほうが企業規模が大きくなってくる訳ですから、立場が逆転してしまいます。
 組立品の最上位のメーカーは常に末端市場がどうなっているのかを捉えないと、結局長い目でみるとコスト上昇を招くことになります。
 したがって、調達市場というのはあくまで互いに尊重しあい協創するということが重要です。

 更には、大手家電量販店がメーカーに販売員や店の展示作業までやらせていたことが公取委員会で排除勧告をうけてしまいましたね。因果は回るということでしょうが、日本という小さい市場で何をしているのですか?世界を相手にして買い手も売り手も協創し合うことによって沈下している日本を活性化することが重要ではないかと思いました。

またまた、道草をくってしまいました。

2008年6月30日月曜日

資材調達でのコストダウン(第8回)調達モデルその?

調達モデルの作り方をざくっと前回述べさせて頂きましたので、今回はその運用方法ですね。
2.調達モデルの基づくコストダウン計画立案と運用
 モデルができああがってグルーピングができたら次には生産計画を把握してどのくらいの発注量となるのか算出することになると思います。
 と言っても生産計画など当たるわけがないという言い分もありますが、算出できなければ発注金額をどれだけ削減できるかを調達コストダウンの実行計画の目標値がたてられません。
 過去実績とグルーピングして発注先をまとめた場合の調達金額計画目標値を立案したら今度は仕入先との折衝となります。
 折衝と言っても金額折衝だけではありません。仕入先に対して加工範囲の拡大を求めることも同時におこなうことになりますね。
 この折衝は発注都度での交渉ではなく、年、半年に1回程度のものになるはずです。

ということで今日はやることが多すぎて時間がとれないのではやばやと終了させて頂きます。では次回!

2008年6月28日土曜日

ちょっと一休み(広島市の経営戦略策定研修会のご案内)

やっと広島も梅雨らしい天気です。昨日は真夏でした。
朝、運動不足を少しでも解消する為に広島駅から広島市役所まで約30分歩きましたが、到着したとたんに汗が吹き出て上着を着てられなくなりましたね。
 下着からYシャツ、スーツまで完全に夏仕様だったのですが、直射日光を浴びればひとたまりもないですね。駅前通は日をさえぎるものは全くありませんでしたが、平和大通りは木陰がたくさんあって良かったのですが、直線コースですと国道2号線も同様に日陰がありませんので、ほとんど直射日光浴び続けでした。
 広島市主催の平成20年度モデル事業が来週7月2日から始まります。第1弾「経営戦略策定研修会」です。この打合せに市役所に来たのです。
 締め切り期限は過ぎていますが、まだまだ直前まで申し込みを受け付けていますのでホームページもしくは直接窓口へ電話もしくはメールで応募してください。
http://www.city.hiroshima.jp/www/contents/0000000000000/1210292026295/index.html

2008年6月26日木曜日

資材調達でのコストダウン(第7回)調達モデルその3

今日も明日も朝時間が取れそうにない危ない夜の時間に前回の続きを一席(落語?)どうぞ。

1.調達モデルの括り方(括り方)
 括り方といっても、一社に対して調達量を増やすことができるか?段取り替え時間の短縮につながるか?同時納入による物流コストが下げることができるか?端切れ材は少なくてすむか?等々の視点でグルーピングしていくことになります。

<グルーピングする為の前提条件>
①前提知識
 このグルーピングに当たっては調達する物の製造方法や工程、物流コストなどを調達部門、担当者が理解し数値化できることが重要です。
②調達リスクの判断
 もちろん、地震や洪水などの天災に対するリスクヘッジや、調達先が安定的に供給できるのかコストダウンの要素があるのかを把握しておくことが必要です。
③調達する対象物の重要度によるランク付け
 これは、調達するものの重要度によっても大きく変わります。(例えば、梱包材料などは代替メーカーは直ぐみつかりますが、電子部品、プリント基板などは代替メーカーは直ぐ見つかりませんよね)

2.口座を絞ることによるコストダウンの再確認
 調達モデルによって今まで述べてきたように調達量を増やすことによるコストダウンを述べてきましたが、口座を絞ることで何故コストが下がるのかを再確認してみましょう。
 調達原価としては調達先の原価にプラス販売管理費と利益を加えたものになるのですが、単純にいうとこの販売管理費が絞ることにより大幅にカットできるということです。

てなところでまた次回のお楽しみ

2008年6月25日水曜日

資材調達でのコストダウン(第6回)調達モデルその2だったか?

前回、調達戦略の概略(?)から調達モデルに戻ってきました。
1.調達モデルとしての括り方(くくりかた)
 <調達市場マップをもとに作る>
 例えば機械加工品といっても千差万別ですね。表面加工に限っても研磨、溶射、塗装など様々のものがあります。
 これをそれぞれの企業の調達品としての調達区分を設定し調達市場マップを作り上げるわけですが調達区分と仕入先が交差している交差点を面積で捉えて再度グループマッピングします。
 グループ化する為には仕入先の加工設備や技術力、資本力を考慮することになりますね。

 この作業により特定の仕入先に調達をまとめた場合の調達量が決まってきます。
同時に安定供給の為のセカンドベンダーをどこにするかを決めることになりますし、どうしても1社に限定され安定供給面で不安が残る領域があったならば、仕入先候補に対して設備投資もしくは技術力の向上を図ることになります。

(図表なしで言葉で説明するのはやはり難しいですね。今回は調子がでないので、続きはまた次回)

2008年6月24日火曜日

資材調達でのコストダウン(第5回)寄り道から道草

前回は調達戦略がないと駄目ですね、また業種、業態によって当然重きをおくところが違いますよねというところで終了しました。
この調達戦略ができてから次に買い方へと動く訳で、調達マップ、調達市場、調達モデルの構築へとなりますが、もうひとつ組織戦略や調達機能そのものの再構築が必要です。
これらの両方がないと単なる物買いから機能購買、開発購買といった目指すべき調達が実現できなくなります。
 しかしながら、後者を述べていきますと寄り道が完全にはみ出しますので、調達モデルのほうへ戻りましょう。そうしませんと、コストダウンというタイトルを変更しないといけませんので。

1.調達モデルについて
 調達マップから調達市場を考えて、実際に調達すべき物をどうやって買うかということなって、構築しなければならないのが調達モデルになります。
 もちろん、調達戦略によってどのような調達モデルを構築するかを決めなくてはなりません。
 基本的な考え方としてはどう「括る(くくる)」か?ということです。自社の生産量は販売量に応じて変わるのですから、調達量がどう変わるかを考慮しなければなりません。
 したがって、どう括るかも調達量に合わせて変化させなければなりません。と言っても構築するのに条件がたくさんあると考えきれないので、たとえば昨年の調達実績から分析して構築することになりますね。
 その上で調達モデルを市場の変化や調達量の変化に合わせて定期的に更新することが必要と思われますが、変更する作業自体が世の中のパッケージではリリースされていませんので、現実的には1ネンに一回がいいところではないでしょうか?
 もしくは自社製品もしくは市場(もちろん調達市場)が大きく変わった時になると思います。

ということで、また次回へ

2008年6月22日日曜日

資材調達でのコストダウン(第4回)寄り道のまま

寄り道過ぎてもきままにいけるのがブログですね・・・。長続きさせるにはきままが一番!
昨日はコンサルを終日実施で朝時間が無かったので投稿はパスでした。
本業のコンサルティングが忙しくなれば投稿も減るということになりまーす。

1.調達戦略を語る前に
 調達戦略といっても営業の販売戦略と異なってイメージが取れない方が多いと思います。販売戦略でしたらランチェスターの法則を使った本があちこちで出版されていますね。
 どの市場、どの地域をどんな方法でどうステップを進めて攻略していくかなどゼロから拡大していく方法や市場シェアをどう守るか、製造業、小売業、サービス業など業種によってその方法が明からにされていますから、イメージがつくと思います。
 ところが、調達戦略のイメージはあまりありませんよね。

2.調達戦略について
 調達戦略も業種、業態によって変わりますが、製造業に絞っても戦略は様々です。
 量産品で継続的に流れる製品(継続的とか量産品というのもまた定義が怪しくなりますが)においては、コストダウンができて安定的に品質を維持しるのが重要なポイントです。
 また、生産設備装置などの毎回受注生産する製品ですと、急激な生産の増減に対応できる調達先をどう維持していくかというのが、コストダウンと同様に重要なポイントです。
 この重要なポイントをどうやって実現設計していくのかが調達戦略となります。

といったところでまた次回・・・。

2008年6月20日金曜日

資材調達でのコストダウン(第4回)調達モデルその2

前回、調達モデルの概要として現状の調達での課題を述べさせて頂きましたが、調達モデルの策定は調達戦略の一部として位置づけられると言って良いと思います。

てな訳でもうちょっと寄り道!(どこまで行くのかちょっと不安ですが)タイトル変更しても良いかもしれません。

1.調達戦略の課題
 前回に現状課題として述べさせて頂きましたが、そもそも調達戦略がある製造業自体が少ないのが課題でしょう。
 サプライチェーンマネジメント(SCM)といって、仕入先~自社~顧客までの物流をつなげ在庫を低減するということは結構実施されている企業は多いのですが、いざ調達戦略と言えば「前年比調達金額の20%カット!」とうたわれてはいますが、それをどうやって実現するかというとお寒いのが現状ではないでしょうか?
 SCMを実施して物流のロットサイズを小さくしすぎて、管理コストを含めて物流コストが増えたのではお笑い種になってしまいます。全ての企業がJITやSCMを実施できる訳ではありません。原料レベルまで遡れば大ロット、最終市場では投機的な動きをする訳ですから、全世界を市場として把握し、市場シェアもかなり確保している企業でなければ成果は得られません。
 要は自社の身の丈にあわせたSCMであったりJITでなかったりですから。導入して成功している企業の見学をしてまねしても駄目だということはこの辺の問題です。(おっと、更によそ道にそれましたね。)

 調達担当者は見積手配とマスター登録作業、短納期発注と納期進捗、前倒し、納期変更に追われていてコストダウンどころではないのではないでしょうか?
 製造ラインからは物が入荷しないから作れない!品質が悪いから作り直せ!など怒られているのではないでしょうか?

2.それではどうするか?
 この現状を踏まえて調達戦略をどうするか?やはりあるべき姿としての調達を考え直し、現状とのギャップを真摯に受け入れてステップバイステップで立て直すことが必要でしょう。
 もちろん、指標としての調達金額の削減は必要ですが、それだけではなく安定調達先の確保なども必要となりますが、これを検討することも調達戦略のひとつと言えるのではないでしょうか?

というところで今日は時間がかかり過ぎたので、どうするか?というところでまた次回に・・・。

2008年6月19日木曜日

資材調達でのコストダウン(第3回)調達モデル その1

前回、調達市場について述べさせて頂きましたが、今回は調達モデルについての概論を述べさせて頂きます。

1.調達モデルの考え方(ざっくと)

 要は、調達という買う方法についての考え方ですね。。
例えば、身の回りの生活においてみると、例えば生鮮食料品はスーパー週に2~3回で下着や室内着はユニクロで季節変わりの時期といったように、購入する物やその種類によってどの店からどんな方法でどんなタイミングで購入するのか漠然と考えているはずです。
 この漠然とした購入方法を調達市場をベースに調達方法を個々の企業が定めたものが調達モデルとなるわけです。

2.調達モデルを導入するうえでの現状課題

 と言っても企業の買い方である調達モデルが1日で作成できるかといったらできる訳もありません。何故なら、買い方を決める前にどんな物をどんな方法で買っているのかが判らないのが現状だからです。

 何故判らないという現状なのか?というとまず第1に調達については調達部門の担当者に任せっぱなしであることが多いからです。
 見積の取り方や見積評価の方法を調達組織としてしっかり決めているでしょうか?
ほとんどの調達部門が数値で判っているのは仕入先別、調達品種別の金額やその推移といったところではないでしょうか?

 第2に調達部門が調達要求部門(多くの製造業の場合は設計部門)からの要求のまま、都度見積をとって調達活動をおこなっているからです。この場合では買い方もへちまもありませんね。調達代行者としての機能を調達部門がおこなっているからです。

 第3に製品のライフサイクルが益々短くなっていることです。この結果、調達品目は毎年どころか数ヶ月、数週間、ひどい場合は毎日変わるような調達をしているからです。
 また、生産設備などでは一品毎に調達するものが変わります。

 第4に生産設備だけでなく、生産量の変動の振幅が大きくなっており、短納期での発注が増え、仕入先と対等に価格交渉をしている時間が不足しているからです。

以上のような現状課題をかかえ調達の方法である調達モデルを整備し、調達によるコストダウンを図っていくのかについてはまた次回に述べたいと思います。

2008年6月18日水曜日

資材調達でのコストダウン(第2回)調達市場

 前回の調達マップから調達市場の考え方について述べたいと思います。
そもそも営業部門が顧客を市場として定義し、マーケット開発や営業戦略を立案しているのに対して逆な立場であり調達部門が仕入先を調達市場として捉えなかったのは本当に片手落ちです。
 それだけ、調達部門が製造業において強化される部門ではなかったことが言えるでしょう。
まず、調達市場をしっかり把握し、調達戦略を立案してこそ仕入先と協創したコストダウンが可能になるのではないでしょうか?
 市場とは企業と企業が対等にその価値を交換する場です。

1.調達市場の定義
 調達マップというラフスケッチから自社が調達する単位で仕入先を定義したものです。
 と言っても利用するにはあまりにも抽象的ですので、調達市場マップとして一覧表で定義します。
2.調達市場マップの利用目的
 調達市場を捉え「この調達市場からどう調達するのか?」を考える為の調達戦略立案のベースとなります。
 調達市場マップは実際に調達戦略を具体化する為の、調達モデルの策定の為の基本資料となります。
3.調達市場マップの策定方法
 製品の部品構成表を元に調達先(商社、メーカー)や調達地域、調達コストを記載します。
 もちろん、既存の取引先だけでなく仕入先の候補もこの調達市場マップに加えることが必要です。

全く簡易な掲載でご満足できていないのではないかと思いますが、掲載を長続きさせるのと限られた時間内で掲載するのでご勘弁を・・・。

2008年6月17日火曜日

資材調達でのコストダウン(第1回)調達マップ企画

 資材調達でのコストダウンについてはまず第一に調達すべき仕入先の検討モデル、第二に調達するバイイングモデルを策定する必要があります。
 今回は仕入先の検討モデルとして調達市場モデルがありますが、その上位概念というかラフモデルである調達マップについて考えてみたいと思います。
1.調達マップの定義
  仕入先を物理的な地域別に区分したものです。調達市場モデルに比べると地域横断的な概念と言えるでしょう。
2.調達マップの利用目的
  このマップによりどの地域でどんな物(もしくは加工)がどんなコストで入手できるのか?急激な人件費上昇や電気、水道のインフラの整備状況で今後の調達性に問題はないか?をラフに判断することになります。
 中国やBRICSでは自社が工場進出もしくは移転をする際の大きな判断材料にもなるはずです。
3.調達マップの例
  例えば、日本で言うと長野県諏訪地区の精密加工業、東京大田区の中小加工業となりますし、中国では華南地区の精密加工業、華東地区の電子工業などです。
4.調達マップの策定方法
  単純に地域別の仕入先を列挙したものではなく、業種やその地域の一般的な加工賃率、人材、インフラなど継続的に調達していくかどうかの指針となるべきものをマトリクス的に整理したものになります。
 もちろん、調達マップは1年に1回以上は更新して最新の状況にしておくことが必要になります。

簡単ですが調達マップの解説はこの程度で次回は調達市場について解説したいと思います。

2008年6月16日月曜日

資材調達でのコストダウン(第0回)イントロ

<イントロ>
資材調達のコストダウンについては全ての製造業、流通業をはじめとして様々な企業で実践されていることと思います。
 しかしながら、製造業においてはどちらかと言えば製造現場の改善による製造タクトタイムの短縮によるコストダウンが中心であり、資材調達でのコストダウンが戦略的におこなわれていたかと言えば疑問です。
 何かと言えば集中購買、インターネット調達、VMIなどが言葉としてでてくるのですが、あくまでこれらは手段にしかすぎません。
 集中購買にしたのだけれどコストが下がらない、インターネット調達にしたのだが従来の購買も並存して効率があがっていると思えない企業が多いのではないでしょうか?
 それこそ、その手段の背景となる調達戦略の不在が原因ではないのでしょうか?
この調達戦略は調達そのものの機能強化の方向性とその組織への反映が必要となる訳ですが、まずは調達機能そのものの機能強化についてお話していきたいと思います。

 なお、ブログということで毎日続けられるかどうかは判りませんが、興味をもたれるかたは是非ご期待願います。

2008年6月15日日曜日

酒都西条

昨日、嫁さんと酒都西条で昼間からお酒が楽しめる賀茂泉酒造の「酒泉館」で大吟醸酒を堪能してきました。
ここち良い風の中で過ごすことができ、22日の賀茂泉酒造の酒蔵で開催されるオカリナのコンサートの前売り券も買いました。(もちろん嫁さんも一緒です)

2008年6月14日土曜日

中小製造業での利益をあげるには

中小製造業でのコスト削減でセミナー企画を頼まれて考えています。
企画の理由は原油高、原材料高で企業環境が益々厳しくなっているからです。
調達コストの削減は自社より購入先の規模が大きいし、もちろん販売先も同様です。
ですから、コスト削減といってもかなり厳しいのが事実です。ほとんど加工賃で事業を営まれている場合が多いので利益確保の為のコストダウンといっても自社(経営者を含めた)給与の削減、人員削減程度しかありません。
大企業のような派遣、パートへの作業移管なんかは当然織り込み済みというか、元々それが勤務実態ですから。
やはり、コストダウンから利益創造へ方向を変えるしかないと思います。
最終製品もしくは近い物を製造するのでないと自社の付加価値を評価してもらえません。
もちろん、最終製品であるからといっても一般消費者に販売する必要ではありません。販路開拓まで中小企業が直ぐ飛び出すのは難しいですから、まずできる範囲でやってみてというところが良いのではないでしょうか?
ネット販売に適するものでしたら一般消費者向けでも良いと思います。WEBサイトの立上と楽天への出展費用で済むわけですから。

2008年6月13日金曜日

IT経営モデル企業セミナーを聴いて

ちゅうごくIT経営応援隊事業のセミナーがあり鳥取県の建設資材卸業の株式会社ミヨシ産業の谷野社長の講演を聴いてきました。
 バブル崩壊後の建設関連事業の不振で倒産直前、従業員の8割は入れ替わったという超厳しい時期を乗り切られ、黒字を確保されていました。
 ITで時間が浮いたら人材教育の実践、常に従業員には笑顔(マクドナルドではありませんよ)をというのが、社長のメッセージでした。
 やはり結局は人をいかに活性化するということが課題ですね。ITはツールにしかすぎません。

 私の経営コンサル活動の実践においては常にコンサル活動が終了し、コンサルタントが居なくなった後に継続的に従業員に改革、改善活動をおこなってもらうのにはどうすべきかを初めから考えておこなっています。
 キーワードは人材の活性化です。人材から人財へ!

2008年6月12日木曜日

中小企業のコンサルは難しいです

昨年支援させて頂いた卸売業の会長さんに電話してみました。やっと月次決算が15営業日頃に出るようになったようです。しかし、今支援している製造業では月次決算はできれば第5営業日まで第10営業日まではどうしても欲しいという要請です。月次を〆て半月では是正も何もできませんが、本来は財務会計での管理では遅すぎリアルタイムに是正しなければなりません。中小企業には厳しいとは思いますが、中小企業こそ事業遂行の舵取りを素早くおこなう必要があるはずです。