2008年8月28日木曜日

サービス産業の生産性向上について(番外編)スタジオアイ様事例研究

昨日はくれ産業振興センター主催のセミナーで株式会社スタジオアイの相川社長の講演がありましたので、サービス産業の生産性向上のポイントでその企業としての成長を事例として分析させて頂きたいと思います。

1.スタジオアイさんの概要について
 スタジオアイさんは斜陽化している写真館というサービス業のなかで確実に生き残るだけでなく成長し続けており、現在売上高7億円までに成長されている企業です。
http://www.studioai.jp/

2.4つの視点での分析
 現社長である三代目相川敏郎様は元来営業的なセンスが優れている方のようで、新規市場開発やビジネスの仕掛けにおいて様々な手を打たれてきていますが、これを今回のブログで述べてきた4つの視点で分析をしたいと考えます。
1)市場開発の視点
 ①七五三ビジネスの開発
 出発点である相川写真館の位置する呉、音戸地区において七五三という一般的な風習がなかったが、学生時代に他の地域では写真館はこの七五三という風習の中での子供の記念撮影というビジネスが潤っていることに気づいた。
 このビジネスを呉、音戸地区で開発する為に神社と付随するお菓子屋を営業手段として利用し、地域住民にこの風習の存在を宣伝した。その販路として幼稚園、保育園の子供を持つ家庭の名簿を使ってダイレクトメールの販促活動を遂行し、継続的な七五三撮影ビジネスを立ち上げた。
 ②婚礼写真ビジネスの開発と撤退
  相川社長が引き継がれた時点では婚礼は自宅でおこなうのが常識であり、婚礼写真撮影の為に重い機材をびセッテイングするという手間が負荷となっていただけでなく、婚礼する側も写真撮影の為に婚礼の時間を調整しなければならなかった。この出張撮影というビジネスを婚前撮影という他の地域で始まっていたビジネスに顧客を誘導し、スタジオ撮影でよりきれいな婚礼写真を残すといことに切り替えた。
 その実績を元にその当時急成長していた婚礼専用会場の玉姫殿に進出し、婚礼撮影ビジネスを立ち上げることができたが、婚礼件数が2002年までに半減するという事実を目の前にして事業の展開を図ることになり、婚礼専門ビジネスからは撤退した。
 ③商圏開発の方針
  スタジオ撮影する為には当然顧客となる人口が少なければ、いくらなんでもビジネスは成り立ちません。イオンモールのように田圃のど真ん中に出店するわけにはいきませんが、相川社長は商圏として10万人を前提としてスタジオを出店されてきました。出店においては地元の関係に大きく左右されるのですが、これを客観的にしかも目立つところという条件で幹線道路沿いという場を求めて、順次展開されてきていました。
  特にダイアモンドシテイ(現イオンモール)への出店においては、広島での新規出店はここでなければならないという強い意志により出店され実績もあげられています。

2)サービス商品開発の視点
 ①他の地域での流通商品の投入
  七五三撮影という商品を七五三という風習の紹介を合わせて呉、音戸地域に投入したこと。
 ②出張商品を来店商品への変換
  七五三も当初は神社の境内へ出向いて撮影するところからはじめ、婚礼撮影も出張撮影からスタジオ撮影へ切り替えることにより、良い写真の提供をおこなうこととなった。
  ここで相川写真館の特徴は相川社長が学生時代に東京でスタジオ撮影のアルバイトをしながら磨いてきた、単なる記念撮影ではなく様々なポーズを入れた撮影を織り込むことによりその”場”をイベントとして取り込んだことにある。
 ③イベントビジネスとしての撮影の転換
  新たに設けたスタジオを衣裳や美容も全て撮影される顧客に見せ、撮影のプロセスを楽しんでもらえる場として提供するだけでなく、七五三ファッションショーなどを企画することにより、少子の中で我が子にかける親御心をくすぐり人生のイベントとして何度でも楽しめるようにしてきたこと。
  もちろん、ハードとしてのアウトプットである写真もそのまま裸で提供するのではなく、フォトブックとしてもしくは家族全員で楽しめるデザインでの印刷スタイルも独自に提供している。

3)サービス人材育成の視点
 サービスは顧客だけでは供給できる訳ではなくサービスを提供する従業員との間でサービスが成立するというのはこのブログでも述べてきました。
 ①定期的な人材教育
  年2回従業員全員の研修会を撮影や美容など分野別に実施しているだけでなく、相川社長が全国的な同業者の組織体であるスタジオ研究会を立上ていますが、そのスタジオ研究会での他の写真館組織と合同で研修をおこない同業者と切磋琢磨させているというのが特徴です。
  更に、相川社長自身がこのスタジオ研究会という気の置けない仲間との交流の中でビジネスのヒントを得たり、判断をおこなう場としても位置づけられている。
 ②顧客の評価の受入
  スタジオを利用した顧客の自宅を訪問し、撮影された写真がどのように使われているかや評価を従業員にビデオでフィードバックをかけている。
  全体に共通することであるが、従業員だけでなく社長も楽しみながら仕事をされており、その雰囲気は十分このセミナーで伝わってきていた。

4)サービス業務支援の視点
 ①アナログ撮影からデジタル撮影への切り替え
  もはや当然といったデジタル撮影ですが、写真家としてはアナログ撮影というのは中々捨てがたいものではあったが、実際撮影した後でのフィルムの送付、現像、印刷処理は長くプロセス的にも付加価値を生んでいないものが多く、早めの切り替えにより写真の提供リードタイムの短縮という効果だけでなく、間接業務コストの削減も図ることができた。
 ②情報システムの整備
  企業規模が大きくなるに従って顧客管理や売上処理などのデータ処理時間が長くなるだけでなく、スタジオでの撮影終了後の事務処理が重複記帳入力により顧客の精算する時間も長く、顧客を待たせてしまうということも発生していたが、これも既存のパッケージを利用しながら追加開発をおこない時間短縮を図ってきました。
  今後、会計で使われてきたパッケージソフトがボトルネックとなってきた為に、顧客インターフェース部分からリニューアルされるそうです。

3.まとめ
 相川社長の営業センスにより発展をとげられてきたビジネスですが、途中から経営者としての分析と判断を加えられることにより失敗や成功をその要因をしっかりと把握され次への展開をされてきたのが今日の成功に至ったのではないかと思います。
 サービス産業の生産性向上の面で今回のセミナーの内容を述べさせて頂きましたが、ソニーのデジカメ(マビカ)の登場による写真ビジネスの変換の潮流をとらえ早期のパソコン導入など全ての面での先見性とKKDでなく客観的な判断をなされてきたのは素晴らしいことです。
 既に国からIT経営百選や中小企業IT経営力百選などの様々な受賞をされていますが、今後もこのビジネスモデルをどんどん進化されていくことでしょう。
 
 残念ながら急激に人口が増加しており若い家族も多い東広島市にスタジオアイさんのスタジオがないので自転車でちょっとそのスタジオが覗けないのが残念ですね、

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