2008年10月26日日曜日

受注設計生産型製造業の付加価値アップ(第7回)製造機能課題

前回の設計での課題はそのあらましですが製造業においては設計がすべてにおいて取り組むべき主要な課題となっています。しかしながら、その他の部門も全て設計が悪いという免罪符で事業活動を遂行していくのでは製造業の効率を改善できなくなる訳なので、設計からつながる課題だけでなくその業務遂行部門での課題も把握しながら進めていくものとします。
 それでは今回は製造部門ですね。
1.製造現場での課題
 森精機製作所のような先進的な製造業とは異なり(工場見学も時々おこなわれているようですので一度見学されることをお勧めいたします)、製品を製造するに当たり製品品質だけでなく納期管理の責任が曖昧ということがよく発生しています。
 なぜなら、製品仕様上や大きさの問題もあり製造作業が分担されて実施されていることが多いからです。ほかの量産品とどう違うのかと言いますと、機械的な組み立て作業と電気配線、ソフト導入による動作確認、検査という工程単位に担当者が変わってくるのです。量産品で小型のものであればセル生産などということで多能工化されているのですが、大型製品の多いこの受注設計生産型ではその製造技能というのを簡単に習得するのは難しいところです。
 ここに設計の垂れ流し出図問題がからんできます。やっと組みあがったと思ったら仕様変更で出図されたものが入荷したり図面がでてきて一度製造を止めて場合によってはバラシ再組み立て作業を実施するなどの手戻りが多く発生します。
 製造現場をみると納期が迫っているのに製造要員が作業をしていないというか誰も現場にいないなどということがよく発生しています。

2.製造現場での指揮命令系統の課題
 製品の生産変動が大きいという課題の為、設計と同様に派遣外注による構内作業が増えています。また、製造後、顧客に搬入して生産引渡しまでの日数も長いということになりますが、この現地作業は企業として顧客に責任を持って対峙しなければなりませんので、社内の精鋭がでていくことになります。それだけでなく、海外での設置が多い為、移動を含めて半月、一月戻ってこないということがしばしば発生します。
 このような状況の為、製造現場に責任者ある班長や職長が出払って居るのは派遣社員ばかりなどということが発生してしまいます。中には優秀な派遣社員が対応できる場合もでてきますが、それは派遣の悲しさであり折角育てても受注が減少してしまいますとそんな派遣も契約を更新できなくなってしまい、次の増産の時には対応できません。
 この受注設計生産製造業の派遣というのは事務系の派遣社員とは異なり、外注として普段製造を委託している企業から製造要員を派遣してもらうことが多い。要は、組み立て外注であれば材料支給となるのですが、材料支給する手間時間を省く為に社内で組み立てしてもらっている訳です。ただし、業務請負となりますと偽装請負となってしまいますので、指示命令をおこなう為に派遣という形態をとっています。(もちろん、派遣してくれる企業がその派遣事業をおこなえる認可が必要です。)

3.標準作業について
 量産品であれば標準作業が設定され、時間短縮が継続的に図られていくのですが、毎回生産するものが異なるということで標準作業が設定されないことが多いのが実情です。こんな状態で納期設定すること自体がおかしいのですが、過去の同様装置での実績工数でだいたいこんなものであろうという設定がされます。(原価としての工数も同様ですが)
 これも多能工化が難しい原因でもありますが、標準作業指示書がないのでいきおい無駄な作業が発生します。また、設計も標準作業書に代わる作業指示書を発行しない(というか現場を知らないので出せない)ということで製造現場の効率向上を妨げる原因になっています。
 この状態で増産時には派遣外注も加わるわけですから、品質管理がうまくいくはずもありませんよね。製造現場で何を基準として作業しているか?といったら図面だけで作業をしているのですが、製品全体を知る製造ドキュメントがないのですから口頭伝承しかありませんよね。もちろん、企業によってレベルの差はありますが。
 営業が菓子折りを製造現場に持っていったらその装置だけ納期が短縮されたり笑えない話は良くありましたよね。
 いずれにしても受注設計生産型製造業においては生産技術の姿が良くみえていません。もちろん、設計が部品構成表を作らないという根本的な問題から引きずる訳です。

4.工程管理について
 工程管理上の問題は標準作業がない、製造現場の責任が曖昧というところもありますが、それ以外の課題として色々の問題があります。設計不具合だけでな購入品の不具合や顧客で稼動中の装置のアフターサービスで仕掛中の製品から部品を追剥するということが発生します。
 この場合は材料の入出庫がシステム管理されている場合であってもシステムを飛び越えて現品だけ持ち出され、その代替品の入荷が判らないもしくはシステム上の処理のし忘れにより原価が二重に投入されてしまったりしてしまいます。なぜ、工程がとまっているのか判らないこともしばしば発生してきます。設計変更も合わせて都度の受注都度に管理ポイントが増えすぎるだけでなく、関与する人間が増えすぎてしまい、情報の時間的なずれを含め工程管理者を混乱する原因を増やすだけですね。
 材料の入荷も出図に応じて五月雨に入荷してきますから、製造現場で部品、材料が不足すると入荷場所を探すという手間を製造要員がおこなっていることも多く発生し、製造実作業をしている時間よりも材料を探している時間のほうが多いということも発生します。
 このことにより製造現場の5Sが進んでいないことも多いですね。材料の入ったダンボール箱が積み上げられていたり、通路まで材料が飛び出していることも。
 企業によっては製品を温度管理したクリーンルームに組み立て中の仕掛を移動させていくものもありますので、その都度工程が中断することもあります。

5.工程管理での特殊事情
 工程管理として特異な課題について触れておきます。一般的な製造業であれば、ボトルネックは作業時間と設備稼働にありますが、受注設計生産での特異な状況というのが、製品そのものが大きい為、製造場所(面積)がボトルネックとなります。
 工程管理者は製造を組み立てる場所をレイアウトしながら、出荷日程に合わせて材料が投入できる時期の管理をしなければなりません。組み立て要員は確保できても組み立て場所が確保できなければ、その時点で納期遅延となります。顧客への搬入時期が顧客の工場の受け入れ状況によって長期間延期されることもありますので、製図用紙に装置の絵を貼り付けて、装置が入る入らないという悩む状況を見ると、子供の切り絵を思い出してしまいます。

製造でも課題がどんどん増えてきて書ききれなくなりましたので今日のところはこれまで。それでは次回に・・・。

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