前回は販売管理ということで個々の商談での管理について述べさせて頂きましたが、今回は工場全体としての生産管理上の対策を検討してみたいと思います。ともかく個々の営業案件での確定を待っていては顧客要求納期に間に合わせることができませんし要求コストに対応し利益を出す為の予算管理をおこなうことが必要となります。従って、どうしても先行管理がまず重要なものとなります。次に個々の案件の仕様変更でのコストや納期変更に伴う変更管理が重要となります。
1.先行管理について
1-1.目標原価管理
受注設計生産型企業にとっては最も重要な管理項目となります。製品開発のなかで作り上げた製品のコストは実体のあるものではありません。あくまで受注して開発した製品構成ユニットを組み込み、受注仕様を盛り込んで初めて製品が完成するものですからね。販売管理において原価見積をおこなった時点から目標原価管理の対象として管理することが必要となります。受注してもいないのにといいますが受注してから始めたのでは間に合いません。案件の要求仕様から目標コスト(=予算)を設定し、設計に必要な工数を算出し、製造工数、資材調達コストを割り当てなければなりません。原価については最近まで材料コストが急騰していましたが、これも判らないということではなくコストを予測しておかなければなりませんね。
1-2.スケジューリング(納期管理)
目標原価としての予算と同時に顧客要求納期に合わせてスケジューリングが必要ですが、最もボトルネックとなるのは設計ですから、このスケジューリングが最重要管理対象となります。設計管理で複数の案件をどれだけ並行にこなせるように設計手法の共通や流用設計を可能にさせておくことが必要となります。資材調達については長納期材料というのはだいたいの場合製品開発した時点で想定されている訳ですから、いつ在庫引き当てが可能となるのか?もしくは出図されてどのくらい納期がかかるのかは予測がつきますね。(この点については資材管理のところで検討します。)ただし、受注設計生産型製造業で考慮しておかなければならないのが、資源として時間だけでなく設備としての工場の組立場所です。どうしても製品そのものが大型ですので、組立、検査をする場所に制約されますので、仕掛製品の専有する期間と面積をスケジューリングする際に考慮しておくことが必要となります。
1-3.資源管理
スケジューリング管理前の大日程レベルでの管理となりますが、個々の案件に引き当てられるべき企業の資源(設計要員(メカ、電気、ソフト、)、原材料、長納期部品、組立・調整場所、製造要員(組立、プロセス調整・検査)、現地搬入・立上要員)の全ての計画を立案し、その計画にあわせた個々の中日程での妥当性を検証し、過不足に対してどうアクションするのか?の社内体制および責任と権限の仕組みを作り上げておく必要があります。事業単位で仕組みを作り上げるか、その業務機能単位で仕組みを作り上げるのかは最も重要な対策と言えるでしょう。製品は直線で動いていきますが、企業としての管理は平面もしくは立体での管理をしなければなりませんから。
2.変更管理について
2-1.仕様変更
顧客の要求仕様は最後の最後まで変更されるということを前提とした変更管理が必要となります。実際に、顧客の生産ラインの現地設置工事中更に製品引渡しまで仕様変更はありえます。ここで重要なのは仕様変更に合わせてスケジューリングをするというのはもちろんですが、その変更に関わる費用を直ちに算出し、その費用を顧客に請求できるものできないものに分析し顧客との見積折衝ができるようにすることです。また、仕様変更が自社の課題により発生した場合は、原因分析と再発防止を直ちにおこなえる体制を整えておかなければなりません。顧客からの仕様変更であれ、自社の責任がある場合であれ、その実績報告が遅くなればなるほど是正ができなくなります。売上もしくは原価確定が終了した時点でその報告がされたとしてもあくまで結果でしかありません。どうしても納期対応優先で曖昧にされることが多いのですが、この実績がリアルタイムに報告される社内の体制と原価管理システムの連動が必須となります。
2-2.納期変更
納期変更についてはほとんどが顧客要求であることが多いのですが、前倒しも延期も両方共に頭が痛い問題です。前者の場合は多くが工数不足をどこまで追い詰めるかどうかということになりますが、残業、休日出勤でも短縮できない場合は代替手段や代替材料などの暫定処置をおこなわなくてはなりません。もちろん、この前倒しによるコストアップをどう顧客折衝できるかということが課題となります。残念ながら、ほとんど顧客と折衝できていないのですが、これを顧客に対するアドバンテージとして残しておけるかということが重要となりますし、前倒しした結果を常にその納期でできるものとして顧客に認識してもらっては困りますね。延期の場合はキャッシュフローを即悪化させ資金繰りに支障をきたすことになりますし、下手をすると無期延期ということで実質的なキャンセルとなりかねません。また、生産場所の確保ができないという現場での問題もできてきます。契約もしくは受注時点で延期の場合の取り決めというのが曖昧となっている場合ので、これは販売管理での問題ではありますが必要に応じて取り決めておくことが必要です。複数台の大型受注の場合は特に事前に管理しておくべきです。
ざっと生産管理について細かいところは省略して述べさせて頂きました。やっぱり、このままいくと年末年始の休みを利用しないと済みそうにありませんね。