2009年1月10日土曜日

受注設計生産型製造業の付加価値アップ(第17回)カスタマーサービス管理

今回は受注設計生産型製造業におけるストックビジネスというべきカスタマーサービス管理について述べたいと思います。

まず、このカスタマーサービスは従来アフターサービスと言われていた領域のものであり、製品販売後の顧客支援となります。企業としての利益をだしながら、顧客の満足度を高めることが重要なポイントになります。製品そのものより形のないサービスというところに力点がおかれるところに、製造業での管理の難しさがあります。すなわち、この点においてはサービス業の事業管理と重なりますが、判り易くする為に保守・消耗品というハード系のサービスと修理・改造というソフト系サービスに分けて説明したいと思います。

1.保守・消耗品サービス

 1-1.保守・消耗品サービスの前提
  インクジェットプリンターを例にとるとインクや紙となりますが、このサービスの前提となるのは顧客が保守・消耗品を製品の使用において交換できるし、交換することを理解していることが前提となります。特に、受注設計型製造業において課題となるのは毎回設計仕様が異なりますので、保守・消耗品となるものをできるだけ共用しておくことが必要となります。

 1-2.保守・消耗品管理
  生産設備で使用されていることが多い受注設計型生産された製品は、保守・消耗品が交換される期間は生産ができないということになります。したがって、タイムリーに交換できることが必要です。顧客にこの在庫をもってもらうことは必要ですが、全てを在庫化してもらうことは困難です。なぜなら、消耗品のように短期間で交換するものは別として、保守品は数年に1回の交換となるからです。

 したがって、保守品については顧客に代わって自社で在庫を保管することになります。この自社の在庫のストックポイントを輸送リードタイムを考慮して確保し在庫計画を立案し管理することが重要となります。
 また、保守・消耗品の保管においては寿命を考慮しなければなりませんし、特に購入品においては製造元の生産中止を管理しておかなけばなりません。(生産中止品の代替品が互換性のある場合は良いのですが、そうでない場合がありますので、この場合は過去の交換実績や製品の累積出荷台数、破棄台数を考慮して在庫化する必要があります。)

2.サービス修理管理

 修理といっても顧客現地での出張修理と引き取り修理の二つの場合があります。引き取り修理は考えにくいかもしれませんが、ユニットでの消耗品交換や修理などの場合がありますね。
 保守・消耗品と同じというかもっと厳しいしのですが、製品が修理の必要性があるということは定期的なメンテナンスでの休業時期であれば良いのですが、顧客にとっては装置が停止しているという緊急事態になります。いち早く稼動できるよう復旧しなければなりませんので、故障原因を分析し部品交換などの対処が必要となります。
 この復旧リードタイムを短縮するようにサービス拠点の設置やサービス要員の教育、前項の保守消耗品在庫設定が必要となります。すなわり、「サービス拠点を含めたサービス体制企画」、「サービス要員育成計画」、「保守・消耗品在庫計画」の継続的な立案が必要となります。新製品開発の情報や生産出荷の計画や実績、顧客での製品廃却などの情報をベースに継続的に中計をベースとして年次で計画しなければなりません。

 また、個別装置の履歴をデータとして蓄積し、出荷から顧客での移設や廃却までの部品交換や修理などの履歴をいつでも検索できるデータベースの構築が不可欠となります。リアルタイムで稼動管理することは顧客の情報管理上の制約があるかもしれませんが、メーカーとしての責任は売上時点から始まるということを忘れてはなりません。

カスタマーサービス管理について概略述べさせて頂きましたが、次回はまとめということで・・・。

2009年1月6日火曜日

受注設計生産型製造業の付加価値アップ(第16回)調達管理

年末調整や初年度の決算処理(現在進行中)や雑誌の原稿執筆であっという間に年を越してしまいました。工程管理に引き続き調達管理でのポイントについて述べていきたいと思います。
1.予算管理
 調達費用はそのまま企業からキャッシュとして出て行くものです。当然、売価に対応してあるべき調達費用は決まってきます。少なくとも、調達費用が売価を越えてしまえば、企業は限界利益さへ出せなくなってしまいます。
 現在、世界的な不況下にありますので、数少ない商戦で競合企業に対して勝ち残る為にはコスト競争能力を鍛えるしかありません。予算管理で如何に利益を確保するかが、今まで以上に重要となってきます。直前までの原材料高もこの不況と円高で調達有利になっているのですからこの機会を十分に活かすことが必要です。

2.調達市場管理
 予算管理だけでは長期的なコスト競争力の維持はできません。既にこのブログでの資材調達でのコストダウンで述べさせて頂きましたが、量産品のように繰り返し生産するものと同様に調達市場管理は重要です。どうしても生産の変動に合わせて調達先を開発しては取りやめたりの繰り返しをしていると、焼畑農業のようになってしまいます。
 すなわち、安定的な調達ができなくなるということですね。仕入先にも体力をつけてもらってVE,VA提案をして自社へのコスト低減に協力できるように指導することが必要です。受注設計生産型企業の多くは組み立て型の製造業で自社で加工設備をもっているところが少ないのですから、如何に安く安定的に調達できるように自社の調達市場を育成できるかが、コストの継続的な低減能力を保つ為のポイントとなります。
 量産品と異なり調達モデルによる調達については同一部品の調達量や調達機会数が少ない為、受注設計生産型製造業には適合性が低い為、案件単位での予算管理に重きを置いたほうが良いと思われます。

3.部品構成管理から上流管理へ
 量産品と異なり受注設計生産型製造業では毎回調達するものが異なっています。設計変更というよりも、設計する品番そのものが異なっています。設計での問題となりますが、受注設計生産型での設計では部品表や図面だけで部品構成表を作ることが少ないのが課題です。
 部品構成表を作成することによりそれを再利用することが可能なのですが、これを作成していないが為に図面違いでほとんど同じ仕様のものを高く購入することが非常に多く発生しています。
 これを防ぐ為に調達部門も設計出身者を異動させて部品構成そのものをチェックし、無駄な図面購入となっていないかをチェックする必要ができてきます。
 要は、調達部門は積極的に設計部門に入りこみ上流でコストを抑えるという活動をしなければならないということになります。量産品と異なり繰り返し性は低いのですが、設計部門の責任とせずに設計部門と協調して無駄な設計によるコスト増大を如何に抑えていくかというのが、資材調達部門の役割となるはずです。

 新年早々調達管理でしたが、次回はアフターサービス管理を述べたいと思います。