ここで営業管理とは一般的な販売部門としての営業本部や営業部での管理機能ではありません。製造業としての営業管理機能について述べていきます。
1.対象市場構造の把握の目的
「顧客視点」という言葉が言い古されてきていますが、まさしく自社の顧客たる市場構造を理解し、その変化と動向に対処できている企業がどれ程あるでしょうか?
結局、供給側の論理で知らず知らずのうちに見ているのが大部分ではないのでしょうか?自社の製品が顧客にとってどんな付加価値をもたらすのか原点にまで立ち返ってみることが必要ですね。
当然、そうすると顧客が自社の製品を使って更に製品サービスを供給するのを最終的に消費されるまでを追跡することから始めなくてはならない訳です。
そんなに深くまで追跡する必要はないと思われますが、「風が吹くと桶屋が儲かる」ということを把握することは市場構造を理解し、商品開発の方向性を決めるのには重要なことです。
場合によっては技術革新によって市場が無くなってしまうということがありますが、顧客製品の付加価値の連鎖を追跡していくとその技術革新の先読みができるようになります。
小さな例ですが、携帯電話には以前折りたたみ式のアンテナが付いていましたよね。小型化するにはあのアンテナは邪魔でした。ところが、携帯電話には当然アンテナが必要ですから、アンテナが内臓された訳ですね。アンテナが外部に張り出している時には問題にならなかったのですが、携帯電話の外側に金属物を使えなくなってしまったのです。なぜなら、電波が内臓されているアンテナを遮断することになるからです。この為、携帯電話はプラスチックのボディに金属色のコーテイングを施すようになったのです。(アンテナメーカーにとっては折りたたみアンテナ市場は消え、プラスチックメーカーには金属色コーテイングの市場が創造されたのです。)
2.対象市場構造の分析
顧客の製品の市場だけでなく、最終的に一般消費者により消費されるまでの市場を体系化し構造化することによって対象市場を捉え易くなります。
例えば、プレス機→鋼板→自動車、半導体製造装置→半導体→パソコン・家電品といった具合ですね。当然この例のような簡単なものでなく、製品グレードによって用途が全く異なってくる訳ですね。
また、技術革新を考慮すると、音楽の媒体もどんどん変遷してきてテープ→CD→MD更にネットによるダウンロードと媒体そのものが不要となり、音楽の有料配信というビジネスに代わってきていますが、どれだけ早く先を読み、自社が追随する市場範囲はどこまでかを明らかにしておくことが重要となってきます。
自社の現状製品が販売されている顧客の市場構造を把握し、どの製品がその該当市場でどれだけ販売を増やしているのかまたその市場自体の成長率はどうなのかを把握することによって、自社のシェアと市場の魅力度を確認することができてきますね。縮小する市場でいくら頑張っても難しいし、市場が拡大しているのに自社製品の売上、利益の伸びが比例していなければ問題はなんだろうか?ということに立ち入らざるを得ませんね。また、市場構造を把握することによって自社製品が参入できていない分野を明らかにし、何故その市場に参入できていないのか?を考えるということになります。
3.商品企画
商品企画を数行で述べることは難しいのですが、簡単に述べさせて頂きたいと思います。市場構造の分析により自社のターゲット市場を設定すると、今度はその市場におけるニーズの現状と技術動向を把握し、商品を企画することになります。全く新しい技術である必要もありませんし、従来の技術の組み合わせによるものでも構いません。それに対して顧客が自社の方向に適合し魅力がある(=付加価値をあげてくれる)と判断してもらえれば良いのです。また、競合メーカーに対して突出する必要もありません。必ずしも突出することが販売に貢献するとは限りません。なぜなら、顧客がその技術的な革新性を理解できないことがあるからです。もちろん、顧客に理解してもらえればシェアを大幅に取ることができるでしょう。例えば、ⅰ-PODなどはそうでしょう。テープ→CD→MDという既存の流れを飛び越え音曲のダウンロードサービスと組み合わせたビジネスモデルでアップル社はSONYを始めとした日本メーカーを席巻してしまいました。
逆に、理解されなかった例としては液体蚊鳥です。これは以前市場で販売された時には一般消費者には受け入れられず、特許が切れたころから売れ始めたのです。
ところで、一般的な商品企画の話はさておいて受注設計生産型製造業にとっては市場が狭く公開されている市場の技術データや技術動向が把握できないということがよくあります。そこで、注意すべきなのは顧客のトップ企業の動向ですね。業界2位、3位以下のメーカーは1位メーカーをなんとか凌ごうとはしていますが、必ずしもその要求仕様が市場動向に適合しているかどうかは判りません。特にシェアに低い企業の趣味的な要求をみていたのでは商品企画の方向性を誤る可能性があります。シェアトップメーカーの技術動向を把握するのが最も重要ですね。
しかしながら、新規参入企業の動向については気をつけておく必要があります。例のアップル社のような場合もあるのですから。
こうしてターゲット市場のニーズを把握し、技術的な開発要素を明らかにし、その開発の難易度や予測がたったならば次は企画した新商品の投入時期、販売価格、目標原価設定をおこなうことになります。この商品企画の段階では2世代先の技術を予測しておくことが重要です。受注設計生産型企業の場合1世代先の商品開発はほとんど同時にに顧客との商談に入っていることが多い為、その次の世代を想定しておかないと市場ニーズに間に合わないということです。どうしても、設備投資が一巡してくる、もしくは設備投資の谷間に入ってくると、自社もそうですが顧客も新商品を評価する時間が確保できます。そうすると商品企画といいながら実は時期設備投資で予定される商品の仕様打合せとなってしまいがちです。この段階での要求仕様から開発時期を判断して1世代、2世代と大枠区分けすることが重要ですね。折角、開発しても周辺技術や顧客側が対応できないということにもなりますので。
ただし、いずれにしてもこの商品企画段階で製品のコストはかなり決まってしまいますので、どんな設計コンセプトとするか、顧客の要求価格に合わせてコストコントロールすることが重要です。受注設計生産型といいながら、骨格となる要素技術は同一ですから顧客のカスタマイズ仕様にどれだけ適合させるかで受注都度のコストがアドオンされてしまいます。
以上のように非常に簡単ですが営業管理におけるポイントを述べさせて頂きました。ちょっと、一般的な話が多かったですね。これ以上はコンサルの現場にて。
