前回は営業の課題構造について述べてきましたが、今回は設計の課題構造について述べていきたいと思います。営業、設計、製造と一般消費者向け製品と異なり、区分けが曖昧にところがあり行きつ戻りつつ述べていくことになると思いますので御了解願います。
1.製品開発での課題
受注設計ですから顧客要望に応じて足らない部分を自社開発もしくは開発委託することになるのですが、この線引きは曖昧です。半導体や液晶の場合は製品の世代交代に応じたロードマップが市場でも認識され開発に着手できる訳ですが、それ以外の市場の場合は製品展開のオプションが多すぎてどの技術をにらんで開発すべきかが非常に選択が難しいと言えます。
したがって、開発することによって他の競合メーカーとの差別化を図っていくのが非常に企業としてもリスクが大きくなってしまっています。もちろん、自社が圧倒的にトップシェアを確保しており、顧客に提案すれば直ぐ受け入れられるとか、市場自体がニッチで迷うべきオプションが少ないというのは別ですが、シェアも代替技術で数年でひっくり返されてしまう市場の恐ろしさがありますからそうとも言ってられないのが現状でしょう。
2.受注での課題
上記のような事情で製品開発を常に継続しかも360°の全ての方向へ展開できる訳ではありませんし、景気が不況モードになってくるとカッコばっかり言っている訳には行かなくて、利益的にも厳しいもしくは他社へ営業展開できそうにもない製品の受注をすることも往々にして発生してきます。
このような場合だけでなく、顧客自体が他社と製品の差別化を図る為に一足飛びに次の技術を要求することもあります。
そうすると、開発期間で吸収すべき技術的なリスクを受注案件の設計の中で対応しなければならないことになります。要は試作品をそのまま顧客に売らざるを得ないということになります。
ということは後で必ず尾を引いてしまいますね。新聞で公表された例では日本メーカーが韓国の企業から納期遅延に伴う損害賠償を請求されたことがありました。実情は判りませんが、設計が重要な要因であったことは否定できないと思われます。
3.仕様での課題
開発設計的な要素がある場合ももちろんですが、顧客仕様が決まらない、決まっても変更が際限なく続いていくということが日常化しています。
顧客の仕様が決まらないが決まるのを待っていたら製造が止まってしまうので、設計を顧客仕様の範囲を予想して終了させて材料手配にかかったり加工に入った後に、仕様がその想定された範囲を超えて変更されるということもあります。想定して仕様の巾を設定した段階でコストアップがある程度発生するのですが、仕様範囲を超えてしまうと修正では済まなくて再設計、再製造ということで廃棄するコストも合わせて2倍の直接コストと間接業務コストが発生してしまいます。
4.内部仕様での課題(コスト悪化)
顧客仕様の変更は顧客のわがままと言えばそれまでですが、顧客仕様だけでなく社内内部の仕様検討でのロスの問題が現在課題となっています。
どうしても受注設計生産ということで半直接部門である設計がその設計コストの比率を下げたり、短納期対応する為、また受注変動に対応する為に、派遣外注などの外注設計に大きく頼っています。
この結果社内の設計部門が実は設計ができなくなってきているのです。設計の人材育成は図面を顧客仕様に合わせて展開したりするプロセスの中で行われているのですが、実際に図面を展開して検証する機会が外注化によって少なくなれば育成の機会は失われてしまいます。
この結果人材育成だけでなく設計での不具合流出が増えたり、過去の設計変更が反映されていなかったり、設計する必要がないものを設計したりという設計不良にからむコスト上昇が避けれらなくなってきてしまいます。
昔はどんぶり勘定で吸収されてきたこの設計不良に関わるコストも設計によって製品のコストがほとんど決まってしまう状況では吸収どころか、赤字の垂れ流しにまで至ってしまいます。
5.製造、購買への課題
製造、購買の項目で詳しく述べていきますが、受注設。計生産においては設計が終わらないと次の工程である購買や製造の工程へ進めません。
ところが、仕様変更や設計ミスの修正などで設計がいつまでたっても終わらないことが多い為、待っていたのでは購買や製造の生産計画日程を組めなくなりますので、順次購買、製造という後工程をリリースしていくことが必要となってきます。
もちろん原価管理上もどこまでが本来必要なコストであり、顧客仕様変更に伴うものか、社内責任によるのかを掴むことが難しくなってきます。
6.アフターサービスへの課題
アフターサービスの項目で詳しく述べていきますが、設計が受注単位でおこなわれますので、設計の都度に消耗品を含めて保守部品が増大していきますね。
営業と同様に設計も問題は尽きないところなのですが、今日はこんなところで・・・。
2008年10月22日水曜日
2008年10月19日日曜日
受注設計生産型製造業の付加価値アップ(第5回)営業機能課題
前回、全体的な課題について述べましたが、今回は業務機能別にみた課題について述べていきたいと思います。
業務機能としては一般的な製造業のオペレーションに合わせて考えていきます。営業、設計、購買、製造、サービスという流れです。原価管理、マーケッテイング、製品開発はこの流れの中で取り込んでいくことになります。もちろん、対策段階では別々に取り扱っていくことになります。
1.営業について
1-1.営業スキル
概要でも述べさせて頂きましたが、引合いでも売り込みにおける場合でも同じですが、折衝する顧客の相手が生産技術者、製品開発担当者になりますので、自社の製品仕様や特徴だけでなく製品によってどんな製品ができるのか利用されているのか?顧客の置かれている市場でどんな付加価値を生むことができるのかを理解しておくことが必要となります。
1-2.デモンストレーション
製品単価も高いので顧客もそう簡単に購入するという訳にはいきませんよね。特に顧客にとって新規の製造技術であったならばどうしても製品評価の為にその製品を使用して試作品を製作し評価することが必要になってきます。
もちろん、この試作品評価の為には最新鋭の装置を常に揃えておくことが必要となります。古い装置では逆に顧客の評価が下がってしまいますから、モデルチェンジ毎に最新鋭機を設置するのはキャッシュの面で負担が大きくなりますが、逆に全く新規のものを顧客にそのまま販売して逆に人質になることを考えると安上がりになるかもしれません。
何故なら、最新鋭機が社内にあるのですから不具合の検証も早くすることが可能です。
1-3.見積
引合いや顧客評価が終了したならば当然見積ということになりますが、この見積の精度が問題となります。往々にして毎回受注設計生産をしている企業ではBOM(部品構成表)がまともに作られてなかったり、あったとしても設計者個人毎にその構成方法が異なっており、どのデータを使えば良いのか判らないということになってしまいます。
更に問題なのは見積しようとしても顧客要求仕様の変更が多くて何時仕様が確定するのか不明であるということです。場合によってというか、ほとんどかもしれませんが納入時期や顧客への引渡し時期が確定していても合意した発注金額がなく内示書でずっと動いていって検収直前で価格が決まるということもありえます。要は受注時点というのが曖昧であるということです。海外への販売は価格が決まらないと輸出ドキュメントが作成できないので、価格は決まりますが、仕様については決まらないことは変わりません。
したがって、仕様変更の都度直ぐ見積書を提示できなければ、仕様変更を諦めてもらうこともできませんので、この期間を短縮できなければ赤字の垂れ流しになりかねません。
もちろん、価格折衝の時間も必要ですよね。
1-4.納期回答
また受注?してもその工程の進捗が見えづらいということ多く発生します。まずのネックは設計工程ですが、これは設計の課題に譲ります。設計が終了したとしても前記のように顧客の要求仕様変更に対応して設計が更に追加変更されますので、製造途中でその追加変更部品の入荷待ちの為に停止したり、設計ミスで作り直しが発生したり目の前に製造仕掛品があっても判らないということ多い状態となります。(これも詳しくは製造の課題で述べさせて頂きます。)
という状態の為、営業が顧客から納期の確認問合せや前倒しや延期要請があっても回答できないということが発生します。なにせ、工場でさへ判らないのですから営業が判るわけありません。
1-5.営業担当者のモチベーション維持
製品の売価が高額の為、どうしても担当者レベルでは受注折衝は終了せずに自社の役員や場合によっては社長が最終交渉をすることになってきます。したがって、営業担当者の役割が顧客との折衝だけでなく社内への根回しに時間が取られてしまい、顧客訪問する時間より社内で折衝する時間のほうが増えてきてしまうということになってしまい。モチベーションをどう維持させるかが問題となってきます。トップ方針で赤字受注をしてしまったり逆に取りたかった受注を断るということもでてきます。
営業での課題は他にも色々ありますが、疲れてきたので今日のところはこれまで。
業務機能としては一般的な製造業のオペレーションに合わせて考えていきます。営業、設計、購買、製造、サービスという流れです。原価管理、マーケッテイング、製品開発はこの流れの中で取り込んでいくことになります。もちろん、対策段階では別々に取り扱っていくことになります。
1.営業について
1-1.営業スキル
概要でも述べさせて頂きましたが、引合いでも売り込みにおける場合でも同じですが、折衝する顧客の相手が生産技術者、製品開発担当者になりますので、自社の製品仕様や特徴だけでなく製品によってどんな製品ができるのか利用されているのか?顧客の置かれている市場でどんな付加価値を生むことができるのかを理解しておくことが必要となります。
1-2.デモンストレーション
製品単価も高いので顧客もそう簡単に購入するという訳にはいきませんよね。特に顧客にとって新規の製造技術であったならばどうしても製品評価の為にその製品を使用して試作品を製作し評価することが必要になってきます。
もちろん、この試作品評価の為には最新鋭の装置を常に揃えておくことが必要となります。古い装置では逆に顧客の評価が下がってしまいますから、モデルチェンジ毎に最新鋭機を設置するのはキャッシュの面で負担が大きくなりますが、逆に全く新規のものを顧客にそのまま販売して逆に人質になることを考えると安上がりになるかもしれません。
何故なら、最新鋭機が社内にあるのですから不具合の検証も早くすることが可能です。
1-3.見積
引合いや顧客評価が終了したならば当然見積ということになりますが、この見積の精度が問題となります。往々にして毎回受注設計生産をしている企業ではBOM(部品構成表)がまともに作られてなかったり、あったとしても設計者個人毎にその構成方法が異なっており、どのデータを使えば良いのか判らないということになってしまいます。
更に問題なのは見積しようとしても顧客要求仕様の変更が多くて何時仕様が確定するのか不明であるということです。場合によってというか、ほとんどかもしれませんが納入時期や顧客への引渡し時期が確定していても合意した発注金額がなく内示書でずっと動いていって検収直前で価格が決まるということもありえます。要は受注時点というのが曖昧であるということです。海外への販売は価格が決まらないと輸出ドキュメントが作成できないので、価格は決まりますが、仕様については決まらないことは変わりません。
したがって、仕様変更の都度直ぐ見積書を提示できなければ、仕様変更を諦めてもらうこともできませんので、この期間を短縮できなければ赤字の垂れ流しになりかねません。
もちろん、価格折衝の時間も必要ですよね。
1-4.納期回答
また受注?してもその工程の進捗が見えづらいということ多く発生します。まずのネックは設計工程ですが、これは設計の課題に譲ります。設計が終了したとしても前記のように顧客の要求仕様変更に対応して設計が更に追加変更されますので、製造途中でその追加変更部品の入荷待ちの為に停止したり、設計ミスで作り直しが発生したり目の前に製造仕掛品があっても判らないということ多い状態となります。(これも詳しくは製造の課題で述べさせて頂きます。)
という状態の為、営業が顧客から納期の確認問合せや前倒しや延期要請があっても回答できないということが発生します。なにせ、工場でさへ判らないのですから営業が判るわけありません。
1-5.営業担当者のモチベーション維持
製品の売価が高額の為、どうしても担当者レベルでは受注折衝は終了せずに自社の役員や場合によっては社長が最終交渉をすることになってきます。したがって、営業担当者の役割が顧客との折衝だけでなく社内への根回しに時間が取られてしまい、顧客訪問する時間より社内で折衝する時間のほうが増えてきてしまうということになってしまい。モチベーションをどう維持させるかが問題となってきます。トップ方針で赤字受注をしてしまったり逆に取りたかった受注を断るということもでてきます。
営業での課題は他にも色々ありますが、疲れてきたので今日のところはこれまで。
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