2008年10月11日土曜日
受注設計生産型製造業の付加価値アップ(第4回)課題
1.顧客市場のライフサイクルでの課題について
製品売価は高いのですがその顧客とする市場の成長性によって大きく左右されてしまいます。日本の近代工業の成長を考えれば直ぐ判りますね。製糸業等の軽工業から始まって、重工業、化学工業それから自動車、電子部品と日本の主体とする産業はどんどん変わってきました。
したがって、製糸用の製造機械を作ったとしても日本に需要はありません。鉛筆や万年筆も同様です。
その顧客の成長によって左右される訳ですが、成長に合わせてどんどん新規参入が相次ぎ市場も大きくなるのですが、競合メーカーも当然にように増えてきます。また、産業の成長も日本だけで考えるわけではなく、韓国、台湾、中国を初めとしたBRICSへとどんどん顧客市場そのものが変わっていきます。
典型的な例が半導体になると思います。1980年代はNEC,東芝と家電業界はほとんど猫も杓子も参入し、生産量と品質、価格で本家本元のアメリカを追い抜いたのですが1990年代以降韓国サムスン電子、台湾AUOなど海外メーカーが台頭すると共に今や日本でDRAMを作っているのはエルピーダメモリーだけという状況です。その間、ニコン、キヤノン、東京エレクトロン、ULVAC、アドバンテスト等の装置メーカーは顧客が代わろうと関係なくシリコンサイクルの需要変動を耐えしのぎながら生き残ってきました。装置メーカーも色々参入してきましたが、半導体の技術進歩に開発が追いつかなかった企業もあり、生き残っている企業はかなり大規模な企業だけとなり、製造プロセス単位での装置メーカーの寡占化、独占化が進んだ結果となっています。
2.ビジネスモデルでの課題について
詳細については次回以降にふれますが、製品単価が高く受注機会も毎日あるという事ではない為、一般消費者向けの製品とは桁違いに受注機会は少ないですね。
したがって、顧客市場の需要変動はもちろんですが、非常に生産が極端に変動してしまう所謂フロービジネスです。需要のピークに自社の資源を合わせると、ボトムでは思いっきり人が余って、極端な場合は工場のペンキ塗りと草むしりなんてことになってしまいます。
この為、製品の販売というフロービジネスだけでは会社として存続するのはリスクが高すぎる為、並行してストックビジネスの仕組みを立ち上げなければなりません。
ここで重要なのがアフターサービス市場です。
よく考えて頂きたいのは顧客は装置を購入した時点では自社に何も寄与していないのです。装置を動かして自社の製品を作りだして初めて売上と利益を出せるのです。すなわち、顧客は製品を廃棄するまで動かし続けて投資コストを回収できるのです。
装置メーカーの売り逃げがそもそも許されるはずもありません。特に、装置が高精度になってくると顧客が修理すること自体難しいだけでなく、修理のできる要員も確保し続けることが難しくなっているわけですから。
顧客にとってもこのように重要なアフターサービスですが、ストックビジネスとしても最も重要になってきます。典型的な例がコピー機です。本体価格ではほんの数百円しか儲かっていない?と言われていますが、トナーや紙を除いた消耗品で利益をだしているというのは結構知られていますよね。
また、このストックビジネスを築く為には市場でそれなりの販売シェアを取ることが重要です。シェアを取って販売台数を稼げばサービス部品の在庫も置けるし、サービス要員も増やすことができます。
結果として顧客にアフターサービスでの利便性を評価してもらって次の製品販売につなげることができますから。
ビジネスモデルとしてのフロービジネスの課題はありますが、如何にストックビジネスのサイクルをつなげて回せるようになるかが重要です。シェアを確保すること以外に、例えば、コピー機ではトナーが企業機密になっていて特許もプロセスのブラックボックス化を図りトナー交換に伴うアフターサービスの市場をしっかり守っています。しかし、エレベーターではメンテナンス専門会社にアフターサービスを奪われることが発生し、メンテナンス不良による死亡事故を引き起こすようなことになっています。
それでは次回は個別に課題について述べていきたいと思います。
2008年10月6日月曜日
受注設計生産型製造業の付加価値アップ(第3回)特徴続き
1.営業機能において
開発が技術の先頭工程であれば、営業というのはやはりマーケット開発と企業活動のスタート点に位置する機能ですので、まず営業機能からその特徴を述べたいと思います。
①技術提案力の必要性
顧客の購入する部門が工場の設備や生産技術部門であるし、調達部門より実質的な購入権限をもっていることが多いの為、営業部門は顧客の要求する技術仕様を理解し、それに適合する提案をできなければ相手にされません。御用聞き営業では困るわけです。もちろん、詳細な項目までは理解し提案できる必要はありませんが、顧客が位置する業界の用語は判って受け答えができることが必要です。
②トップ営業の必要性
販売する製品そのものの価格が高く、ある意味顧客の事業の成否にもかかわっていますので、最終的な決定は役員以上社長決裁の必要なものになってきます。そうすると売る側としても営業の初期段階ではともかく価格交渉が押し詰まった段階となるとトップである社長や役員クラスの営業活動が必要となってきます。
③受注そのものの曖昧性
日本国内、海外共に変わらないことが多いのですが、製品の発注というか受注というのがとにかく曖昧です。納期だけ決まっていて、価格と仕様が決まらないことが非常に多いということです。もちろん、発注する側は内示書をだして発注(?)先を縛るのですが。
2.設計機能において
①仕様確定の曖昧性
営業機能の③の特徴と非常に密接に関わっているのですが、顧客の要求仕様が固まらないもしくは簡単に変更されてしまい仕様打合せ変更が相次ぎます。例えば、某液晶メーカーが基盤サイズが中々決まらず、装置メーカーが見込みで仕様を決めて動き始めたところ変更して大幅な変更が発生したようです。顧客のわがままと言えばそれまでですが、液晶メーカーの例では基盤サイズにより何インチの液晶が何枚取れるか、将来にわたり液晶のコスト競争能力が決まってしまいます。従って、他の液晶メーカーごどう動くのか?めまぐるしく変わる一般消費者の購入動向も考えながらとなると中々決められないのも必然的なのですからね。
②プロジェクト型の仕事遂行性
受注設計型と唱えている訳ですから、毎回の受注(?)に合わせて設計が開始されます。製造終了後装置が搬入され安定稼動するまで全てにわたって設計が関わってきます。搬入設置後は製造部門やアフターサービス部門が責任部門となって対応する会社も多いと思われますが、多くの場合、設計者に確認したり指示をあおぐことになりますので、安定稼動するまでは手を離せないということになります。このままでは他の受注案件や引合い対応に時間を割けなくなりますから、、会社としては売上を増やすには如何に設計者の手離れを良くするかが課題となりますが、課題と対応についてはまた後日・・・。
3.生産機能において
受注設計生産型ですから受注毎に生産計画をたてることになるのですが、製品の特徴から毎月同じ量の受注があるとは限りません。受注の山谷が大きいのが特徴ですね。国内だけの販売の時は年度末に出荷が集中するようなパターンが多かった訳ですが、海外生産の増加や海外企業の台頭によってそのパターンが崩れてはきましたが、顧客同士がお互いに出し抜こうとしのぎを削っているので、この山谷の他に短納期化ということがプラスになってきました。
調達や製造について述べていくと課題だけになりそうなので、ここで止めます。
4.アフターサービス機能について
製品が顧客の設備であることが多いので、設置し安定稼動してもアフターサービスは必須の条件となっています。顧客の海外生産移転に伴って、顧客からサービスメンテナンス拠点を海外にも求められることになっています。顧客は高価な設備ですから稼働率を高くし、少しでも設備投資を回収しようとしますから、メンテナンス時間の短縮も要求してきます。24時間365日のメンテナンス対応ができないところは選定対象から外される可能性もでてきていますね。
特徴について述べれば課題ばっかりがでてきて中途半端になるので、次回は課題について各業務機能別に詳しく述べたいと思います。
