2008年11月2日日曜日

受注設計生産型製造業の付加価値アップ(第9回)カスタマーサービス課題

前回は調達ということで製造を合わせて顧客への製品引渡しが完了したというところまでの課題について述べさせて頂きました。今回は今までアフターサービスと呼ばれていたカスタマーサービス機能での課題について述べていきたいと思います。
元来、アフターサービスという用語は製品を販売した後の供給側の論理から生まれた用語ですよね。カスタマーサービスという用語も詳しく分析してみるとカスタマープロフィットサービスとなるべきです、何故なら顧客は装置たる製品を購入したもしくは設置した時点では何もこの製品から生まれる価値を全く享受していないのですから。
すなわち、製品を稼動させて顧客の製品を生み出して始めて価値が生まれ市場から利益を回収できるのです。たしかに装置たる製品を販売した製造業からみると売上計上後の保守メンテナンスを中心としたサービスですが、購入した顧客にとっては稼動させて廃棄するまでがその製品の価値です。
 装置たる製品を購入する時点で購入する顧客はイニシャルである製品の購入価格とランニングコスト(=保守・消耗部品の累計価格+電気水道ガス、オーバーホールなどの維持管理費用)、生産されるであろう製品の産出量と装置の稼動期間を計算して利益がでるであろうことを評価しているのです。

 といった具合で販売する側と購入する側の利益に関する立場が180度異なることを意識しながら、このカスタマーサービスの課題について考慮していかなければなりません。

1.保守・消耗部品について

 製品が顧客要求に対応する為に技術革新に応じてバージョンアップされ続けていくだけでなく、受注設計生産ということから顧客毎もしくは納入毎に異なる仕様の製品が設計され出荷されていくことになります。この結果、装置が出荷される度に保守・消耗部品が増え続けていきます。
ひどい場合は都度設計ですから部品の寿命や使用環境を全く考慮していない設計の為に、設計時点では保守・消耗部品として認識されないことも多く発生します。従って、顧客からこの部品が壊れてしまって装置が稼動できない!という大きなクレームになってしまいます。
 そうすると、直ぐ調達できる部品であれば良いのですが、受注生産の製品であったり生産中止部品となってしまっているとなると事は更に大きな問題となります。修理のはずが、改造して代わる機能を持つ部品にしなければならなくなってしまいます。
 ここにおいて問題になるのが、装置を販売した製造業側の対応力です。「部品が壊れた。」という事象に対してどう判断し、対応できるか?ということです。たまたま電話をとった担当者が理解できなければあっちこっちと知っていさそうな人に確認し、在庫を確認し・・・と電話を受け取ってからとんでもない時間が経過していくことがありえます。

 当該装置の出荷時点での部品構成表がちゃんとメンテナンスされデータベースとして管理されていなければ、もうとんでもない労力が発生することは明らかですし、顧客の怒りは爆発してしまいますよね。
 保守・消耗部品リストが作られて出荷されている場合であっても、継続的にメンテナンスできている製造業がどれだけあるでしょうか?家電品や自動車のような量産品であればメンテナンスはできるはずですが・・・。

2.修理作業について

 保守・消耗部品がこの状態ですから、修理作業はもっと大変ですね。
装置ですので家電品や自動車のように引き取ってもしくは顧客に出向いてもらってということはほとんどなく、装置が設置されている現地での修理作業となります。
 出荷時の部品構成表が最新の状態でメンテナンスされれば良いのですが、ない状態でサービスマンが現地に不具合が発生しているだろう部品をかかえて計測装置や工具をかかえていくのですが、現地に到着した時点でそれが適合しないということも発生してしまいます。
 顧客での装置停止時間を最短にする為に社内で確認できる時間は限られていますので、ある程度想定はしていますが、原因が異なった場合だけでなく、あるべき部品が装置になかったりもしくは全く異なる部品が取り付いていたりします。
 また、設計段階で保守・消耗部品として考慮していないとメンテナンスを全く考慮されていないので修理作業が全くできないということも発生してしまいます。
 極端な例ばかり申し上げているようですが、特に想定以上に長期間使用されているとまさしくとんでもないことも発生してしまいます。
 新製品の場合には仕掛中の製品から当該部品を引き剥がして持ち込み修理することもよく発生してしまいますね。

3.費用の回収と損害賠償について

保守・消耗品の場合は継続的に顧客が購入してもらえますので、コンスタントな収益源となってくれます。所謂、スマイルカーブと言われる製品の収益カーブの最も右側の収益の柱となるものです。顧客が装置を使い続けてもらっているうちは浮気はできないのですからね。コピー機やプリンターのトナーやインクの場合は本体の収益よりもこれによる収益のほうが大きくなっていますね。

もちろん、修理も定期メンテナンスサービスとして定期的な事前予防としてのオーバーホールを実施できるような契約ができていればこれも同様な収益源となります。しかしながら、エレベーター業界のように修理専門の業者がでてくると問題が大きくなってきます。これも、装置としての市場が大きくなってくるとやむを得ない市場参入となるでしょう。エレベーターの場合は製造御者と修理業者の情報交換がされないことから死亡事故などが発生しています。

 理想を言えば上記のとおり装置メーカーはこのカスタマーサービスで潤うはずなのですが、保守・消耗部品が直ぐ届かないもしくは適応しない部品が送付されたり、修理サービスに直ぐ来ないもしくは一度で直せないなどという状態が続くと費用の支払にも影響が当然でてしまいます。直せないのであれば支払えないという顧客の当然の理屈なのですが、場合によっては顧客が失った仕掛品の損失補償や休業補償を求められることがあります。

4.保守メンテナンス拠点の要求について

 装置製品の出荷が顧客の海外への生産移転や中国の地元企業が生産を開始するなどなってきますと、保守・消耗部品と修理の供給の兵站線が長くなってきます。すなわち、保守・消耗部品の発注から納入および修理の要求があってから現地で修理が実施できるまでの時間が長くなってしまいます。また、顧客のほうも生産コストをあげずに海外で生産したいので、社内の保守メンテナンス部隊をかかえたくないという要求となりますし、中国の現地法人では対応できる人材の定着率が悪すぎて、保守メンテナンス方法を教えても意味がないということになってしまいます。

したがって、保守・消耗部品だけでなく修理メンテナンス要員を社外にきめ細かく設置することが必要となってきますね。海外ですと輸出入手続きに関わる要員も含めてかなりの設備投資となるはずです。

いままで営業、設計、製造、調達、カスタマーサービスと長々とその課題のあらましについて述べてきましたが、今後は対応策について述べていきたいと思います。

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